DNAに惑わされ 10

こんなところで暮らしてみたい。

蒼君じゃなくても思うよなぁ~。

駿君贅沢~~~。

「代わってやるよ」言ってくれそうですけどね。

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「ここに、一人で住むの?」

「だろう?普通誰でもそう思うよな?」

部屋を眺めながらソファーに腰を下ろす鮎川。

蒼がテレビを見始めてから初めて画面から視線を外した気がする。

映画の内容より鮎川の反応を面白がってるのが丸わかりだ。

「ここまでのセキリュティーは必要なかったんだけどね」

「家がばれても待ち伏せされたりされても、このマンションの中なら問題なさそうだもんな」

後を付けられたり、待ち伏せるだけでも近所迷惑。

牧野の家を出るハメになったのもそれが一因。

「今日は8時に2階の部屋の明かりがつきましたね」なんてメールが来てみろ嬉しいはずがない。

実質的被害じゃなく精神的ダメージは大きい。

テーブルの上に広げたお菓子の袋にジュース。

道明寺の屋敷なら3人では食べられないほどに道明寺お抱えシェフが作った料理が並ぶところ。

そして鮎川手作りのケーキ。

「すげー、これ、鮎川が作ったの?」

「これは、鮎川が僕に作ってきてくれたんだ」

蒼がケーキの真ん中に指を突っ込もうとしたところでケーキーを保護した。

「一人じゃ、食べきれないと思うけど」

「最初に食べるのは僕だろう。蒼に先に食べられてたまるか」

「蒼君に味見させた方がいいかもよ」

鮎川が作るものにまずいはずがない。

喫茶店の料理もしっかりうまいものを作ってる。

「蒼!僕より先に食べるなよ」

言い残して席を立つ。

対面式のキッチンカウンター。

真新しく傷一つなく輝くホーローキッチン。

L字型のキッチンのワークトップはグランドクレーの大理石仕様。

料理をしなきゃもったいないキッチン。

道明寺の屋敷じゃシェフ直伝の料理を作っていた。

料理を造る過程は日頃の道明寺家の長男のわずらわしさを開放してくれる。

包丁の材料を小刻みに奏でるリズム。

母さんのおいしいって、極上の笑顔が最高の褒め言葉。

「駿、何か作ってくれるのか?」

「インスタントラーメンじゃないから心配するな」

蒼の身体はソファーに張り付いたまま動きはゼロ。

蒼が作れる料理はカップラーメンだけだから元からあてにはしてない。

冷蔵庫の扉に貼られたメモ。

「しっかり食事は摂ること」

母さんの見やすい文字。

その横に書かれた似顔絵。

眉らしき細い線が、斜め上に吊り上ってるのは父さんだ。

母さんがここに来てるのが不満とか?

冷蔵庫の中にはたっぷりの食料が備蓄。

その上段にはタッパがいくつか並ぶ。

きんぴらに、肉じゃがにポテトサラダ。

何時届けてくれたんだろう。

母さんもそれなりに忙しいはずで・・・

仕事を抜けだして、このマンションに来て、食料品や料理を置いて時間を気にしながら帰ったんじゃないのだろうか。

タッパの蓋を開けて一つまみ口に入れた。

愛情を感じる程よい甘さが口の中に広がった。

シェフじゃ味合えない母さんの味。

気に入ってるのは父さんだけじゃないからな。

「お母さん?」

何時の間にキッチンに並ぶ僕と鮎川。

僕の真似をするようにきんぴらを摘まんで口に運んだ鮎川が「おいしい」とほほ笑んだ。

「これだけじゃ、腹が空いたと騒ぎ立てる奴がいるから」

自分の家なのにまだどこに何があるのか把握してない僕。

収納の扉を開いて、料理に必要な器材を探すことから始める。

「自分で引越したわけじゃないから何が、どこにあるかまだ分らないんだ」

これじゃ鮎川が横にいて、緊張して落着けないみたいに見られそうだ。

収納の扉を開ける為に座り込んでる僕を覗き込むように見おろした顔が、そのまま降りてきて僕と同じ視線の高さになった。

「ボールもいるよね」

収納の奥からアルミのボールを手にとって鮎川が僕に笑顔を向ける。

「おい、俺がいるの覚えてるよな」

シンクの上から覗き込んできた蒼がニンマリとした笑顔を向けた。

「俺、帰ろうか?」

「いいッ!」

立ち上がって叫んだ声は鮎川と重なって頬が熱くなるのが分かった。

拍手コメント返礼

アーティーチョーク 様

自分で全部やるのは無理ですよね。

6畳の部屋でもうちの子は散らかしてますからね。

駿君は片付け上手そうですけど(^_^;)

あのまま牧野家にいたら違う楽しさは確かにあるだろうなぁ~。

ことり 様

かわいらしさ満載の恋愛事情ですがここから、ここから♪

蒼君がいいワンポイントになってるんですよね。

入り浸っちゃだめだぞ~

「勝手にへやの中入るなよな」

高校生の息子なら言って当然!

でも駿君にはそんな態度とって欲しくないと・・・(^_^;)

司が黙っちゃいないか。(笑)