いくつもの嘘を重ねても 29
司君の悩みは尽きそうもありませんが、これでますますつくしから離れられなくなったのは決定ですよね。
喜んでいいのか、悪いのか・・・どっちらでしょうかねぇ。(#^.^#)
*遠慮がちとでもいうか、道明寺を怖がってるような顔が3つ道明寺から私に視線を向けた。
なんとなく見覚えのある場面。
良く見てた様な・・・。
それと「玉の輿?」の合唱!
「たまのこし♪、たまのこし♪」
こっちはお祭りがいくつも合体したような盛り上がりだったような気がする。
玉の輿じゃなく祭り神輿を担いだ賑やかさで楽しげなパパとママと進の姿。
一瞬はっきりと頭に浮かんでぼやけていった。
いったい・・・なに?
「牧野はここに置いとけそうもないので連れて帰っていいですか?」
確認じゃなく確定の意思を持つ道明寺の声。
コクコクと必要以上に3人が首を縦に振る。
「ちょっ、折角今なにか思い出しそうだったのに!」
「大したことじゃねぇだろうが」
内容も聞きもせず横柄な態度。
そりゃ、思い出したのは玉の輿と祭りの御神輿だけど・・・。
「一人にしとくとなにしでかすかわかんねェからなッ」
煮沸寸前の表情が私を見下ろす。
こんな態度をとられるとなぜかムカつく。
「忘れ物を取りに行くだけでしょう」
ムッとなった感情はそのまま私を頑なにしていく。
「ネックレスのことは俺に聞くまで忘れてたろうがぁ」
道明寺の態度も絶対引かないって傲慢さで私に迫る。
「大事なものだって思ったんだもん」
「それじゃ、聞くが、どんなネックレスだったか覚えているのか!」
あっ・・・それは確かに思い出せない。
言い返せずに口をつぐむ私。
「そんな状況で錦織に会ったらまた騙されるのがオチだぞ」
勝ち誇った道明寺に鼻で笑われた。
やっぱり、ムカつくーーっ。
気が付くと指先は何かを確かめるように胸元を彷徨った。
触れた首筋をかすかに摘まんで感じた虚空。
何かが足りなくて、不安だった気持ち。
それがたぶん道明寺の贈ってくれたネックレスで・・・。
きっと大事なもので・・・
私には賭けがいのないもので・・・
命より大切だって思えるものだったのかもしれない。
「ネックレスを見つけたら何か思い出せそうな気がするのよ」
一瞬の沈黙。
深く吐いた道明寺の息が冷ややかで部屋を冷却した。
「俺を見ても全く思い出せねぇのにか」
不機嫌さは半端なくてそのまま地獄に引きずりこまれそうな錯覚を生む。
「道明寺がくれたものだから大事だって思ってるんじゃないの」
両脚を踏ん張らないと倒れ込みそうな自分を必死で頑張って声を出す。
「俺が一番大事なものはお前だ」
「牧野、お前がいれば俺はいいんだ」
お前はそうじゃないのか?
私を覗き込む道明寺の瞳は熱く、そう私に訴えて、私を狼狽えさせる。
さっきの冷ややかさと対照的な熱。
見つめられてる事に耐えられそうもなくて外した視線。
何も見てません!
私と目があった瞬間に、その3つの表情がドアを閉めて隠れた。
「行くぞ」
道明寺に掴まれた手首。
そこから伝わる熱は全身に広がってドキドキさせる。
何も言えないままに、私は私の家を玄関を道明寺と二人で後にした。
拍手コメント返礼
ことり様
最初は切なくても最後までその路線を維持できないつかつくの物語。
切なさを乗り越えてうきうきと読めるようになって良かったです(笑)
私も最近物忘れが・・・
人の名前も憶えてないし、悪いことに自分の書いたものも読み返すと、こんなこと書いてたんだと新鮮さを感じる今日この頃です。(^_^;)
アーティーチョーク 様
ようやく無事を確かめることができた娘を渡していいのか!
相手が道明寺で、牧野家ならありですよね。
本当にペンダントは錦織家にあるんのだろうか・・・。