いくつもの嘘を重ねても 23
道明寺邸で朝を迎えた二人。
きゃーッ。
こう書けばドキドキなんですけど~。
F3は来るわ、司はつくしに枕で攻撃されるわで~♪
記憶がなくなってもパターンは一緒ですね。
恥ずかしげもなく、言い放つ不敵すぎる態度。
この男に羞恥心というものはないのかと思ってしまう。
寝室にいるところを3人に見られてるだけでも身体中が沸騰するほど気恥ずかしい。
それでも・・・
遠慮のない気さくな雰囲気。
ソシテ良かったなって語りかけるような視線。
この4人の関係が素敵だなって思える自分がいる。
そこにいる私は違和感がなくて、みんなを眺めてるだけで感情が自然と素直になれる気がした。
道明寺の飾らない思ったままを口にする態度にムッとしながらも、怒ってるのは本心じゃなくて、
膨れた頬は自然と緩んでしまってる。
以前もなんとなく同じようなことなかった?
頭の中のボヤは晴れそうもなく私の心を悩ませる。
まるで、それはモザイクのかかった映像。
見たいのに見れないジレンマ。
どうして、何も思い出さないのだろう。
記憶の中にどれだけたくさんのこと、道明寺の記憶が埋もれているのか知りたくてしょうがない。
「どうかしたか?」
「えっ?」
「しかめっ面になってるぞ」
グゥと目の前に突き出された顔は心配そうに私を覗き込む。
私の額に押し付けられた道明寺のオデコ。
「熱はないな・・・」
近すぎる距離に戸惑って逃げ出しそうな私を道明寺の腕がしっかりと私をつなぎとめてしまってる。
「心配させんな」
オデコを離して空いた私の額がペチンと軽く音をたてた。
「さっきの仕返しだ」
子供みたいな無邪気な笑顔。
クールな表情が屈託なく笑う笑顔は少年の様な無防備さを見せる。
心臓がドキドキしてきたッ。
「今日は、お前の家に連れて行くから」
ベットから私を道明寺の腕が降ろす。
「牧野がいなくなって心配したのは俺達だけじゃないから」
両親に弟が私にはいて、海に落ちたと思われたいた私をどれだけ探したか切実な声で語る西門さん。
「一番必死だったのは司だけどね」
「牧野の生存を信じて疑ってなかったかったのは司だけかもな」
「俺らも少しはあきらめてたもんな」
「走れメロスの心境が今ならわかる」
真面目なのか、面白がってるのか・・・
黙って聞いていた道明寺の顔が少しムッとなってしてる。
「おまえら、一言多いぞ」
ドスドスと地響きを立てるように寝室を出ていく道明寺。
逃げたなと笑う表情の3人が道明寺を見送っていた。
「つくし~」
「良かった」
昼前にたどり着いた3階建の古びたアパート。
家族四人で住んでいるパパの会社の社宅。
玄関のベルを押す手前で開いたドア。
来るのを玄関の前で待っていたと思わせる様なタイミング。
左右から抱き着かれた視線の先には道明寺のトイレより狭い部屋が見えた。
パパとママ・・・?
人の好さを前面に見せる中年の男の人はグズリと鼻を鳴らす。
「もう離さないぞ」
「どこにも行かせないからね」
「おねェちゃん」
二人に抱き締められて動けないところで腰にガシッと抱きついてきた少年。
この子が弟の進だよね?
全然覚えてない。
「良く顔を見せて」
一息落ち着いたところでママの手のひらが私の頬を包み込む。
「少し、痩せた?」
潤んだ瞳が必死に笑顔を作ってこぼれそうな涙を目もとが必死に耐えてるのが分かる。
ママ・・・
記憶の戻らない頭でも潜在的にこの人が私の母親だって信じられた。
「心配かけてごめん」
「つくし」
私の無事を確認するようにもう一度強く抱きしめられた。
「本当に良かった。道明寺さんありがとう」
ぐじゅぐじゅになった顔でパパは道明寺の手をギュッと握りしめる。
「当たり前のことですから」
突然ヘリで空から部屋に侵入する行動力は普通じゃないって思える。
それを当たり前だとこともなげにいい放つ道明寺は道明寺らしい。
パパとママが聞いたら卒倒するのか感動するのか。
弟の進なら「さすが道明寺さん」と尊敬の念を抱きそうな気がした。
「もう、離さないとかどこにも行かせないとか、それ、本気ですか?」
私を抱きしめながら言ったパパとママの言葉。
居なくなった娘が無事に帰ってきて抱きしめながらそう思っても自然だと思える。
それがなにか?とパパとママは互いに見つめて道明寺と向き合った。
道明寺に遠慮する様な表情に不安感が両親の瞳に宿る。
「何か不都合でも・・・」
恐る恐る声を出すパパ。
「俺も、牧野を離したくないし、どこにも行かせたくないんです」
真剣過ぎる道明寺の表情にその言葉の意味を確かめるように頭の中が反復する。
今、私すごい告白をされてないか?
道明寺を見ていた家族3人の視線はそのまま私に注がれてきた。
エッ?
なに?
なんなの?
「つくし、いいわね~」
「パパも感動した。道明寺さんなら許す」
だから、なにが?
私の目の前で3人が手を取り合って飛び上がりながら喜びを隠そうともしない。
「道明寺さん、つくしのことは任せます」
私はこのアパートで生活して記憶を取り戻すのじゃないのか?
「任せてください」
後ろから嬉々として伸びてきた腕が背中から私を抱きしめた。
首!!!
絞めてるぅ~。
私を殺す気かッ!
拍手コメント返礼
コスモス様
やっと連載が減ってきてます。
出来れば3つ程度で連載を進めるのが理想かな。
記憶が戻るまでもう少し長めに進めたいと思ってます。
あずきまめ様
つくしを連れ戻せなくて、牧野家の司が住むって設定も考えてるんです。
どっちもバタバタしそうですけどね。!(^^)!