リミット 6

けして、笑いに走ってるわけじゃありません。

なんでかなぁ~。

楽しい話についつい動いちゃうのは?(^_^;)

誘拐の緊迫感はどこに行く~~~~~~。

*

怒られた・・・。

サングラスに隠れておじさんの顔が見えない。

黒いレンズに映る僕の顔。

父さんにも母さんにも大声で怒鳴られたことはあんまりない。

大声を出すまえに父さんは睨んでくるからその目で僕は何も言えなくなる。

本気で怒った父さんは怖いんだぞ。

その時は僕は母さんの後ろに隠れる。

そうするとお父さんは困った様な気まずい顔になるんだ。

「わ~泣くな」

泣きそうな顔なんてしてないよ。

眉が垂れて泣きそうな顔になってるのはおじさんじゃないのかな?

「君の好きなものはあるかな?

そうだ!欲しモノとかないかな?なんでもいいぞ!」

「ない」

僕が欲しいと思う前におもちゃもお菓子も全てそろってる。

欲しいって思うことがないっていうのが僕の生活。

「簡単になんでも子供達に与えないで」

父さんはまた母さんに怒られてるんだ。

もうちょっとしたら家に帰らないといけないのに・・・

僕が帰らなかったたいへんな騒ぎになる。

10分でも遅れたら母さんがすごく心配するんだ。

自分ちの車で帰ってくるのに事故にあったんじゃないかって、すごい過保護だと僕は思う。

今日は帰る前には連絡を入れることになってるんだけど、ポケットの中の携帯を出すことが出来ない。

知らないおじさんは僕の前におもちゃやゲームにお菓子を次々とお菓子を並べる。

そんなに僕の機嫌をとってどうするの。

おじさんに合わせた方がいいのかな?

怖いと思ったのは一瞬で、おじさんが面白いと思ってきちゃってる。

おじさんの差し出す棒付きキャンディーを受け取って舐めた。

甘いいちご味が口の中でいっぱいになる。

そんな僕の頭の上でホッとおじさんが大きく息を吐いた。

おじさんが僕から目を逸らしたすきに、ポケットの中の携帯のボタンを押す。

GPS機能付きの携帯。

英徳の同級生もほとんど持たされてるんだ。

無理に連れてきた僕の持ち物を調べないって間抜けだよな。

「どこに行くの?」

「大人しくしてくれたらもっといいものやるからな」

いいものってどんなもの?

おじさんが差し出すものは僕の持ってないものや初めてのものが多くて、面白くて楽しみ。

それでも、一応の警戒心は持っている。

僕はあと少したら母さんのところに戻るんだ。

あんまり心配させちゃうと顔が崩れるくらいギュッと息が出来ないくらいに抱き締められるんだからね。

今日は今まで生きてきた中で最悪に最大にきつくギュッと抱きしめられることは覚悟しておこう。

顔の形が変わっちゃったらどうしよう!!!

「ASANI・・・」

目に付いたビルの看板。

「僕、ローマ字読めるんだよ」

目のつく看板の文字をひらがな、漢字、ローマ字、大きく叫ぶ。

携帯の向こうにいるはずのお母さんに聞こえるように・・・。

ガクッと急に左に曲がった車は道を下って地下の駐車上に吸い込まれて止まった。

パタンと開いた車のドアが静まりかえってる駐車場に冷たく響く。

「ここどこなの?」

「来れば楽しいぞ」

おじさんに抱きかかえられたまま僕はエレベータに乗せられる。

「8階・・・」

上昇したエレベーターが8階の数字のところで止まった。

エレベーターを降りてすぐの右側の部屋。

小さな玄関の横のクツ箱の上に並ぶ小さなフィギュア。

ワン〇―スだ!

「触るな!」

フィギュアに伸ばした手を思わず引っ込めた。

「全部そろえるのにどれだけ大変だったか」

サ〇のフィギュアを大事そうに握って、撫でて、頬づりをして元の場所におじさんが置いた。

サングラスを少し押し上げた、指先。

そこから見えたおじさんのウルッとした瞳。

すぐに瞳を隠す様に指先はサングラスを鼻の上に戻した。

ちょっぴり顔が赤くなってるのがわかる。

「気にしないで」

首を左右に振った女の人が僕の手を握って、リビングのソファーに座らせてくれた。

「ただいま~」

女の人が挨拶をして抱き着いたのは等身大の海賊の恰好の人形。

え・・・と・・・

この人達・・・

大丈夫なのかな?

でも、なんだか、僕は全然怖くなくなっていた。

拍手コメント返礼

Gods & Death 様

拍手一番乗りありがとうございます。

そちらは台風の影響はどうですか?

こちらは少しず雨、風が強くなってます。

明日子供の学校が休校にならないことを祈るばかりです。

駿君誰の子?

周りにはF3もいますからね。

皆のいいとこどり~。

ココア 様ありがとうございます♪

あっという間に4周年になりました。

良く書いてるなぁと自分でも思いますね。

これも一緒に楽しんでくださる方がいいてくださるからです。

感謝。

ワンピースのフィギュアうちにもあります。

最近はあんまりワンピースって騒がなくなったなぁ。

緊迫感が0に近くなってきた誘拐事件を楽しんでくださいね。

アーティーチョーク 様

今は簡単にGPS機能付けてますからね。

駿君の場合は身体に埋め込まれてるとかあるかも~

この誘拐にはまだ裏が有ったりして・・・

あずきまめ様

この誘拐犯が成功してるのは子どもの警戒心を解いてると言うことだけでしょうか?

逃げようと思えば逃げられる展開で楽しんでもらえたらと思います。