パズルゲーム 30

納得できるか!

司君の後ろの背景には燃え上がる炎が見えるような気がいたします。

どうなる!

どうする!

つくしちゃん。

逃げ―――ッ。

*

「外で待ってろ」

低く不機嫌な声に何も言えずに執務室を追い出された。

くるりと身体をまわされたおしりを足で蹴り上げたような冷たさを感じる。

ただいま司 vs 花沢類。

審判は何事にも冷静な秘書の西田さん。

きっと見事なジャッジを見せてくれるに違いない。

切実な願いを胸に秘め閉じられたドアに耳を押し付けた。

防音設備は完璧でなんの音も漏れてこない。

私の実家のオンボロ社宅なら筒抜けなのにッ。

モノが飛んできたらさすがに分るだろうとガシッとドアにへばりつく。

壁に張り付くカエル。

物音ひとつ聞こえない静かさにホッとため息がでた。

本来なら私が出ていく前に何か物が飛んできそうだもの。

今のところ司はおとなしく我慢に耐えてるみたいだ。

私が執務室を出てから5分が経過。

「あの・・・」

「・・・奥様」

女性の声に振り返ってみた。

金髪碧眼長身の西洋系の美人がにっこりとほほ笑む。

日本語・・・。

奥様って・・・私だよね・・・。

「あっ・・ハイ・・・・」

まだ慣れてない呼びかけにくすぐったくて照れくささがある。

「こちらでお待ちください」

進められたソファー。

座ってもすぐに腰が浮きそうになる。

ガタッ

かすかに聞こえた音。

「いい加減にしろよ」

ドアが乱暴に開いて苛立つ顔の花沢類。

その先に殴られた様に床にしりもちをついてる司が見えた。

えっ・・・。

この立ち位置逆じゃないの?

「本気か」

司が苦々しく口元を拳で拭いながら立ち上がる。

「行こう」

司に背中を向けたまま花沢類が私の肩に手を置いた。

えっ?

なに?

これ?

なにがあった?

私、このまま花沢類と行くの?

えっ?

呆けた状況で首を必死に後ろに向ける。

凄みの帯びた視線の横には全く表情の変わらない西田さんが並ぶ。

数秒の沈黙。

数メートルの距離の中で螺旋の渦が見える気がした。

「ちょっと、花沢類、なにがあったの?」

足を前に出すのをためらう様に身体に力を入れる。

「今回は俺を信じて、ついてきて」

ついて来てって・・・

気軽に恋人役をやれる状況じゃないみたいだけど・・・。

「勝手にしろ!!!」

司の怒鳴り声と同時に、足でけり上げたドアがバタンと壊れそうな音をたてて閉まった。

「いこう」

いこうって言われても・・・

あっちも無視できるわけがない。

急転直下の変化に対応できずに慌ててしまってる。

いつもなら私を取り戻すのに必死になるはずなのに、私を投げ出してしまうような司の態度。

この変わり様は可笑しくないか?

「何か企んでる?」

あの名軍師の策略家の西田さんもソバにいたんだもの、二人が簡単に争う状態を作るわけがない。

「人聞きの悪い事言わないでくれるかな」

花沢類が見せる魅了する微笑。

ヤッパリ・・・

本気で司とやりあってなんてないじゃないの。

「訳は後で話すから」

花沢類が耳元でそっと呟いた。

拍手コメント返礼

みえこ 様

この続きの全貌は次回明らかに!!

本格的な離婚の危機はいずれまた♪

もみじ 様

つくしだけ蚊帳のそと♪

あんまり仲間外れにしとくと後がねぇ~。

ですよね。(^_^;)

アーティーチョーク様

まあ、まあ、まあ~。

ここはごゆっくり観覧を♪

『離婚』に『不倫』

つかつくには無用の言葉♪

たぶん・・・(>_<)

あずきまめ 様

司君が芝居をするほどの理由とは!?

意外に単純だったりしてね。