我儘な僕に我儘な君 26

このお話はどこまで書けばいいのかな・・・

司にばれるところまでかなぁ・・・

まだまだ道は遠い(^_^;)

*

頭の上で感じた息遣い。

私の身体を支える両方の腕は力強くて、逞しくて、男の子なんだって必要以上に意識してる。

佑の心臓の音が私と同じようにドクンと同じ速さで重なって耳に届いた瞬間に嬉しくなった。

キスされて、好きって言われたんだよね?

佑にだよ。

夢じゃない!!

抓った頬が痛い。

きゃーーーーッ

心の中で叫ぶ歓喜

明日からどんな顔をして佑に会えばいいんだろう。

「じゃ、またな」

私を家まで送ってあっさりと背中を向けた佑が意地悪に見えた。

借りてきたネコのようになんにもしゃべれなくて・・・

つないだままの手が照れくさくて・・・

恥ずかしくて・・・

それでいて離せなくて・・・

佑がキュッと指先に力を入れるたびに握り返したい感情を、てれくささが邪魔をした。

私の気持ちを分ってるみたいに優しく微笑んだ佑の澄んだ瞳。

ずっと見ていたいのに、こらえきれずに視線を電車の窓に逸らす。

真っ暗なガラス窓にライトの照り返しで映し出される広告の記事を目で追っていた。

内容なんて頭に残るはずもなく、佑の事ばかり意識しすぎてる自分から逃げたくて文字を目で追っていた。

今日のことは夢じゃない!

両頬に当てた手のひらが感じる熱。

体中の熱が頬に集中して集まってるみたいだった。

「なにしてるの?」

「えっ?」

「あっ?」

「変顔かな・・・」

両手を頬に押し付けて上下に動かして漏れた声はくぐもってしまってる。

「楽しかったみたいだね」

寄れた表情の私の目の前でママがクスッと小さく唇を動かした。

「翼は、まだ帰ってないんだ」

玄関に視線を送りながら誰もいないことを確かめてママがつぶやく。

「翼は、すずなを送って帰ってくると思う」

「舞は、佑君が送ってきてくれたわけね」

「そ、そっ」

なんの前触れもなく突然ママの口から出た佑の名前にかなり動揺してる。

「佑君が舞を送って来たことは司には内緒にしとかないとね」

「えっ?」

「パパ、拗ねるから」

クツクツと声を上げて笑うママはやけに楽しそうだ。

好きって言われたことも、キスしたことも、全部ママには分ってるように思えていたたまれない。

ママと視線を合わせるのが気まずくてさっきとは違った意味で心臓がドクドクと波打つ。

「もう寝るから」

そそくさとママの前を通りすぎる私に「良かったね」とママの声が聞こえた。

こんな時はほっといてくれたらいいのに!

なんで部屋から出てきてるのか!

数秒もしないうちにザワツク邸内。

コツコツと響く皮靴の音。

「おかえり」

私を迎えた時よりテンションを下げた落ち着いたママの声。

なんだ、パパが帰ってくる時間だったんだ。

「あれ、舞だよな?」

「翼たちと花火を見にいって、今帰ってきたのよ」

「今って、もう10時過ぎてるぞ」

ムッとしたパパの不満そうな声にピクッと足が止まった。

このまま本当はピュッと特急で自分の部屋に戻りたい。

ママよりパパには絶対目を合わせることはできないって思う。

「祭りのときくらいいいじゃない。司は高校の頃、家に寄りつかなかったんじゃなかったけ?」

「俺はべつに男だからな」

「あっ~それって差別だ~」

「何かあってからじゃ遅いだろうが」

「翼もついていたんだから心配ないって」

「そんな問題じゃないッ、俺は親として心配ッ」

ママに背中を押されないがパパが私を追い越していく。

「おい、舞、門限7時だからな」

「普段はもっと早く帰ってきてるわよ」

力を抜くことなくパパの背中を押し続けるママ。

言いたいことを言わせてもらえない不満さをにじませたパパが廊下を右に曲がって消えた。

尊大さと威厳と非の打ちどころないカリスマ性とを秘めた道明寺ホールディングスの冷徹なTOP。

自宅に戻ってママを見た瞬間に柔らかいオーラに包まれるパパ。

ママには形なし。

ママとパパの自宅でしか見れないやり取りは、緊張感も高揚感もすべて溶かしてくれちゃった。

これで佑のこと考えずに眠れそう。

ンッ!

バカ!

また佑のこと思い出しちゃってるじゃないか。

佑を私から追い出すことなんて出来そうもない。

「舞、帰ってたんだ」

ゴキゲンで鼻歌でも歌い出しそうな翼。

閉めたドアの音さえ明るくて飛び跳ねてる。

「今日はぐっすり眠れるぞ~」

悩みのなさそうな気楽さになんだかムカつく!

私は眠れないつーの!

拍手コメン返礼

りん 様

しっかり親してますよね(笑)

つくしちゃんも司操縦法も仕上がってると思いますしね。

Gods&Death 様

私の気の済むところ♪

その落としどころが一番難しかったりして・・・(^_^;)

完結しても次に続けちゃうことが多いですからね。

連載数がなかなか減らないのもスピンオフが増えたから。

実際司君自分で舞ちゃん追求しちゃいたいでしょうね。

それをつくしが阻止~。

あずきまめ 様

お母さんの株は上がるでしょうね。

ここでは翼君がムードメーカーでしょうか?

男の子って意外に単純なところありますもんね。

おかゆ

娘のことを分ってるのは母親なんですよね。

相手が佑君なら応援しちゃうと思いますしね。

アーティーチョーク様

いきなり進展したらおもしろくないじゃないですか~と、考えてる私です。

ここからいろんなことが~。

一番の難関は司君でしょうけどね。

ここでの長男カップルの進展具合は垣間見える場面あるかなぁ・・・(^_^;)