生れる前から不眠症 2
この物語は短編でいこうと考えながら長編になりそうな筋書きも考えています。
そうなったら『我儘~』にも影響が出そうな設定。
どうするか思案のしどころです。
悩むなぁ~
「起きなくていいから」
妊娠だと分かってすぐにつわりで苦しむ葵。
妊娠したと騒いでたのがウソのように大人しく病人になってしまってる。
「ごめん・・・」
朝起きるのもきつそうで上げた頭を枕に沈み込ませるように葵が身体を戻した。
寝ぐせの付いた前髪をそっと掻き上げるように撫でる。
「つわりがこんなにキツイって思わなかった」
枕の上でつく溜息。
「生まれる前から存在感発揮してるんだろ」
「ここにいるって教えてるって事?」
側臥位のまま葵が確かめるように手を腹部に手を添える。
「俺達が仲よくしすぎてるから拗ねてるのかもな」
「それはないって思うけど」
葵がようやく微笑を俺に向ける。
枕元のテーブルの上に包みに気が付いたように葵が手を伸ばす。
「今日も何かあるの?」
昨日は小さなクツ。
その前はおもちゃ。
枕元に届ける俺から生れて来る赤ん坊へのプレゼント。
「今回はベビー服」
「一応男女で買ってきた」
「性別が分ってからでも間に合うと思うけど」
クスクスと葵が笑う。
その笑顔が見たくて毎日のように会社帰りに店を回る。
マンションの一室を子供部屋にと、一人で組み立てたベビーベッド。
子供が喜びそうな柄のカーテンにおもちゃ。
今までの俺達には似つかわしくないメルヘン調の部屋が出来上がってる。
葵がその部屋に気がついたらどんな表情を見せるのか。
想像して俺も楽しんでる。
「なんだか、うれしそうだね?」
「楽しいに決まってるだろ」
「まだ6か月も先なのに?」
「あと半年だろ」
ベッドに起き上がった葵がしょうがないとでも言いたげな表情で俺を見つめる。
結びかけのネクタイを葵が締め直してくれた。
「甘いパパになりそうだね」
「俺は葵のためにやってるの」
頬に触れる唇。
葵の温もりを感じたくて背中に腕をまわす。
「うっ・・・」
葵が顔を背けて口もとを手で抑え込む。
「ちょっ・・・」
俺を押しのけるように葵がベッドから飛び降りた。
トイレに駆け込む勢いはマッハのスピード。
「大丈夫か?」
トイレの便器を抱え込む葵は一回り小さくなってしまってる。
「コーヒーの匂い、ダメだっていたのに・・・」
キッチンからドアを開けたままの寝室に流れ込む香ばしいコーヒーの香りが漂う。
責めるような瞳で葵に見つめられてしまった。
気を付けるから泣くな!
でも昨日はパンの焼いた匂いだったろうがぁぁぁ。
日々変わるつわりを誘引する物質。
次はなんだ?
俺もつわりに振り回されてしまってる。
拍手コメント返礼
ri☆ママ 様
朝一の拍手ありがとうございます。
私にしては珍しい夜中のUPでした。
オオイタッコ 様
私も悪阻で苦しんだくちです。
プチトマトしか食べれなかったんですよね。(^_^;)
ご飯の匂い私もダメでした。
ことり 様
私も連休は似たようなものです。
子供の世話に旦那の世話、いつもより忙しい(^_^;)
どこにも出かける予定はないのでそれは楽かな。
つわりって不思議ですよね。
昨日は食べれたのに今日は無理とか味覚が変わりますものね。
酢の物が食べたいと言ったら旦那が酢の物作ってくれた思い出があります。
塩もみしてない大根を酢で混ぜたもの。
元気な時でも食べれない酢の酸っぱさ、なのにつわりで食べれそうもなくて、それ以来旦那は料理をしてくれません。
穏やかなあきらと葵に、双子ちゃんとあきらママが絡んだら・・・
賑やかでしょうね。
あきらキレそう。
やなぎ 様
つわりがひどかった方にはわかりますよね。
この辛さ。
私も寝込んでいた一人です。
メルヘンチックな子供部屋で鼻歌を歌いながら着々と準備を進めるあきら君を想像してます。
司に見られたら・・・
爆笑されるでしょうね。
ココア様
長編になったら、あきらが真っ青になりそうなお話を考えてるんです。
子供が生まれる嬉しさも吹っ飛びそうなお話(^_^;)
どうでしょう?