我儘な僕に我儘な君 16
今回はお初の佑君サイドでお話を書きたいと思ってます♪
なんにでも夢中になって真剣になる舞。
俺が隣にいることなんて忘れてるような横顔が画面の動きを追いかける。
半分は舞に気をとられてる俺は、画面に流れる赤いマークと青いマークに気もそぞろ。
見ろ!
半音ずれて太鼓をたたくのが遅れてしまった。
「もっ!」
自分の太鼓じゃなく舞の太鼓にバチを打ち付けた俺に向ける不服そうな舞の顔。
やっと舞が俺の存在を思い出した。
舞のバチが今度は俺の太鼓を叩く。
左右合わせて4本の腕はゲームを楽しむより互いにちょっかいを出しあってる。
「子供みたいなことしないでよね」
「どっちが子供だ」
怒って、膨れて、バチで軽く身体を突っついて、そして、笑いあった。
「パーティーより楽しいね」
ゲームが終って太鼓の横に舞がバチを置く。
俺の手からもバチをとって台の上に俺の代わりに舞が置いてくれた。
雨に濡れて背中に張り付いたシャツの生地。
体温を奪う冷たさが肌に伝う。
くしゃみが出そうな鼻の下を拳で塞ぐ。
「大丈夫?」
下から覗き込む大きなくるっとした瞳が不安げな表情を見せる。
「熱が出たら舞に責任とってもらうから」
「寒い?」
責任の言葉の意味はスルーか?
「帰った方がいいかもね」
シャツの裾を舞が掴む。
入り口に向かって俺を引っ張る舞。
まだ、会場を二人で抜け出して1時間も経ってない。
折角作った二人の時間。
翼が俺達の間にいないのって久し振りなんだぞ。
舞の親父さんの目を盗んで作った貴重な時間の意味を舞は分ってるのだろうか。
そろそろ幼馴染から、友達から脱却したい俺。
今までもそれなりに俺の気持ちを舞には伝えてた。
「一緒に帰ろう」
誘うと翼や槇が一緒だし。
俺が誘ってるのは舞だけだ。
そんな俺の気持ちは気がつかず、舞と槇が並んで歩く後ろは男二人が眺めて歩く。
翼もさ、槇の後ろ姿を嬉しそうに見ていない攫ってどっかに行けばいいだ。
悩みがあったら俺に相談してって言ったらあきパパの方が頼りになる!だもんなぁ。
俺のライバルはオヤジかと泣きたくなった。
「そう見られたんなら、俺は嬉しいけどな」
知らないやつが俺たちを見てイチャイチャするなと冷やされた時に舞に告げた言葉に嘘はない。
鈍感すぎるだろ!
駄目だ・・・
ストレートな言葉じゃないと舞には通じないか。
子どもの頃から俺は舞だけしか見てないんだけどなぁ。
いい加減、気がつけよ。
「スキだ」
言わなきゃダメか・・・。
「ねぇ、雨あがったよ」
くるりとスカートの裾を広げて無邪気に舞が微笑んだ。
数段の階段を下りてゲームセンターから外に出る。
「おい、さっきはよくも無視してくれたな」
「スーツなんか着こんでるから誰かと思ったらまだガキじゃねェか」
「もっと面白い遊び教えてやろうか?」
品のない笑い声。
俺達に因縁をつける輩は英徳にはいない。
それは親の壮大な経済力と影響力だけじゃない。
「舞!やめっろ」
遅かった・・・。
回し蹴り一発で路上に転がる男。
負けん気が強いっていうか、手が早いって言うか・・・
自己防衛のためって小さいころから習わされた護身術。
その才能を開花させたのは翼や俺より舞の方が上手。
だから、みんな舞を怒らせたらやばいって知っている。
数秒遅れて路上の上に舞のパンプスがカランと音をたてて転がった。
「てめっ、女だと思ってっ・・・」
舞を庇う様に前に出ようとした俺の前で、絡んできた男たちは顔色と言葉を失ってしまってる。
スッーと目の前が暗くなるように目の前に現れた背中の壁。
いたのなら、早く出てきてよ、道明寺のSP集団。
俺達のつかの間のデートはこうして終わった。
舞は、デートって分ってくれてるのだろうか・・・。
拍手コメント返礼
tatami 様
司君・・・
対応といううより対決。
ここにF3が顔を突っ込んで~♪
何てお話がオモシロそうなんですけどね。
Gods&Death 様
頼る女性より頼られる女性の方が好きなんですよね。(笑)
ということで強くしちゃいました。
黙って俺についてこい!!
最近はこの手の男性はモテないんですよね。(^_^;)
あずきまめ 様
そうそう♪舞ちゃんは守られるだけの女じゃない!
自分で砕いて進んでいく~
そのままドツボにはまらないといいんですけどね。
つくしの子供だからなぁ~。
デートあっさり終わらせちゃいました。
先が長いので・・・(^_^;)
おかゆ様
両思いなのに、このジレンマ!
佑はきっと舞ちゃんの気持ちわかってるんでしょうね。
次のデートはいつだろう・・・。
アーティーチョーク 様
両思いだけどそこに気が付いてない二人。
楽しくなりそうじゃないですか? ← 楽しんでるのは私だけかな・・・(^_^;)
妊娠騒動はそのうちにはっきりさせますよ。
はるちゃん 様
初コメありがとうございました。
この二人の話もやっと動き出した感じです。
ここから佑君の苦悩が始まるのかな。
携帯からでもPW申請は大丈夫ですよ。
その場合は携帯からの返信希望と一言追加で申請してくださいね。
ココア 様
ここでようやく佑君の気持ちが~
長かったですよね。(笑)
折角いいところの雰囲気を自ら壊す舞ちゃん。
「佑、怖い」なんて後ろに隠れるタイプにはなりませんでした。
ストレートな告白は何時になるんでしょうかね。
もみじ 様
司みたいに責めなきゃ無理かもしれませんよね。
「俺に惚れてるだろ」
佑君は言えないだろうなぁ。(^_^;)
短いデートのご不満はごもっともです。(笑)
あんまり続けるとネタ切れになりそうなので今回はお許しを~~~~~。
はるとん 様
男ならはっきり決めて「すきだーーー」と、一言でいいのにね。
ひねって言ってもつくしちゃん譲りの鈍感さの舞ちゃんには通じないと佑君に教えてやってください。
ぐいぐいと司の様に押さなきゃ手に入れられないかもしれませんよね。