我儘な僕に我儘な君 19

暑い夏、海に山に夏祭りに、花火大会。

高校生の夏は楽しいだろうなぁ~。

このお話の時期って何時だったかな?

まあ、その辺は深く考えない様にしてくださいませ~。

*

「今度の花火大会一緒に行きませんか?」

「どうして僕を誘うの、ほかにもいるでしょ?」

容姿端麗はクラスだけじゃなく校内1だと少しも自覚してない反応で、さわやかに微笑む。

それじゃなくてもお金持ち集団のこの英徳でも、群を抜く道明寺、美作というブランドは、王室並みの威力を発揮してるんだから!

少しぐらい性格が悪くても顔が悪くいてもモテると思う。

「美作君、付き合ってる子いないでしょ?だから一緒に一緒に行かないかと・・・」

遠巻きから徐々に佑を取り囲む集団。

男子一人が5~6人の女の子を引き連れて歩いて何が面白い!!

男子は嬉しいと思うもの?

私を全く気にしてない佑が白々しく見える。

少しは気にしろ!

佑を囲む女子の中には、しっかり私を意識して挑戦的な視線を向けてくるやつもいる。

指の間に挟んだままのペン。

鉛筆なら折れてる気がした。

「舞は、花火とか見に行かないの?」

私の机の側で佇むすずなが小さくつぶやく。

「結構行ってるよ、うちのママは庶民派だからね」

「翼は、庭で花火は打ちあげるって言ってたけど・・・」

何時もすずなの側に影の様についている翼にチラリとすずなが視線を見けた。

派手なことをやりたがるのは何時もパパの方で、やらかした後にママと一悶着あるのは恒例行事みたいなものだ。

「一緒に行こうか?」

翼にいじわるするように冗談ですずなを誘った。

行くなら翼と二人がいいよね。

「いいよ、行こう」

喜んだ表情で了承したすずなに私の方が動揺してしまってる。

翼の奴、なずなとケンカ?

そんな雰囲気でもないのは二人をみてればわかる。

「何言ってんだよ」

私以上に動揺してる翼。

「舞と二人だけで行かせられるわけないだろう。第一親父がうるさい」

「ぜったい、なにかあったら困るって親父が付き添ってくるぞ」

「今、パパはそんな暇ないと思うけど」

私たちを妊娠した時よりもつわりに苦しんでるママ。

暇さえあれば心配そうに付きそってるパパ。

今は私どころじゃないって思う。

それより、私やパパのせいにせずすずなと行きたいって言えばいいのに。

顔にはしっかりそう書いてある。

すずながこらえきれない様に声を吹き出した。

「その日は先約があるから」

佑が自分の席をスクッと立って私たちの方に近づく。

「こっちの方が面白そうだ」

「なにが?」

何処から私たちの会話を聞いていたのか・・・

鼻の下を伸ばした佑の態度にまだムカついている。

「モテていたのにいいの?」

自分でもかわいくないって思う不機嫌な声。

佑を責めてるのは筋違いだと分ってるのに自分じゃどうしようもなく心がぐらつく。

「好きでもない子に誘われてもしょうがないでしょ」

じっと見つめる真剣な瞳。

諭す様な、あやす様な、優しい響きを持った声。

何かを期待しちゃうような佑の態度。

だったらすぐに断ればいいのにッ!

一瞬で佑の腕の中に引きこまれていくよう体中が熱くなる。

「4人で行けば楽しいよな」

とってつけた翼の声。

「翼は槇と二人っきりがいいとか思ってないよな」

クスッとわらってからかう態度を佑が翼に向ける。

「しょうがねェからお前らも連れて行ってやるよ」

腕組みをして横柄な態度を翼が見せる。

「私は舞と二人でも楽しいって思うってるんだけど」

「おいッ!」

すずなの声に翼の横柄な態度が一瞬で崩れる。

ケラケラと声をたてるすずなに翼の焦った表情がホッとしてムッとなった。

「あんまり、冗談いうなよな」

そして、翼は照れる様に両頬を崩して笑った。

拍手コメント返礼

もみじ様

青春ですよね~。

初めての夏を二人でどう過ごすの~。

アーティーチョーク様

行ってらっしゃいとつくしなら送り出してくれるんでしょうけどね。

いくらつくしのことで頭が一体でも司じゃ許さないだろうなぁ。

あずきまめ 様

帰省に応援御疲れさまでした。

Wデートは無事に終わるのか!