生れる前から不眠症 13

もしも旦那に子どもがいたとしたら・・・

実際問題は養育費どうするの!!でしょうけどね。

F4の場合は問題なし。

総ちゃんにも隠し子がいたりして・・・

『春光~』のお話途切れたままなんですよね。(/_;)

*

「出てきちゃって、良かったのかな?」

最上から降りてエントランスでつくしは天井を見上げる。

「俺達に出来ることは今はないだろう」

腕を伸ばして握った指先。

ギュゥと握り返した指先は『そうだね』と、俺に語り掛けたようだった。

「昔のことだし、大丈夫だよね?」

「でもやっぱり、葵さんショックだろうな・・・」

小さく口ごもる声。

それは、まるで同じことを自分にも起きているような悩ましさを表情に浮かべてる。

「心配するな。俺は駿以外に子どもいないし、過去も未来もお前以外に俺の子供を生むやつはいない」

「だれも、そんな心配してないから!!」

あたふたと周りの視線を気にするようにつくしの目が泳ぐ。

「声が大き過ぎ!!」

責める様な視線を俺に向けやがった。

「それじゃ、なに悩んでんだ?」

なんで苦悩する?

俺達が出来ることはあいつらに何ができるかを考えてやることだろう。

つくしが悩んで解決することじゃない。

「だって、好きな人に子どもがいるってことは、自分以外にその・・・そんな関係の人がいたって事だよね?」

「もし司がって思ったら、嫌だもの。葵さんもそうだろうなって思う」

「あきらは今は一人しか見てねェだろう。過去のこと持ち出されてもあいつもどうしようもないだろうしな」

「それは葵さんも理解してると思うけど・・・

頭では理解してても感情は別物でしょう?」

「そんなもんか?」

ムッとなった表情が俺を睨む。

「あのね、私が過去に司以外に付きあった人がいたらどう思う?嫌じゃない?」

類・・・。

お前が好きになった奴ってそれくらいだろ。

今はつくしの初恋が類だということにそこまで嫉妬してない。

それ以外のはじめては全部俺だって知ってるから。

「おまえの男性遍歴を聞くつもりはねェよ。俺だけだって知ってるしな」

くずれそうになる表情をくずれない様に必死で保つ。

今もつくしのお腹の中に育む胎児。

愛おしい存在が増える幸せ。

「そうじゃなくて、もしも、私が嘘をついてるとかあるかもしれないでしょう」

くずれない様に力を入れていた頬が思わず強張った。

「あるのか?」

俺以外の奴とつくしが?

重ねた唇の感触。

とぎれとぎれに吐息とともに漏れる喘ぎ声。

しっとりとした肌に薄く浮かぶ汗の甘い香り。

蕩ける様な熱の包み込む感触に溺れる快楽。

知ってるの俺だけだろう?

「・・・いっ・・」

つくしの左上腕に食い込むように掴んだ指先に苦痛にゆがむ表情が浮かぶ。

「おまえがしょうもねぇこと言いだすからだろう」

つくしに与えた傷みが気まずさとなって横柄になる声。

「ちょっとは分ってくれたみたいだね」

そんなやつがいたら抹殺してやるつーか、見たくもねェ。

「私も同じ気持ちになるんだからね」

生意気に下から覗き込む視線と絡まった。

何もないはずの過去に見せる嫉妬。

バカらしくて、アホらしくて、それでも確実に感情は嫌だと全身で抗う。

「確かに冷静じゃいられないか」

つくしから視線を外して最上階に向ける視線。

あいつの・・・

あきらの・・・

不安が今分かった気がした。