秘密な内緒の話 2 (DNAに惑わされ  番外編)

本編も進んでないのに完全に路地裏に迷い混んでいます(^_^;)

書いてもいいって言ってもらえたから~~~~~~。

今日から二学期制の娘は5日間の秋休みです。

部活に行ってる間に書き上げないといけないんですよね。

5日間は私もタイムリミットに追われます。

*

高校生が一人で住むには贅沢。

成人でも住める人は極少数に限られる部屋。

警備の行き届いたところと言っても、あれほどじゃなくても大丈夫だろうというのが本音。

駿より有名な芸能人でももっと気楽な所に住んでる気がする。

一日で準備されたマンションはすぐに快適に過ごせるように物が揃っていた。

大理石で輝く洗面所にはホテルの備え付けを連想させるアメニティー。

バスタオル、バスローブ、フェイスタオル、ウォッシュタオルに歯ブラシ、コップ。

これは解かる。

シェービングクリームを使う様になってる息子にはちょっとばかり寂しさを覚える。

シャワーキャップやヘアゴムに綿棒とコットンにクレンジングって誰が使う?

私も泊まれる。

司が、もれなくついて来るとは思うけど、駿は嫌がるだろうなぁ。

キッチンも一流シェフが腕を振るえそうな品揃え。

ただ独り暮らしには必要なさそうな5ドアの冷蔵庫の中には何も入ってない。

ここまでそろえてそれは手抜きじゃないのか?

2、3日の食料品は準備してやらなくちゃねと私のするべきことはここで決まった。

会社を後にして司と向かった量販店。

所狭しと高く積まれてる品物。

何時も上品にガラスケースの中をのぞく生活の司がきょろきょろと落ち着かない。

オーダースーツに身を包む長身がカートを押して、おもちゃ売り場に迷い込んだ子供みたいに目を輝かせる。

「初めてじゃないでしょう?」

「お前と前に行った店はこんなに品物が殺伐と並んでいなかったろう」

「このお菓子なんて一つ取ったら上から雪崩を起こすんじゃねェか?」

言いながら一袋引き抜いた司の頭の上にボトッとお菓子が落ちてきた。

「ほらな」

ほらなじゃないのッ。

上からとれば問題ないんだからね。

「こんな管理じゃダメだろう」

経営者の顔になって司が考え込む。

ここって、まさか道明寺系列だった?

さっさと買い物を済ませて帰らないとどうなるかわかったもんじゃない。

「時間ないんだから、さっさと買い物をすませるの」

司の手からカートを奪って駆けだす。

「遊んでるとぶつかるぞ」

遊んでるつもりはない。

人目を引く司と行動するよりさっさと物を買い込んで終わらせたいツーの。

駿に料理を作り置きしたからと追いかけてきた司と連れ立って食品売り場に向う。

一人分の材料からお店が購入しそうな肉の固まりまで並べてある豊富な品揃え。

一日中ここで売り物を見ていても飽きない気がした。

野菜売り場でキャベツに大根、ニンジン、ごぼうをカートに入れる。

「これ、どっちがジャガイモだ?」

いも類の並ぶコーナーで、道明寺の右手にメークイン、左手には新じゃがを持って立ち止まる。

「どっちもジャガイモ・・・だけど?」

「ジャガイモって書いてねぇからわからねェだろうが!」

ジャガイモも判らないって・・・

幼稚園児も分ると思うけど・・・

司に常識が通じないことは分っていたけどね。

いい大人がウソでしょう!

そんな表情を見せたら拗ねる。

司の中じゃジャガイモと書いてないのはジャガイモとは言わないんだ。

確かにそう言われればそうだよね。

目の前の司は道明寺ホールデングス代表じゃない、子供だ・・・

こ・ど・も!

・・・と、自分を納得させた。

「ジャガ肉作れ」

右腕を差し出して左腕も差し出す。

私が笑をかみしめてる間に両方のジャガイモをカートに放り込んだ。

「煮物ならこっちを使うの」

メ―クインを司の目の前で揺らして見せる。

「どっちもジャガイモだろうが」

「料理で使うジャガイモを変えるのッ」

ムッとした司がムキになって数袋のジャガイモをカートに放り込んだ。

「こんなに要らないって」

「どう違うか料理で教えてもらおうか?」

これじゃジャガイモの料理にばかりになっちゃうじゃない。

肉じゃが、ポテトサラダ、コロッケ。

普段はほとんど道明寺邸の食卓で並ぶことのない庶民の味。

司スキだもんね。

「なに、笑ってんだ?」

「何でもない」

駿の好物を作るつもりで司に食べさせる気になってる自分が可笑しいの。

「ニヤついてるぞ」

「何でもないって」

私のこめかみを司の人差し指がツンと軽く押す。

フッと優しく浮かぶ微笑みが私を見下ろす。

ん?

目の前で司の表情が上に吊り上っていくのが分る。

背中に感じる殺気。

振り返った視線の先に怒涛のように押し寄せてくる集団が見える。

「タイムサービス始めます!」

売り場に響くアナウンスの声。

「危ない」

珍しく焦った司の声。

私の腕を掴んで守る様に抱き寄せた。

私たちには目もくれず追い越していく女性達。

「なんなんだ?」

呆然と司が見送った最終地点で始まったタイムサービスのワゴン。

砂埃が舞い上がっているような競争が始まってる。

袋つめ100円の玉ねぎ。

「私も!」

参戦したい私はまだ司の胸の中に閉じ込められたままだ。

「行くつもりか?」

「玉ねぎって料理で良く使えるし、長持ちするしね」

「怪我するぞ」

「大丈夫だよ。早くいかないと終わっちゃう」

「欲しいのか?」

「欲しい」

「俺が行ってやる」

えっ?

私から離れた道明寺が超特急でおばさんたちの輪の中に身体を入り込ませた。

うそ・・・ッ。

弾かれた司の身体が輪の中から飛び出してしりもちをつきそうになるのが見えた。

司・・・

玉ねぎの魅力に負けている・・・。

プッーーー

フフッ

もう一度おばさん達の輪の中に立ち向かう様に飛び込んでいく司に笑い声をあげていた。

つくしの為ならたとえ火の中、水の中♪

バーゲンに必死になる司を見たいような見たくないような・・・。

スーツのクリーニング代の方が高くつくぞ~~~。

こんな話道明寺フォールデングスの社員は誰も信じないでしょうね。

秘密な内緒にしたいお話でした。

拍手コメント返礼

やなぎ 様

タイムセールの騒ぎの中に道明寺フォールデングス代表がいるなんて衝撃でしょうね。

まさか、こんなところにいるはずないと思うから逆に気がつかないとかありそうです。

もし、気がついたら・・・

玉ねぎを詰めるふりして司君の手を握る!

やっちゃいますよ~。

ツックー 様

あなたの笑顔が見れるならなんでも作ります♪

思えますよね。

それが料理の楽しさです。

りんご様

司バージョン了解しました♪

番外編が増えていく(^_^;)

あずきまめ様

場違いな風景ですよね。

スーツの男性が昼間からタイムセールスに現れたら「邪魔!!」って、目で見られるだろうなぁ。

ぎこちない初心者司に世話を焼くおばちゃんも確かに現れそうですね。

おーじ様

司がここまでするとはさすがの西田さんも思わないのでは?

西田さんが見ていたら面白そうですけどね。

鮎川さんに目撃させるより面白そうじゃないですか?

はるとん 様

つくしの為ならなんでもやってくれそうな司が私の好物です。

いい餌食♪

あさみ 様

安売りって主婦には魅力ですよね(笑)

司が負けるなんてぇ~。

もみじ 様

うんうん♪

つくしちゃんが頼めばなんでもやっちゃってくれそう。

あささ様

つくしのため奈ならの司の姿は私も大好きです(笑)

アーティーチョーク 様

はい♪買い物に付いてきちゃってます。

この買物大丈夫かなとおもちゃう方は一人や二人じゃないはずです。