DNAに惑わされ 6
今回はちょっと駿君から離れて、道明寺夫妻の一コマを覗いてみたくなりました。
あっ・・・横道にそれる。(;_;)
*
「ごめん、待った?」
ここはそう言って俺の前に駆けてくるんじゃねぇのか?
訝しい表情が仁王立ちで俺を睨む。
ふと振り返って出てきたばかりの喫茶店の入り口。
透明なガラスのドアから駿が俺を見てるのが見えた。
見られてたか・・・
「危害は加えてねェから」
「器物破損がないだけでしょう。頭から水をかけるって結構野蛮だと思うけど」
「口説いてた相手がお前だったら、あいつは動けなくなってるところだ」
訝しい表情は呆れたように口をつぐむ。
「鮎川さん・・・口説かれてたの?」
「駿のやつ、おとなしすぎるんだよ」
「司なら、確かに何も言わずに殴り倒しそうだわ」
「実際あったしね」
昔を思い出してクスッとつくしから声が漏れる。
あんときは笑わなかったよな?
「もう」とか「なにするの!」とか文句ばっか。
「濡れた男の子が四つん這いで飛び出したのは可愛そうだけど、鮎川さんに今後、声をかける男子はいないだろうなぁ」
見えなくなったずぶ濡れの男の姿を追う様につくしが遠くに視線を投げる。
「それよりどうなった?」
「どうなったって?」
「駿の高校だよ」
「芸能活動はさせませんってことでおとがめなし」
「校舎立て直すくらい言ってやれば電話一本で済んだはずだ」
まだ言うの?
呆れた感情がすぐ表情に出て俺を見つめる。
駿のいる喫茶店で時間をつぶす数時間前。
俺が出ていくとそっちの方が騒動になるとか。
駿は道明寺と離れて生活してるとか。
私で十分だと言ってるムカつく態度。
俺が動けば一発。
つくしにわからない様に影で動くこともできるんだぞ!
言い合ったのが本社ビルの執務室というのがやばかった。
側にいた西田がすぐに舵をとりたがる。
「このくらいのことで道明寺総帥が動いたらつくし様に傷がつきます」
「道明寺夫人は子どものことも道明寺の力を頼るのかと・・・
どうにもならないときに、手を差し出すのがスマートだと思います」
西田の援軍を得たつくしは、柔らかい表情を俺に向けて「お願い・・・」
熱い眼差しで下から見上げられれば、どうしようもなく俺も甘くなる。
最近は俺を緩和させる方法がうまくなり過ぎだろうがぁ。
思っていても負ける。
「学校より、実家の方が大変そうなんだ」
「なんで?」
「駿が住んでるのばれちゃってるみたいで、待ち伏せとか、家に知らない人が押しかけてるみたいなの」
最初から英徳ならなんの問題もなかったぞ。
大体無理なんだよ。
自分の素性を隠して生活するってこと。
実際、俺や、あきらでも、駿の情報を抑えるのは、もうそろそろ限界に来ている。
「学校生活は楽しんでるみたいだから家に連れ戻すことはしたくないし・・・」
安易に手を出すなとジッと俺を見つめる瞳はくぎを刺す。
「代わりの、住居見つけてやればいいんだろう」
ポケットから携帯を取り出してすぐにボタンを押す。
指示を出した相手は西田。
そんなに時間をおかずに返事が返ってくるはずだ。
「これで、心配ない」
「買っちゃったの?」
「まだだよ」
つくしの顔がまた呆れた表情に変わった。
今度は文句いわせねェぞ!
文句を言ったら駿を道明寺に連れ戻すからな!
拍手コメント返礼
いくちゃん 様
何時までもこの二人らしいやり取りを見ていたいと思って書いています。
いいわ~のコメントうれしく拝見しました。
舞と佑の恋バナも確実に進んでいく予定ですが、このときのつかつくはもっと
落ち着いているはずだと・・・(^_^;)
ことり 様
ここで一人暮らしになったら・・・
つくしがアパート暮らし始めた時は司がアパート買い取ったんですよね。
駿君のところに鮎川さんが住み込む何てことにはならないでしょうけどね。
なったらオモシロいかも~
ゆありあ 様
こちらこそお付き合いいただき感謝いたします。
リミット・・・
内容的には匂わせてたんですよね。
その流れが根本でお話を進める予定です♪
10月まで内緒でお願いします。(*^_^*)
アーティーチョーク 様
駿君の住居はどうなるのでしょう~。
想像されたとおりに行くのかどうかは次回間でのお楽しみということでお願いいたします。
あさみ様
司はどんな住まいを駿君に用意するんでしょうね。
いろんなパターンを考えちゃってます。
セキリュティーバッチリの高級マンション。
普通の1LDK(意外にこっちの方がばれないかも)
鮎川さんの同じマンションの隣り(自分もつくしの側に引っ越した経緯があるから)
どれが面白いと思います?
オ***** 様
おはようございます。
見えない世界だからこそ温かな人のつながりがジンときちゃいますよね。
つくしの様に雑草魂で!!