我儘な僕に我儘な君 22
佑君が告白したよーーーー。
というところで佑君サイドのお話のリクをいただきました。
べつなお話をUPする前にお届けいたします。
*月明かりが照らす横顔は小さく笑って瞳をキラキラと輝かせる。
髪を結い上げて白いうなじに後れ毛が濡れてるようで、何時もなら幼く見える横顔が今日はやけに大人っぽく見える。
目が離せなくてただただ、舞のクルクルと変わる表情を眺めてた。
たくさんの露天が左右に並ぶ祭りの会場。
それをキョロキョロ眺めながらはしゃぐ舞。
時々思い出したように俺を振り返って呼ぶ声。
舞!可愛くなり過ぎ。
チラチラとさっきから舞に向けられる視線がやけにチラついて気になってしょうがない。
「あの子かわいい」
そんな小さな呟きさえも敏感にさっきから耳が聞きつけてしまってる。
見せつけるように舞の持つかき氷に口をつけた。
「私のだから!」
「それ買ってやったの俺だろう?」
「数百円でガタガタ言うほどケチじゃないでしょう」
向けられたしかめ面。
憎めない表情がまた一つ心に刻まれる。
金魚すくいに興味を示して丸いゴムプールの前に座り込んで動かなくなった。
「かわいいよね」
クルクルと元気に泳ぎ回る赤い金魚。
「舞にそっくりじゃないか?」
「金魚と一緒にするな」
文句を言いながらクスクスと楽しそうな笑い声をあげた。
側に座り込む子供の持つ小さな入れ物。
水しか入ってない現状を確認して「頑張ろう」なんて声をかけてる。
どっちが子供だ。
「ハイ」
振り返って上に向ける手の平。
「なに?」
「お金持ってないから」
「やるの?」
「この子に一緒にやろうって誘われたから」
誘ったの舞じゃないのか?
真剣にタモを右手に持って浴衣の袖を上に舞がまくる。
さっきまで見せた色っぽさどこ行った?
金魚を追い掛け過ぎて破れる和紙。
どう見ても舞が金魚を掬うのは無理。
「それじゃだめだ」
再度お金を払って舞の手にタモを握らせる。
その手に自分の手を添えてすくう金魚を決める。
「すくう一瞬に水に付けるんだよ」
一気に水に沈めてすくった金魚を小さなお椀に移した。
「すくえた」
星でもすくったようなはしゃぎっぷり。
二人で歩きながらビニール袋に入れられた金魚をユラユラと嬉しそうに揺らして舞が見つめる。
「祭りって、こんなに人が多いんだ」
肩がぶつかりそうにすれ違う人込み。
わざと舞にぶつかってんじゃないよな?
そんな男から守る様に舞の身体に触れる手前の数ミリで壁を作ってる。
いい加減疲れた。
「キョロキョロすると迷子になるぞ」
きょう何度目かの舞の手の温もり。
手を握るたびにキュンとなる。
心拍が上がりそうな自分を舞に知られたくなくて言葉数が少なくなってしまう。
俺の指先をシッカリと握り返す様に動いた舞の指先。
くすぐったさと胸の奥がジンとする高揚感。
喉の奥から言葉じゃ表現できない感覚がこぼれる。
「帰るまで離さないから」
いや・・・
ずっとこのまま時が止まればいい。
半歩後ろのままで後ろに伸びた腕は舞の息遣いをしっかり感じ取っている。
歩くたびに二人の距離は近づいて肩が触れ合う位置に舞が並んだ。
浴衣の生地越しに感じる舞の体温。
じっとりと汗をかいてるのは夏の暑さだけのせいじゃない。
「翼たちどこ行った?」
気を紛らわせるように今までに気にもかけなかった翼を思い出す。
一番安易な逃避。
「あいつら、わざとじゃないよな?」
翼は俺が舞を好きなことを知ってる。
俺のことより自分が槇と二人になりたいだけだって思うけど。
はしゃぐ舞が俺から離れたら大変。
二度と俺達だけで屋敷を出ることは許されないって思う。
舞と付き合う前に、舞の親父さんから怒鳴られること間違いなしだ。
包み込んだ舞の手のひらを離さない様に指をシッカリと絡ませる。
ドキッとした表情の舞が下から俺を見つめる。
「迷子になったら大変だからな」
不安そうに見つめる瞳。
大きくて、吸い込まれそうでこのまま抱きしめたくなる。
「子どもみたいに扱うのやめてくれない?」
舞の少し怒った声が抱きしめようとした腕の動きを思い留まらせる。
「舞を舞いとして扱ってるだけだろう」
完全にむくれてかみつきそうな声。
本能を逸らしてくれる舞に感謝。
鼻先に近づけた口もと。
そのままクスッと笑って声が出る。
もう一回り舞の頬が膨らん。
指で押したら弾けるぞ。
「男なら好きな子を離したくないって思うもんなんだぞ」
膨れッらが疑問符を貼り付けた表情に変わる。
そしてポッと色を付ける頬。
ここで抱きしめても構わないよな?
グッと脇を締めるように動いた舞の手つるりと俺の手の中から抜け落ちる。
「何時までも握らないでよね」
少しどもった声は照れてるのを隠してる?
「舞?」
「ねえ、翼たち探さなきゃね」
・・・?
舞・・・っ?
告白したの伝わってないのか?
そそくさと前を歩く舞。
足と手が一緒に出てるけど?
丸っきり動揺してるぞ。
伝わってない訳じゃないみたいだ。
一瞬落ち込んだ気持ちがうれしさに変わる。
「翼たちはほっとけよ。二人で楽しもう」
すぐに追いついて背中から舞にかけた声。
白かったうなじが真っ赤に染まるのが見えた。
拍手コメント返礼
もみじ 様
あの二人の遺伝子が一番の障害って感じですね。
でもそこが面白い~。
佑君もあきらも苦労しそう。
ことり様
こちらも雨ですよ。
ついでに台風で今日の朝臨時休校の連絡が~(;_;)
子どもには勉強!と言いつつ私はPCへ~
雨が降ってどこかで雨宿り♪
うんうん、そのシュツ考えてました。
今年はゲリラ豪雨で突然中止ってありましたものね。
goemon 様
告白した後に次に来る障害は?
司かそれとも舞ちゃんか?
はたまたライバル出現!
どのパターンにするかただいま試行錯誤です。
あずきまめ 様
たしかにそう叫びたいかも~♪
アーティーチョーク様
舞ちゃん佑君の告白にどう反応するのか!これで変わってきますよね。
逃げ出さなきゃいいんですけど。(^_^;)
あっ・・・
妊娠騒動忘れてました。(笑)