パズルゲーム 31

今回の事件のカギをだれが握る?

そんな展開を考えて執筆してます。

あんまり引っ張るとややこしくなりそうなので今回はネタばらしのお話になります。

*

「外で待ってろ」

苦々しく口を出た言葉。

不愉快さはつくしに向けたものじゃなく自分に向けたもの。

「類、やり過ぎだ」

つくしが執務室のドアを閉めたのを確かめながら椅子に深くすわり直して類に視線を投げる。

「言い出したのは司でしょ」

脚を組んで腹の上で優雅に手を組んで、余裕を浮かべて微笑む類。

あぁ!そうだよ!

俺だよ!

ライバルからの画策は今までだって皆無じゃない。

きれいごとじゃない競争社会にうずまく悪質な陰謀。

日本じゃそこまで警戒しないでいいことも、国が変われば対応を変える必要も出てくる。

今回結婚したばかりの俺が一人でNY支社に出張したことが要因の一つ。

こっちじゃパトーナー同伴が不可欠なことも多い。

妻がいるのに同伴できねェのはマイナスのイメージになりかねない。

結婚がうまくいってないとか。

浮気がどうとか、こうとか。

よっぽど結婚する前の方が楽だったよ。

お袋か、姉貴で事は足りたからな。

俺が、一人でNYにいる間に近づいてきた女は一人じゃない。

色目を使った女が近づいただけで、写真を撮られて『今夜の相手』だと書きたてらる。

不愉快な表情をとられても光悦の一夜と書かれる身にもなれ。

「あんまり、司が相手にしないから、ターゲートを変えられたんだよね」

相手にしない俺にしびれを切らしたように標的がつくし変わったと知った数週間前。

知らない男がつくしに近づくより類に任せた方がまし。

そんな思惑があった。

「ちょうど、うまく、俺も見合いの話が持ち上がってる」

互いの利益が結びついて考えた計画。

俺の方には以前から顔見知りの相手のつくしの相手。

それも俺の親友。

恰好の餌に食いつかないはずはない。

類の方は見合い相手はつくしの正体を知らないから、それはそれで類の恋人だとつくしを思わせればいいだけのこと。

「俺、気のある振りは出来ないから、牧野なら助かるよ」

「つくしに本気になるなよ」

笑って冗談を言えたんだよ。

あの時は!!!

「牧野と司の関係がすぐにばれるといけないから牧野は学生だということにしたから、時間はこれで稼げる」

類とのやり取りに感じた嫌な予感。

アジアを飛び交う途中で寄り道した日本。

英徳高校の制服に身を包んだ牧野。

「服を整理してたら制服が出てきて懐かしくてね」

焦った表情がわざとらしく笑みを作る。

学生って高校生か!

類の奴!

あの頃こいつは類が好きで・・・

忘れていた記憶がむらむらと湧き上がって嫉妬に変わる。

なにが懐かしいだ!

類の言いなりじゃねぇかッ!

まぁ、あの時は・・・

「制服をぬがせて征服したくなった」

と押し倒して、つかの間の逢瀬を楽しんだからいいんだけどな。

日本を留守の間に送られてきた類とにこやかに見つめあう写真。

俺とも撮られたことねェだろう。

もうやめだ!

そう思ったら、生命を脅かす様な脅しが俺に届く。

それよりまだ浮気で騒がれてた方が安全。

こっちで押してうまく対処する手段に決めた。

気を張ってる俺にお構いなしに、こっちに来たすぐに、初対面の奴を引き寄せてる無防備ぶりのつくし。

どれだけ俺が疲れるかお前にわかるか?

やっぱ、類ははずせねぇ。

そう思うしかない。

「司と、牧野はヨソヨソシクしていた方がいいんだよね」

だからって、俺の執務室でべたべたする必要はねえだろうがぁぁぁ。

「修羅場を演じて代表にはここで怒り狂ってもらえれば最高の出来です」

「もう少しでうまくいきそうですから」

類と西田で俺の怒りを上乗せさせてくれる。

不仲と見せかけて、それが噂にすぎないと分かればその変動は大きく道明寺に利益を生む。

なんせ、今回の仕事はウエディング式場が絡む一大イベント。

その会社のTOPが結婚後、直ぐに、もたついていたらどうにもならない。

あの時は軽く考えていた。

自分で筋書きを作ってムカついてる。

俺の嫉妬心は想像していたより強いらしい。

「それじゃ、牧野は俺に付きあってもらうから」

あと少しの辛抱。

何度となく自分に言い聞かせて冷静さを装う。

「それじゃ、はじめないとな」

フッと零した冷淡な笑み。

冷酷な感情を引き出すしか自分と繕うすべがない。

フッと小さく息を吐いた類の顔が引き締まる。

「それじゃ、遠慮なく」

類に殴られたのは予想外。

インパクトあるから」

「俺が部屋を出るまで、呆然としてて」

俺の襟をつかんだ類が小さくつぶやく。

言われなくても意味がわからねぇよ。

殴るんだったら俺だろうが。

「つっ・・・」

思い切り殴りやがって・・・

「いい加減にしろよ」

背中を向けた類が執務室のドア荒々しく開いて叫んだ。

類が叫ぶのもインパクトあるぞ。

その証拠に今にも目が落っこちそうな表情が俺らを見比べてる。

つくしに寄り添う様に肩に手をおく類。

いつもならそんな真似はさせねェッ。

「勝手にしろ!!!」

立ち上がってドアを蹴り上げて閉めた。

「おつかれさまでした」

西田が俺の横で深々と頭を下げたのを横目で苦々しくジロリと睨んだ。

拍手コメント返礼

Gods&Death様

どうしてつくしには内緒に?

それお話を面白くするためです。

断言!!(笑)

もう少しつくしの成長過程の速度を緩めて楽しみたのしませていただきたいと思っています。

アーティーチョーク様

司が書いた筋書きだと分かったら、ただじゃすみませんよね。

どんなお仕置きが待ってる事か・・・(>_<)

それに動じない俺様司もたまにはいいかも~

いや、ヤッパリ、焦る司の方がいいかなぁ。

チェックありがとうございます。

プンちゃんのママ 様

携帯返信しました。

ふたを開ければ今回の黒幕は司君♪

意外な展開だったでしょう。

もう二度とこの手は考えないでしょうけどね。

あずきまめ 様

今回は、名軍師の西田さんの活躍が今一つだと思いませんか?

油断ないように読んでくださいね♪

まだまだ仕掛けが・・・ある?

まちゃこ様

知らないのが自分だけって一番ムカつくパターンですよね。

反撃はあるのか!