いくつもの嘘を重ねても 32

台風が~

週末どうなることか

雨は多そうですけどね。

*

「司に面と向かって、モノが言えるのもあなたただけよね」

その人はそう言って、わずかに微笑した。

不愉快さとかじゃなくて、楽しげな笑み。

「記憶がなくてもそこは変わらないのね」

未来のお姑さんに可愛いお嫁さんとは私は思われていないのだろうか・・・。

少し心配になった。

一般家庭から財閥へ嫁ぐ。

あの古ぼけたアパートからこの邸宅。

ドラマ的には良くある生まれ育った違いからの確執。

本当は家柄のいい上品な御嬢さんをお嫁にとかで反対されたとかあり?

「俺と牧野が付き会うのを反対して邪魔していたのは、どこのどいつだ!!」

そう怒鳴った道明寺は鋭い眼光を向けていたのはお母様だった。

息子の恋人は恋敵みたいな感情が母親にはわくって聞いたことあるし・・・

うちのママの場合は進が彼女連れて来たら赤飯をたいて喜びそうだけど。

そこからどうにかなって渋々と私のことを認めたとか・・・

「さぁ、誰だったかしら」

なんとも優雅に聞こえる声。

その声に相反するように道明寺の頬がヒクヒクと振るえてるのが分かる。

道明寺の不機嫌の度合いは増強してる気がした。

私に見せた微笑は、私を気に入ってないとは思えない温かさを私に伝えてくる。

きりっとした強さと威厳、リーダーの気質はお母様からしっかり道明寺に受け継がれてるって思える。

凛とした微笑。

「本当に安心しました」

世界をつかさどる女神が目の前でもう一度見せる微笑。

この人に反抗できるなんて思えない思えた。

「ありがとうございます」

腰を90度に折り曲げて頭を下げる。

「お袋の機嫌を取らなくていいぞ」

「別にとってないから」

さっきから道明寺とはツンとした抵抗し合う会話しかしてない気がする。

「まずは、ネックレス・・・」

そう私が呟いた瞬間から言い合って触発寸前。

道明寺からもらったものなら・・・

好きな人からもらったものなら・・・

肌身離さず身に付けていたものなら・・・

それはきっと、記憶のない私にとっても大切なものだと思えるものだから ・・・

取り戻したいって想いどうしてわからないのよ!

「もっといいやつ買ってやる」

そんな問題じゃないと思う。

ネックレスの価値は値段じゃなく、道明寺が私に初めて贈ってくれたものってとこに価値があるんだから。

どんな高価な物を贈ってもらってもそれは土星のネックレスの代わりにはならない。

不確かさな記憶なのにそう思えるのが不思議で、そして当たり前の気がした。

ん?

土星

ふと頭に浮かんだものは白っぽい真珠なのかな?

その周りに金色の輪がはまって土星の形に作られた小さな形。

指先で転がしてる感覚は、甘酸っぱくて、幸せで、いつも一人のことを思っている自分が浮かぶ。

自然と指先が胸元に伸びてそこにある何かを確かめる様に動く。

力なくつまんだのは自分の肌。

緩やかな曲線の感触は確かめることができないまま不安な気持ちが胸を占める。

時々自分が胸元に手をやる仕草がなんだったのか、靄が明けた瞬間。

ヤッパリ、無くしちゃいけないもので、なによりも大事なものなんだって分かる。

土星の、ネックレス・・・」

「えっ?」

道明寺が目を大きく見開いて私を見つめる。

「思い出したのか?」

「ネックレスのデザインが浮かんで、それだけ思い出した」

そのネックレスに対する自分の想いも・・・。

それなのに道明寺との思い出は未だに遠くに離れてるままだ。

「やっぱり・・・諦めきれないよ」

目頭が熱くなって泣きそうになってるのが自分でもわかる。

「牧野・・・」

私に伸ばした腕は躊躇するように肩に触れる前に止まって、ギュッと拳を作って道明寺の脇に戻る。

「しょうがねぇ」

「そのかわり、一人で突っ走るなよな。どこまでも俺と一緒だ」

きりっと引き締まった表情がくすぐったくなるような笑顔を私に見せた。

拍手コメント返礼

やなぎ様

夏休みも週末をのこすだけになりました。

最期の週末はお天気があれそうですけどね。

宿題は21日で全部終っちゃってました。

登校日までに提出しないと部活が停止にされちゃうそうで、後半の夏休みは

のんびりしてますよ。

いいのか中学生!

学校が始まったらすぐテストだぞ!!

と親の方が焦っております。

最期に司がつくしを抱きしめられないのは心にグンときますよね。

司頑張れ――――とドS倶楽部の皆様にも声援していただけるものと思っています。

あずきまめ 様

一歩前進です♪

さぁ!

ここから物語は後半に突入します。