いくつもの嘘を重ねても 33
おはようございます。
台風で学校は臨時休校。
うっ・・・
夏休みが終わったと喜んでいたのにこの仕打ち。
子どもは大喜びですけどね。(^_^;)
*「怖くねェの?」
目の前で硬く閉じた門。
玄関に続く石畳の左右には花壇の花が色とりどりの花を咲かせる。
遠くにそびえるように見えるモダンな洋風の屋敷。
錦織も日本有数の企業の威厳をそこに見せつけている。
「だまされたのは悔しいけど、省吾さんいい人だったって思う」
いいやつが誘拐なんてするかよッ!
つーか、俺の前で他の男を褒めるな。
俺の感情を感知してない表情はそのまま「よし」と唇を噛む。
事故の後、行方不明になっていた牧野。
この家の庭先で、ベビーカーに乗せた子供に話しかけてるお前の姿を見つけた時、心臓が止まりそうだったんだぞ。
穏やかで、優しげに子どもを見つめてる。
俺じゃない相手に、見せる愛着に、嫉妬した。
眠れない夜をどれだけ過ごしたか、全く関知してない日常の時間がそこだけ自然に時が流れて、俺のいない空間に牧野がいた。
すぐに飛び出したい衝動を抑えたのは「記憶を無くされてます」そう告げた西田の言葉。
牧野の前に俺が姿を見せるまでの葛藤。
俺に我慢を強いた償いはさせるから覚えとけ。
未だに、記憶の断片をつなぎながらもいまだに俺の事は思い出してない牧野が俺の横にいる。
本能のままに抱けなくても今は牧野が側にいることが幸せだって思える。
今のこいつに一番大事なものは俺の贈った土星のネックレス。
普段ならどんなに高価なものにも執着しない牧野がただ一つ執着を見せる。
俺自身より牧野の記憶につながってるカギつーのがネックレスて言うのも皮肉だよな。
呼び鈴を推す前に自動に左右に開く白い門。
不安だと俺に告げるようにギュッと牧野がシャツの袖を握る。
「今度は、なにがあっても守るから」
大きな瞳は瞬きもせず、真直ぐに前を見つめる。
返事の代わりに牧野の両肩が上下に揺れた。
玄関から通されてリビング。
少しやつれた表情の錦織。
「会社にカンヅメかと思ってけどな」
ソファーにドカッと腰を下ろして背もたれに腕を伸ばして腕を組む。
「さすがに、大企業4つで組まれると形なしですよ」
顎のラインに沿って伸びた無精ひげ。
シャワーもまともに浴びてない忙しさに追われたって想像できる。
「君には悪いことをしたと思ってる」
俺の側に佇んでる牧野にそう告げて寂しげな笑みを錦織が浮かべた。
顔の陰りがこの男を精悍に見せるのはTOPとしての責任と孤独なのだろうか。
「それでも、後悔はしてない。どんなに似ていても彼女の代わりになる人間はいないって理解できたから」
牧野を連れて帰る前よりさっぱりと表情を浮かべている。
そうだぞ、似ていても牧野は牧野で、こいつの気の強い性格は俺でも持て余す。
俺意外にこいつを全部受け止められる人間もいないって思う。
「私の荷物はありますか?」
来るのが分かったいたという様に目の前に差し出された両手で持てる程度の箱。
「身につけたものは全部入ってるよ」
錦織の声が終る前に開く箱。
あの事故の時、確かに牧野が身に着けていた衣服とバックが箱の中に詰め込まれていた。
「君のために買ったものもあるから」
その声は牧野に聞こえているのか、いないのか・・・。
牧野の手のひらが何かを掴んで箱の中から取り出す。
手の中の隙間から鎖が零れ落ちて銀色に輝いていた。
拍手コメント返礼
綺羅様
台風の影響はほとんどなく気が付かないうちに熱帯低気圧に変わっちゃってました。
学校が休みにならなくても良かったのになぁ・・・
やなぎ 様
急だと予定が狂っちゃいます。
なんの予定?
もちろん、ブログ更新の予定です♪
ペンダント取り戻せたのかな?(^_^;)
ことり 様
おはようございます。
>土星ネックレスと思いきや違うアクセサリーとか、ありえますか?
グフフ♪
取り戻せたらお話は最終回へ。
違ったらお話が長くなる!
実はその分かれ目です。(^_^;)
もみじ 様
つくしちゃんここから何を思いだすのでしょうか?
すんなり司のことを思い出して欲しい気持も・・・
かよぴよ 様
台風の方は全く問題なく過ぎちゃいました。
学校は休校しなくて良かったのにと思えるくらいでした。
地震も大きかったみたいですね。
被害は大丈夫でしたか?
つくしちゃん、司のことを思い出すかなぁ・・・
Gods&Death 様
福岡の方は大丈夫でしたか?
こちらは全くなんにもなかったですよ。
記憶を思いだしたら、終了ですね。
いっそのことまた事故って~。
話が戻っちゃいますよ(笑)
この事故でつくしは記憶を思いだして、今度は司が記憶を無くすとか?
あったらお話が終らなくなるぅ~。