いくつもの嘘を重ねても  番外編

お待たせしました♪

記憶を取り戻した後のその後をお届けします。

*

玄関のドアから外につながる数段の階段。

右手は胸元の土星の珠の円を親指と人差し指が愛しそうに触れながら、ゆっくりと一歩一歩を踏みしめるように牧野が降りてくる。

下まで階段を降りたところで牧野は来た道を振り返って、2階の窓辺に視線を向けるように空を眺めた。

青空を流れる雲がゆっくりと流れて遠ざかる。

風に揺れる木々のざわめきが俺の心のザワツキと重なる。

「いつまで、ぼっとしてるんだ」

苛立つ心を映し出したままの声。

「感情に浸ってるって言って欲しいんだけど」

しんみりとした声で、しんみりとした表情を浮かべて、クスッとした笑みを牧野が見せた。

大人しすぎる牧野には慣れてない。

心が少し痛い。

また牧野が遠くにいなくなりそうな不安。

事故の後過ごした錦織の屋敷。

なんらかの気持ちが牧野に残っていても不思議じゃない。

たとえ、それが同情だとしても・・・。

「お前、まさか、このまま錦織のところに戻ろうと考えてるんじゃねェよな」

牧野の気持ちが錦織に1%でも残すことも許せないと心を押しつぶす。

大きく見開いた瞳は意外そうな表情を作ってまじまじと俺を見つめる。

久し振りに真直ぐに牧野に見つめられた気がした。

俺の方が照れる。

「本気で言ってるの?」

拗ねた様な、責める様な、弄んでるような、悪戯な挑発的な声。

錦織の邸を訪ねる前の、遠慮がちな、頼るような、面影が牧野から消えた。

まさか・・・

「記憶・・・戻ったのか?」

「そうみたっッ」

抱き寄せるというよりは、がむしゃらに牧野の背中に腕を巻きつける。

「バカ、早く教えろよ」

「道明寺じゃなく、ネックレスで全て思い出したって言ったら、拗ねそうじゃない」

「えっ?」

「俺より、ネックレスの方が上かよって」

苦しいと小さくつぶやきながら胸元を押し返す牧野の腕。

おまえが、俺の事を思い出せば、そんなのどうでもいいに決まってる。

いや・・・

冷静になれば、確かに俺と再会して他人を見る様な目つきされたのは気に食わないかも。

「言われれば、俺といても全然何も思い出さなかったのは、お前の罪だな」

牧野に記憶が戻った歓び。

それはすぐに俺の気持ちを増強させる。

「えっ、シッカリ道明寺につながることは思い出してたけど・・・」

余裕を浮かべていた牧野が焦った声を上げた。

「俺自身の事には、なかなかつながらなかっただだろうが」

口角を上げて作る皮肉な笑み。

「でも・・・一番安心できたって思う」

「じゃなきゃ、記憶を無くしたままこの屋敷から出て道明寺に付いて行こうなんて思わなかったって思うもの」

必死に弁解気味に喋る牧野。

「記憶戻ったんだな」

伸ばした手のひらがそっと牧野の頬を包み込んだ。

「どうみょうじ・・・っ」

俺の名前を呟く唇の形を親指でなぞる。

指先で感じるその感触に心が踊って愛しさが募る。

「もう、俺のこと忘れんじゃねェぞ」

近付けた唇は触れ合う直前でスルー。

おまえなッ!逃げんなッ!

「ここ、玄関先だから!」

抵抗をみせてガシッと真直ぐに腕を伸ばして俺を突き離そうとする牧野。

ガクッと牧野の肩にもたれるように俺の力も抜けた。

記憶を取り戻したらこんなもんか。

記憶を無くしてるときの方が従順。

「しばらくは、家に帰さないからな」

「えっ!チョッ!」

グイと手首を掴んで路上で待つ車に牧野を後部席に放り込んだ。

後部席での牧野は落ち着きを無くして、耳まで真っ赤にして、バカみたいに狼狽えて尻の位置が決まらない。

これから、牧野と二人でどんな時間を過ごそう。

あたふたしてる牧野を見て楽しんでる。

今さら、そこまで狼狽えることじゃねェだろう。

初めて二人で夜を過ごすわけじゃない。

そっちの記憶がまだ抜け落ちてるまんまって事はねェよな?

俺との関係を思いだしてない牧野って・・・

くだらない妄想。

「少しは落ち着けよ」

落ちつけなくなってるのは俺の方。

今度は逃げられない様にグッと頭ごと抱え込んで、唇を重ねた。

☆マークのお話・・・

司君へのご褒美。

今回は本当に頑張りましたからね。

どうしよう・・・(^_^;)

「てめっ!ここで終る気じゃねェだろうな!」

ひゃーーーッ

逃げっ!!!!!!

拍手コメント返礼

やなぎ 様

私も頑張った!

司だけにご褒美はダメですよね~。

私へのご褒美は皆様の温かいお言葉と拍手で満足させてもらってます。

ままなめこ

司君へのご褒美を楽しみにしてもらえて喜んでいいのだろうか・・・(^_^;)

来週辺りになると思います。

あずきまめ様

ここで止めたら司君が追いかけてくるのぉ~~~~(笑)

分ってはいるんですが止めちゃいました♪

cherry様

☆マーク♪

司君へのご褒美はいつもらえるでしょう?

やっぱりこのままじゃ落ちつきませんよね。(笑)

Gods&Death 様

期待を持たせる終わり方♪

期待は裏切れなんですよね。(笑)

本当にここ数日暑い日が続きて夏に戻っちゃってますね。

今週の日曜日は体育祭だというのに日焼けが怖いです。(^_^;)

綺羅様

お預けの負のオーラー♪

誰が阻止するのかなぁ~。

もみじ 様

えっ?

もう少しでいいんですか?

それじゃ押倒すとこまでで♪ ← 意地悪だなぁ~。