DNA で苦悩する 50
このお話も大台に突入しました。
50話までいくとは思ってなかったんですよね。
どこで区切ろうかなぁ・・・(^_^;)
「評判が良ければ第2弾、3弾とイケけそうですね」
「誰が撮ってると思ってる」
撮り終わった映像をモニターチェツクしながら尊大に聞こえる声。
似てる・・・
鮎川の親父さんも威圧感たっぷりで自分に自信あるタイプだ。
こんなタイプは一人で十分だと思ってんだけどなぁ。
モニターに映し出される場面はさっきのキスシーン。
本当にはしてないからとは言い訳にしか聞こえない出来。
カメラアングルでどうにでもなるものなんだといまさらの再認識。
「駿君って彼女いるの?」
「えっ・・・まぁ・・・」
田中さんには彼女がいても募集中だといえって言われてるが、ここで嘘を言えるわけはない。
鮎川の親父さんがいるんだぞ。
「言い訳大変かもね」
監督と僕との関係を知らない第三者の無責任な声。
監督の耳がピクッと動いたのが見えた。
「付き合ってるとか、恋人だと噂されてもおかしくない出来だろう」
チェアーの背もたれに体重をかけて後ろに倒す体勢で首を後ろに傾けた監督の視線が僕を突き刺す。
そんなことで僕らの仲は壊れませんから!
そう宣言できるほど僕らの絆は強いわけじゃない。
まだ付き合いを始めたばかりで・・・
デートも一回きりで・・・
僕の想いほど鮎川が僕のことを想っていてくれてるのかと不安になる夜。
「駿君、君売れるよ」
CM制作会社の担当者まで機嫌よく僕を持ち上げる。
売れなくていい。
このCM1本で終わりの約束のはず。
不安げに向けた視線の先で美作のおじさんと母さんの側にはさっきのCM制作会社の社員がペコペコと頭を下げてる。
あれは、絶対母さんの正体を知ってると分かる丁寧さ。
あの二人には近づかないでおこう。
人目を避けるようにスタジオの隅に異動した。
壁に背中をもたれかけながらただぼんやりと人の動きを眺めてる。
目からの情報は何も残らないままに頭をすり抜ける。
鮎川はこのCMが仕事だ、演技だと笑って許してくれるのだろうか。
「見ない」
不機嫌な表情で嫉妬してくれたら、それはそれで僕を喜ばせる気がしてきた。
「ハイ」
目の前に差し出されたジュースの缶。
「なに、思い出し笑してるの?」
「いや別に・・・」
「感想は?」
不愛想な僕にニッコリと微笑む母。
「駿は物怖じしないというか慣れてるよ」
「司の後を継ぐよりこっちの方が性に合ってるかもなぁ」
「美作さん!そんなこと司の前で言っちゃだめだからね」
司、司って連発し過ぎだろう。
このCMのスポンサー道明寺フォールディングス、代表取締の名前は道明寺司だと知らない者がここにいるとは思えない。
警戒警報を解除するにはまだ早い。
つーか。
どうして僕に近づくのッ!!
居場所を変えようとしたときに入り口がざわつくのが目に入った。
ドアを開けた瞬間に流れ込む光。
空気の色まで変わった。
聞こえないはずの効果音まで聞こえる様な艶やかさ。
人目を引くのは絶大なオーラ。
なんで、父さんまで出てくるんだ!
過保護?
それは僕じゃなくて母さんに対してだと思う。
小道具の後ろに姿を隠しながら僕はスタジオから逃げ出した。
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拍手コメント返礼
かえまま 様
『不機嫌な~』もCMでしたね。
随分と違いますけどね。(笑)
相当楽しんで書いちゃってました。
確かに駿君たちの方が大人かも・・・(^_^;)
あずきまめ 様
えっ?
司登場待っていたんですか?
私としては司の投入は最後まで悩んじゃってたんですよね。
良かった♪
二人のパパが意気投合したらどうなるのかしら?
アーティーチョーク様
駿君が見つからずに逃げ出せるのかどうかは微妙ですよね。
駿君の正体がばれるのも時間の問題?
大騒ぎになりそう。(^_^;)
ココア様
司まで登場すると出演者より見学者の方が人目を引いてたりしてね。
この現場にいたい!
なんて思いながら想像をかきたてています。
司は駿クンの彼女の父親が監督と知ってるのか?
どっちが面白いかなぁ~。
おかゆ様
鎮静化させようと思いつつ爆弾を投下してしまいました。
嵐―――ッ
音ちゃん 様
連日でのコメント うれしいです♪
駿君の正体は司と並べば一目瞭然。
田中さん辺りに発言してもらいたいきがします。
ばれたら田中さんが一番大騒ぎしたりしてね。