永遠のラビリンス 12

ここしばらくは、バカっぽい、笑える話を書きたい気分です。

軽~い軽快なテンポで流れる様なお話。

・・・で、きょう選んだのがこのお話の更新です。

続きからお付き合いをよろしくお願いします。

足を一歩踏み入れた瞬間に周りの空気が変わった。

中身は違っても受ける印象は俺の時と一緒じゃねェか。

どう見ても道明寺 司。

飲食店の店内のザワツキが一斉に吸い込まれて音を無くす。

注目される視線に目の前の俺は躊躇する表情をうかべた。

オドッととせずにそのまま横柄に歩け!

「きゃー、来たよ、つくしどうするの?」

隣りのキャピッとした声に、今は自分がつくしだったと再認識させられた。

「どうするって、逃げるってわけにも、オッ!!」

俺の言葉を途切れさせるようにテーブルの上に置かれたコップの中の水が跳ねる。

いきなり目の前につき下ろされた腕。

スーツ姿が天井からのライトを遮って俺の上に影を作る。

上から見下ろされてる事には慣れてねェンだ。

それも見下ろしてるのは見慣れた自分の顔。

面白いもんじゃねェぞ。

「ここにいて、なにするつもり・・・だ」

上がる語尾に付け加えたように低い一文字の『だ』。

そして威嚇する表情は焦った感情を直ぐに隠す。

「講義のレポートをまとめてるだけですから」

俺の代わりに答えたのは松岡公平。

まとめてるだけって、下手な言い訳。

そうじゃねェだろうがぁ。

この後は松岡の家に行って仕上げをするとか言ってたじゃねェか。

それもきょうだけじゃなく今でも何度かあったと聞かされた事実。

此奴の家に泊まったって聞いた時は殴りそうになった。

「知ってる」

松岡に視線を移してすぐに顔の向きは俺に戻る。

戻って来て俺を睨み付ける表情は動揺の赤に染まってる。

「来い」

俺がいつも牧野に見せる態度を俺が見てる。

へぇ・・・

意外と迫力あり。

握られた手首に「イタっ」と声が出てしまった。

「嫉妬する様なことじゃないでしょう」

捕まれた手首から引き離す様に松岡の腕が牧野の俺の手首をつかむ。

「・・・」

松岡の腕に焦ったように牧野の俺が俺の牧野から指を外して腕を引っ込めた。

乱暴ですね」

蔑む視線は牧野の俺を見ている。

乱暴って、普通・・・」

言いかけた牧野の俺は松岡の視線に気が付いたように口を閉ざした。

「此奴は、俺んだからいいんだ」

「他人が口出すな」

俺をまねたままの態度が目の前で繰り広げられてる。

こりゃ、強引だな。

何時もの自分を外から眺めて、普段の牧野が俺に向ける反抗的な言葉を是正してる自分が可笑しい。

「連れて帰らせて もらう」

離れた長い腕はもう一度俺を掴んで椅子から立ち上がる様に引っ張り上げられてしまった。

牧野の俺がしゃべるたびに半テンポ言葉が遅れて、妙な間を作る。

「帰る必要ない」

牧野の俺を振り切って椅子にすわり直した。

此奴らと入れば俺の知らない牧野の話が聞けそうじゃないか。

泊まった以外にムカつく事が出てきてみろ!

そん時は容赦なしだ。

「このまま置いておく訳にはいかないでしょう!!!」

横を通りすぎようとしたウエートレスがトレーのバランスを崩して運んでいたグラスがガチャンと音をたてた。

牧野・・・

その口調・・・オカマ・・・。

ちょっとなよってなってるし・・・。

「あっ」

焦ったまま牧野の俺は掌で口を塞ぐ。

出した言葉をひっこめるにはもう遅い。

だから俺でシナを作るなッ!

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拍手コメント返礼

あずきまめ様

あっでた! オカマの道明寺。

見たいような見たくないような・・・(^_^;)

ここを切り抜けないと大変なことになりますよね(笑)

ことり 様

確かに大学でオネェキャラに襲われたお話書きましたね。

このネタは何で楽しくなるんだろ?(笑)

最近道明寺様がおかしい・・・

噂が動画付きで広まったらどうなるんだろう。

これを聞きつけてF3が登場したら楽しそうなんですけど~。

やなぎ様

私もラキセSP思い出しちゃってます~♪

まあ、バスタオルは巻いてないですけどね。

スーツでシナる司君♪

Gods&Death 様

牧野の俺と、俺の牧野

私もどっちで書いてたっけ?と悩んじゃうときあります。

その時は目の前の俺がなんて文章で誤魔化してるんですよね。(^_^;)

何かいい表現法ないかしら?