生れる前から不眠症 12
この騒動どうまとまるんでしょうか?
あきら君!君の手腕に期待!
つかつくに任せたらまとまるものもまとまらないような気が・・・(^_^;)
PS・今日は別館のお話も更新しました。
*
「ふ~っ~」
小さく葵の口元から零れる吐息。
「なんの、ため息?」
俺の問いに、振り向いた葵が小さく微笑んだ。
「どうでもよくなっちゃった」
「えっ?」
どうでもよくって・・・なに?
俺がどうでもいいってことじゃないよな?
吹っ切れたような葵の表情に俺の胸の奥がギクリと音を立てた。
俺が良くねェよ。
葵の視線は俺から自分の下腹部に移って妊婦だと分かるようになった膨らみを確かめるように手のひらが撫でる。
「胎教に良くないよね」
自分に言い聞かせる様な・・・
胎児に言い聞かせてるような・・・
寂しげなのに、それでいて強さを込めた声。
「つくしちゃん達は知ってるんだよね?」
「あきらが私に言えない事・・・」
凛とした表情が真直ぐに俺を見つめる。
どう答えるべきか答えを見つけられずに声を失った俺とは対照的な落ち着き。
浮気がばれて詰め寄られる男の心境と重なる。
って!してねェから!
それより悪いかも・・・。
「心配させたくなかっただけなんて、言わないでよね」
「言わなくてもいろいろ考え過ぎちゃって悩んだんだから」
グジュッとなった目もとからポロポロと落ちる涙。
「夫婦なんだから、結婚したんだから、私にも一緒に悩む権利はある」
俺の胸元で涙を拭くように葵の顔を押し付けられた。
胸の中で籠る葵の涙声。
それを取り除くように背中に回した腕に力を込める。
「んっ・・・っ、あんまり、ギュッっとしないで」
渋い表情で俺を見上げた葵が両手で俺から逃れるように胸元を押した。
「胸みたいに押さえても引っ込まないんだから」
「あっ、ごめん」
「しかし、胸って・・・、同じには扱えないだろう」
クスッと緊張を解く笑みがこぼれる。
無色に流れる空気の色をほんのりと薄紅に染める様な気遣い。
それが読みじゃなく計算でもなく天然で出来るすごいやつ。
それにいつも助けられてる気がした。
自分が言った意味を飲み込みたいような表情のあたふたな葵。
そうだよな。
妊娠してるとか、結婚前のことだとか、そんなのタダの言い訳。
実際、俺が心配だったのは葵じゃなく、葵に知られて嫌われる自分を恐れていたにすぎない。
葵なら、一緒に悩んで答えを探してくれるはずで・・・。
信じれなかったのは自分の弱さ。
「まだ、はっきりとしたわけじゃないんだ」
なにを聞いても驚かないって覚悟してる葵の瞳。
グッと俺の腕を掴む葵の指先が白く変わる。
倒れそうなのは俺の方だぞ。
「突然、俺に子どもがいるって言われた」
低く、絞り出す様な声。
フッと俺の腕を握っていた葵の指先の力が緩む。
うなだれた頭が葵の表情を隠す。
「相手は既婚者で!
不倫で!
まだ俺が大学に行ったばかりの頃で!
高校からの付き合いで!」
息を吸わずに一気にしゃべるまくる。
俺にしてはあたふたなセリフ。
冷静に喋れるわけがない。
「つまり、昔の彼女ってこと?」
俺から離れた葵が腰から砕けるようにソファーに座った。
「傷ついたよな」
慰める言葉が見つかるはずない。
「女性に、モテていたのは知っていたことだから・・・」
落ち込むことは予測できたのに黙ったままの俯く葵の背中が心なしか震えてるのが分かった。
拍手コメント返礼
Gods&Death 様
確かに現実問題としてはお金ですよね。
養育費なんてF4には困らないでしょうけどね。
付き合う前の話だからって割り切る事が出来るかどうかですね。
あずきまめ様
周りはみんな知ってるのに自分だけが知らないって、そっちの方がショックじゃないのかな?
内容でもっとショックを受けたか・・・
葵ちゃんどうするんでしょうね。 ← 他人事?
アーティーチョーク 様
あきらくんこの後必死で付き合った女性の身辺調査始めたりして・・・(^_^;)
この後の道明寺夫妻の出番は少ないと思います。
たぶん・・・(@_@;)