我儘な僕に我儘な君 23

夏休みも終わり、この物語だけが未だに夏物語の真っ最中。

9月までには夏祭り編を終らせたい!

佑クン君の肩にかかってるぞ!

*

「ねえ、翼たちを探さなきゃね」

言葉とは裏腹に頭の中はさっきの佑の言葉がグルグルと回る。

「男なら好きな子を離したくないって思うもんなんだぞ」

文字色が赤く染まって自分に都合のいい単語を選んで飛びだしてそこだけが復唱される。

好きな子・・・

それって私?

単なる一般的な男子の意見の一つとか?

離した佑の手、それさえも見れずに視線を逸らす。

私の手の平の汗を隠す様に指を握りしめた。

「翼たちはほっとけよ。二人で楽しもう」

動揺させるだけさせてすがすがしい笑顔の佑。

はにかんで見えた表情は、すぐに冷静な何時もの佑を私に見せる。

ウンと言って佑の差し出した手を握る事が出来ずにいまだに狼狽えてしまってる。

佑の言った言葉を、どうとらえていいのか私にはわからないから。

「迷子になるぞ」

待ちきれない勢いで佑が私の手を握る。

反射的に逃げ出した指先。

「こっちがいい」

佑の浴衣の袖端ギュッと握りしめた。

「汗かいてるし・・・」

「舞、俺の浴衣で手の平の汗を拭いてるってことになるぞ」

私を覗き込んだ佑の睫毛に縁どられたクッキリと大きく輝く瞳は何時もより優しく微笑む。

「あっ、ごめん、そんなつもりじゃなくて!」

「俺も汗かいちゃってるし」

佑の袖を離した私の手のひらを佑の手のひらが包み込んだ。

「手を、つなぐの初めてじゃないだろう?」

絡めとられた指先は佑の動きに合わせるように肘が曲がって胸元まで上がる。

佑の唇が指先に軽く唇を落とす。

えっ・・・

バクバクと心臓が暴れる。

小さいころはあいさつ代わりに頬にキスしたりした。

佑にとってはたいした意味も持たない仕草。

そう思うことで必死に心臓の高まりを抑え込もうとしてる。

周りのにぎやかな声もお店の呼び込みの声も聞こえてるはずなのに何も残らない。

ただ、佑の声に、息遣いだけに反応してるみたいだ。

「舞?」

「なに?」

「おとなしくなり過ぎ」

どのくらい歩いたのだろう。

いつの間にか、たどり着いた河川敷。

遠くに見える屋台船の提灯の光がユラユラと揺れる。

真っ暗な夜空にシュルシュルと光の帯を描いて上がった花火がパンと大きな音をたてて華を開いた。

「きれい」

次々と上がる花火にあたりからも歓声が上がる。

見上げた佑の極上の笑み。

「花火、見ないの?」

「舞を見てる方が楽しめる」

目の前を佑の顔が覆って艶やかな花火の色を隠す。

さっき手をつないだときに指先に感じた柔らかい唇の感触。

その感触が私の唇に触れた。

花火の上がる音も・・・

歓声・・・

人影も・・・

全てが遠のいて・・・

そして、何も聞こえなくなった。

拍手コメント返礼

Gods&Death様

ここはやっぱり佑君が進まなきゃ無理♪

しばらくは邪魔がいらない様にお話を進めますよ~。

あずきまめ様

成長したらあきらよりいい男になりそうですよね。

そして舞ちゃん一筋でお願いしたいです。

やなぎ様

本当に若いっていいですよね。

司パパ絶対認めないような・・・(^_^;)

こんぶ 様

胸キュンのコメント嬉しいです。

娘に見られたら、こんなの書いてるの?と白い目で言われそうで怖いんですよね。(笑)

りよん様

舞ちゃんじゃなくても「惚れてまうやろ~」 ←  もう古い?

きっと同じ時刻に翼君も奮闘中。

佑君みたいなスマートさはないような気がします。

マリエ様

確かに、昔はこんな甘酸っぱさもあったはず・・・

たぶん・・・(^_^;)

かよぴよ様

夏休みを使っていただいての読破ありがとうございます。

はぴまりもハマって頂きうれしいです。

北斗いいですよね~。

書籍化全部は無理だろうな。

そう言っていただけると嬉しいですね。

でもそうなったら相当手直ししない・・・(^_^;)