リミット 1

子どもたちの恋バナも順調に進んでいますが、ここでまた小さいころのお話なんぞと♪

駿君6歳、双子3歳(もうすぐ4歳)の設定でお届けします。

ファイナルその後のお話が「不機嫌~」で終っちゃっていたんですよね。

高校生に成長した子供たちのお話と並行してお楽しみいただけたらと思います。

本連載は10月からとなります。

*

「駄目だって」

サラダを手でつかんで口に運ぼうとした翼の手をぬれティッシュで拭いてフォークを持たせ直す。

上質のチーク調のテーブル。

格調のある家具。

テーブルに並ぶ食器も金で縁どったヨーロッパの高級陶器のロゴ付き。

落としても割れないプラスチックの子供用の食器がその間に並ぶ。

久し振りに家族5人が揃った朝の食卓はにぎやかだ。

ガチャガチャと皿をフォークで叩いて鳴る音を楽しみだした舞。

双子の3歳児は反抗期に突入中。

音が面白くないという我儘な態度で舞が、私の目の前の皿にテーブルの上に身体を乗りだして手を伸ばす。

誰が触らせるか!

出来れば私たちの食器も割れない物か、割れても後悔しない物に変えたいくらいだ。

「食器の音を鳴らすな」

子ども椅子の横には泣く子も黙るはずの道明寺総帥。

目じりを下げてダメ出し中。

そんな甘い顔でチビギャング達が聞き分けるはずがない。

翼まで一緒になって皿を叩き出した。

大人しく座って食べれるようになるにはもう少しかかりそうだ。

黙々と上品に食べてる駿を見れば、じきにこうなるはずと安心出来る。

「今日、僕、学校が終わった後、お友達の家に遊びに行っていい?」

食べ終えた後、口元をナプキン拭きながら駿が呟く。

「お友達って?」

「左門君」

自慢げな表情で大きく開いた瞳が輝いて見つめる。

子どものキラキラとした瞳で見つめられると何でも許しちゃう気になる。

「左門って、あの左門か?」

駿が上げた名前は祖父が警視総監で、お父さんも警察庁のエリートで道明寺とのつながり深い警察官一家

英徳に通う子供たちに家柄が悪い子どもなんているわけがない。

高校なれば私みたいな特編編入枠があるんだけど中学までは家柄と財産が入学の基準を決める。

警視総監を呼び捨てに出来るのは司じゃないと無理。

小学に入学して駿も行動範囲も広がっている。

うちじゃチビたち駿がいるとまとわりつくので邪魔らしくて、友達の家に行くのを駿も好むようになった。

同じクラスの左門 駿君。

駿(しゅん)と駿(たかし)同じ漢字で違う呼び名

駿はまだ漢字で書けないからしばらく気が付かなかったが、名前の縁でも左門夫妻とも仲良く付き合う様になっている。

左門君のママも私に近い一般の家庭で育った女性で、英徳の保護者の中でも気を張らなくていい関係が保てている。

学校の行き帰りも、友達の家に行くのも運転手付きの車。

駿が子供一人になることもないので特に心配はない。

遊びにいく家が警視総監邸ともなればなおさら安全。

子どもたちを見送った後、司と二人で道明寺ホールデングス本社ビルへと出社した。

込み入った事例もなく弁護士の仕事も順調。

昼間に予定がないと食事へと自ら私を誘いに来る代表。

数か月前は目を飛び出して言葉を忘れていた事務所の受付の新人も、にっこりとあいさつを返せるようになっている。

「代表に名前を覚えてもらってる新人は私だけです」

それが今のこの子の自慢らしい。

「もしかして、今日も、暇なの?」

嬉々として目を輝かしてる新人は無視して席を立つ。

「悪いか?」

入り口のドアにもたれたまま整った顔立ちは、ふてぶてしい笑みを浮かべて私を見下ろす。

身長差30㎝で見下ろされるだけでも確実な重圧。

「まぁ・・・慣れたけど・・・」

社員食堂のセルフサービスが、なぜだか司が気に入っちゃってる節がある。

セルフをセフレと言い間違えて私を慌てさせたのは遠い昔だ。

そして、司が選んだ食事がその日の売り上げの1位を占める。

社員食堂の売り上げも司がいないときの3割増しになるらしい。

私のおかずに時々伸びてくる箸。

普段なら絶対しない行儀の悪さも周りで見てる社員には好感を持たれてる。

「たまにはさ、私じゃなく、他の社員と食事をとるっていうのもいいんじゃない?」

「ほら、親密度がまして、仕事の御能率が上がるとかあるかも」

ジロリと向けられた視線は怪しく光る。

そこまで、突き刺す視線を向けられるようなこと言ってないと思うけど・・・

「食事して、能率が上がるような楽な仕事はしてねェぞ」

司じゃなく社員!平社員!

うちの新人も司が来るとテンションが上がって、気分良くなって、書類の進みかた早くなるんだから。

最初のころは・・・

舞い上がり過ぎて仕事忘れていたけど、慣れたら大丈夫!

「お前の顔を見てた方がエネルギー補充できるから、つくしだけいればいいんだよ」

ことなげに呟いた司は、また箸を伸ばして私の皿からから揚げを一つ摘まんで口の中に放りこんだ。

「きゃーーーぁ、から揚げになりたい!」

どこからかそんな声が聞こえた。

拍手コメント返礼

あずきまめ 様

セルフとセフレ

これ以上の恥ずかしい言い間違いを私は思いついていません。

これを思いついた時に頭の中でこの台詞を言うJを映像化して笑い過ぎたものです。

また頑張ろう♪

それよりもっと大事なものあるだろう~。

やなぎ様

司と一緒に食事をしたら・・・

食事より代表を見つめてうっとりとなって時間過ぎるでしょうね。

つくしちゃん司に慣れ過ぎ~(笑)

まあ子どもも3人もいれば少しぐらいは大目に見られる?>

代表とランチの後の女子社員の自慢話面白そうですね。

思わず番外?

まだ新連載始まってないツーの。

Gods&Death 様

最近朝晩の涼しさに秋を感じますね。

そろそろ長袖?

いえいえ、短編じゃ終わりませんよ~

これから、これからです。

まだ全貌はお見せしてませんがお楽しみに♪

アーティーチョーク様

子ども3人いてもこのイチャイチャぶりを目の前にしたら、道明寺夫人の座をとってかわろうと思ったら相当な強者かバカ?

でも一人はいるんですよね夢みる夢子ちゃんか妄想癖のある女性とか・・・

そんな話じゃないですから~(笑)

でもいつか書きたいような気になってきた。(^_^;)

T3・・・

私の中では存在が薄いんです。

たぶんドラマの影響で二次を書いてるからだと思います。

原作ではみんないい味出してるんですけどね。

なかなかストーリーに絡ませきれてません。

なお様

わざわざありがとうございます。

カギを開けてぬる~いですが、楽しんでもらえたら嬉しいです。

ココア様

レス嬉しいです。

ありがとうございます。

送れても全然大丈夫ですよ。

久々のファミリーものです。

小さいころのファミりーものはほのぼのとした雰囲気で懐かしく自分の子育てを思い出しながら書いてます。

南の島のお話も書いててるときは私も楽しんで書いてましたね。

今度はどんな休日を過ごさせましょう?

プールは書いたからあとは・・・なんだろう。

komachi26 様

ありがとうございます。

連載開始までしばらく時間がありますが、お付き合いをお願いします。