DNA で苦悩する 47
おはようございます。
いよいよ鮎川パパと対決!!
う~んどうなるのだろう。(^_^;)
連れてこられたビルの一角。
バタバタと人の出入りが多くて落ち着きなく動き回る大人たち。
見慣れない機材にカメラ。
セッティングされた洋室の部屋。
裏に回れば薄いベニヤ板の茶色の安普請。
美術の力って偉大だって思う仕事。
「そんな、壁にいないでこっち来て」
僕に朝から付き添う田中さん。
美作のおじさんのプロダクションの社員で今日は社長直々の指名で僕に付き添うらしい。
「おはようございます。お世話になります」
愛想のいい笑顔を振りまいて僕の横では真顔を作る。
片手は僕の頭を押さえて頭を下げさせる。
「最初の印象が肝心」
「子供は素直が一番」
子供扱いされたのって何年ぶりだろう。
偉ぶらない!
横柄にならない!
腰を低く!
愛想よく!
「駿がちやほやされるのは道明寺の名前があるからだからね」
小さいころから母さんに叩き込まれた。
俺様は父さんだけで十分。
笑顔で言ってた母さんがスタジオ入り口で小さく手を振るのが見えた。
何でいるの?
口の形をそう動かす。
母さんの指先が示したところには美作のおじさんまでいたッ。
「監督はもう少し後かな」
入り口に田中さんが視線を移してつぶやく。
「仕事は厳しいけど、人のいい監督だから緊張しなくても大丈夫だよ」
人がいいって言われても、それはきっと僕に当てはまらない。
なんせ、鮎川とのデートの帰りにしっかり睨まれてしまってる。
「あっ!社長」
田中さんは目ざとく美作のおじさんを見つけて僕の手を引っ張りながら二人の前に進み出た。
「心配で見に来ちゃった」
父さんまで来てないよな?
不安がそのまま母さんの後ろまで視線を彷徨わせる。
「大丈夫よ。あの人が来たらそれだけで騒ぎになっちゃうもんね」
いや・・・
美作のおじさんが母さんと二人でここにいることも結構な注目を浴びてると思う。
母さんのことを道明寺夫人だと知ってる人はそんなにいないと思うけど、美作のおじさんと親しげに話してる女性はだれ?的な視線がヒシヒシと母さんに突き刺さってるのが分かる。
父さんといることで注目されてることに母さんも慣れて鈍感になってるから見られてる視線も気にならない様子で母さんがにこやかな笑みを美作のおじさんに返してる。
父さんが見たらどうするんだよ。
美作のおじさんに食って掛かる父さんの姿が脳裏によぎる。
「見学させてもらうよ」
僕の杞憂を知るはずもなく、にこやかに田中さんに美作のおじさんが一言告げる。
「駿君なら大丈夫ですよ。感がいいというか、いるだけで人を引き付ける魅力がある」
「社長が気になるのもわかります」
田中さんのテンションが美作のおじさんを見つけて一気にあがってる。
困惑気味な表情で作り笑いの美作のおじさん。
僕を売り出すつもりはないことは重々承知で、母さんも父さんも僕も今回のCMを最初で最後にしたいと思っているのだから。
「これから準備にはいるので」
田中さんの声の調子は僕らとは対照的に軽い。
着換えを呼びに来た女性に声をかけられた僕を田中がついていくようにと促す。
美作のおじさんの横で母さんが楽しそうに笑顔で手を振るのが見えた。
拍手コメント返礼
ことり 様
つくしがいるということは・・・
入らぬ方向に期待感が行っちゃいますよね。(笑)
そうなったら撮影どころじゃないだろうなぁ~。
あずきまめ様
最初で最後はもったいないですよね。
うんうん、私ももっと見たい~。
おかゆ様
妨害するのは誰でしょう♪
それは決まってると思わせてつくしちゃんだったりして・・・(^_^;)
そうですよ~。
妨害の前に鮎川パパと対決です。
アーティーチョーク 様
この撮影どうなるんでしょうね。
気になるところではありますけどね。
久し振りに道明寺夫妻の言いあいを見てみたい気がします。(笑)