生れる前から不眠症 7

司に類に総二郎も事の成り行きを見守ってる?

静かに見守れるかどうかは保証いたしかねます。

生年月日  〇年〇月〇日

年令5歳九か月。

あきらが大学生のとき出来た子ということか。

あの頃のあいつじゃ一つや二つあってもおかしくないから笑えない。

ヘタしたら10才くらいの隠し子が出てきてもおかしくねェからな。

    

手元にある書類には子供は昔のあいつの恋人とその夫の子どもだと記載してある。

法律上はあきらとのつながりを示すものは何もない。

その報告書をデスクの引き出しの奥に押し込んで鍵をかけた。

まだ何も分かってはいない。

俺の頭の中をつくしや、駿以外が久しぶりに占めてる。

あきらや、総二郎が相手にする女性との関係を気にも留めてなかったあの頃。

今なら「ほどほどにしておけ」そんな忠告も出来たかもしれない。

19歳の俺はつくしに夢中で・・・

あいつしか見てなくて・・・

卒業の日にプロポーズして有頂天で・・・。

これから二人で歩む未来に、進んでいくはずであろう二人の関係の発展に期待を膨らませッ

これがなかなかうまく進展しなかったんだよな・・・。

あいつ等の男女関係に興味を示す余裕なんてあるはずがない。

初心な頃の俺達に浸ってる場合じゃなかった。

俺を乗せた車は静かに邸の門をくぐる。

「おかえり」

オッ。

珍しく玄関でつくしの出迎えを受けた。

それも俺の首に抱きつく歓迎ぶり。

「双子だって」

それは知ってる。

双子は三つ子になったって報告ならこのはしゃぎようも理解できる。

今日のお前のそのテンションの高さはなに?

俺にまとわりつくように腕に腕をからめるつくし。

今使用人がクスッと苦笑して視線を逸らしたぞ。

いつもなら恥ずかしいと拒むのは俺じゃなくお前だろう。

「赤ちゃん、男の子と女の子だって」

下から覗き込むキラキラした瞳。

嬉しそうにはにかむ表情は、初めて妊娠したと俺に報告した日のそれと重なり合う。

「あんまり、浮かれるとすぐに生まれるぞ」

「生まれるわけないじゃん」

自然と零れる笑み。

ガチャッと開いたドア。

その瞬間に「わー」と叫んだチッコイ影。

テーブルの下に隠れていた駿が俺を驚かせようと飛びだしてきた。

ばれてんだよ。

「わっ」

笑うのを押し殺してわざと驚くふり。

子どもの遊びに付きあう俺を遠慮なく明るく弾けた笑が部屋の中に広がる。

つくし!

少しは遠慮して笑え。

右足にまとわりつく駿を抱き上げて「悪戯すんな」とクシャリと駿の髪の毛をかき乱す。

「おかえりパパ」

頬にすり寄る柔らかい肌。

「ただいま」

和らいだ俺の声にまたつくしがクスッと笑う。

「葵さんも順調だって」

「そうか・・・」

いきなりあきらのとこの嫁さんの名前だすな。

ビビるッ。

焦った心の動揺で言葉は少なくぶっきらぼうな俺。

「あきらのこと、牧野に悟られるなよ」

総二郎にくぎを刺された言葉が頭をよぎる。

言われなくてもつくしにばらすわけねぇだろう。

結婚して初めて持つ秘密だ。

「お前はいいよな」

タイを緩めてソファーに深く腰掛ける。

周りをドタドタ走る回る駿はなにが楽しんだか。

それを眺めながら楽しむ俺。

「なにが?」

綻んだままの表情は俺をじっと見つめる。

「俺がお前を裏切ることは無いからな」

突然子供がいたなんて告白を受ける心配なんて過去もこれからもないはずだ。

「突然なに?」

「何かあった?」

「私に言いにくいことあるの?」

たたみかける勢いで膝の上に乗っかりそうな勢いのつくし。

少したじろぐ俺。

「なんもねェよ」

思わず視線をそらしてしまった。

「うそ、なんかいつもと違う気がする」

つくしの表情が目の前で険しくなって訝しむ視線を遠慮なく俺に突き刺してきた。

拍手コメント返礼

きらきら☆様

つかつくが絡むとどうしても波乱を予測しちゃいますよね。

あきら君があくまでも主役を忘れない様にしないとやばいかも・・・(^_^;)

はーくんの風様

最近日曜日の更新は滞っておりまして・・・(^_^;)

今回は何とかUP出来ました♪

おかゆ

そうだ、妊娠のつくしちゃん久し振りでしたね。

司君は誤魔化そうとすればするほど墓穴を掘る気がします。

ことり 様

奥様妊婦連合を結成されると大変でしょうね。

でも楽しそう♪

Gods&Death 様

毎日本当に猛暑ですね。

家から出るのが嫌になります。

過去のことと割り切れるくらい葵ちゃんは大人なのか。

結婚前だったらどうなってたのかな。

もみじ 様

司君しばらく会社に泊まりこんだほうがいいかも・・・。

ウソヘタすぎですよね。

あずきまめ 様

いつもは鈍感なつくしちゃんが今回は~

妊婦になるといろいろ敏感になっちゃいますからね。

中体連御疲れさまでした。

陸上の場合は子供がどのくらいのレベルなのか予測がつくので気楽なものです。

決勝まで進んでくれるとうれしんですけどね。