ジャガ肉狂想曲
なあのん様のコメントを軸にしての短編です。
司の「じゃが肉」を聞いた、幼い佑クン。
佑クン 「ママ、じゃが肉って何??」
葵ママ「・・多分、肉じゃがの事かな?」
佑クン「(司に)翼のパパは、肉じゃがが好きなの?」
司 「お、おう。まあな」
佑クン「僕も肉じゃが大好き!ママの肉じゃが美味しいんだよ♪」
司 「佑もじゃが肉好きか!つくしのじゃが肉も美味いんだぞ」
佑クン「肉じゃが美味しいよねっ!」
司 「じゃが肉美味いよなっ!」
この会話をもとに短編を仕上げてみました。
*「今日は、一輪車と竹馬で遊んだの」
「佑君すごいんだよ。一輪車手放しで乗れるの」
一輪車ってもともとハンドルついてないよな?
舞、手放しが普通だろう?
自分が乗れたみたいにはしゃぐ機嫌のいい声。
「僕も乗れるよ」
舞が佑だけを褒めたのが気に入らない翼の膨れっ面。
その程度で嫉妬すンな。
「一輪車に乗れないのは舞だけだぞ」
「すぐに乗れるようになるもん」
このままほっとくと双子でケンカが始まる。
「お兄ちゃんが教えてくれるよね?」
「教えてあげるからすぐに乗れるようになるよ」
一人前の表情を作って駿が舞の頭を軽く撫でた。
食堂に響く幼い声。
食事中のおしゃべりはマナー違反だ。
そんな、格式ばったことは無視。
正式な晩餐ではない限りのいつものにぎやかな食事風景。
あきらの家族と俺の家族。
こんな時はガチャガチャと気軽に楽しめる食卓を囲む。
料理は道明寺お抱えシェフが腕を振るう。
給仕付きの食事。
子供の微笑ましい風景にクスクスと笑みがこぼれるのはつくしや、葵だけじゃなくて食事を運ぶ給仕も口元を隠して穏やかな笑みをこぼす。
室内を照らすオレンジの光が穏やかに部屋中を包み込む。
「葵さん、たまには私達で料理を作って食事したいよね」
「そうね。今度は私の家で食事しましょう」
「普段食べないものいっぱい作って」
「舞も手伝う~」
女子だけで盛り上がる会話。
あきら、眉、下げ過ぎだろ。
好きでしょうがねぇって瞳で自分の妻しか見てねェ。
「それじゃ、俺のリクエストはジャガ肉な」
「僕も!」
駿が俺に負けない声で叫ぶ。
「ブッ!」
俺の前であきらがワインを吹き出しそうになった。
「ママ、じゃが肉って何??」
佑がきょとんとした表情で母親を眺める。
「ジャガ肉・・・」
戸惑った表情が助けを求めるようにあきらを見あげた。
俺もつくしと知り合う前は見たこともなかった庶民の食べ物。
佑が知らなくても不思議じゃない。
「ジャガイモと肉を煮込んで醤油で味付けたやつ」
これがすげ~うまいんだ。
「・・多分、肉じゃがの事かな?」
佑に小さく耳打ちをする葵。
「司・・・それ、肉じゃが・・・」
テーブルに片肘をついてあきらが頭を支えた。
肉じゃがよりジャガ肉だろ?
つくしが作ったものは肉よりジャガイモが多くて、メインは肉よりイモだったぞ。
「翼のパパは肉じゃがが好きなの?」
「お、おう。まあな」
だからジャガ肉だ。
佑にそう指摘するのは大人気ないから、話を合わせて返事をした。
「僕も肉じゃが大好き!ママの肉じゃが美味しいんだよ♪」
自慢げな表情で佑が葵を見あげる。
「僕のママのもおいしいよ」
「うん、おいしい」
4つの声が入り混じって自分のママが一番だって競い合う。
目の前には一流の料理が並ぶ食卓で、ジャガ肉で盛り上がる。
シェフが聞いたら泣くぞ。
それでも、ヤッパリ、時々無性に恋しくなるんだよな。あの味が。
「佑もじゃが肉好きか!つくしのじゃが肉も美味いんだぞ」
「肉じゃが美味しいよねっ!」
コクリと元気よくうなずく佑。
「じゃが肉美味いよなっ!」
「だから肉じゃがだって」
俺の袖をツンと引っ張ってつくしが渋い顔で俺を見つめる。
「話が通じてるんだからどっちでもいいだろう」
「良くない、子供たちまでうちではジャガ肉なんだから」
ピキッと吊り上った眉が俺を睨む。
「ジャガ肉ならまだ、マシな方だろう」
「確かに、今でには超恥ずかしくなる言い間違いあるもんね」
「俺は物心ついたころからそれに付きあわされている」
同情を乞うような表情をあきらがつくしに見せた。
「馴れただろ?」
「馴れてはいるんだけどね・・・」
諦めたってため息を二人で漏らす。
相憐れむ様子で慰め合うんじゃねェよ。
あれは、絶対、ジャガ肉が正しいッ!!
クソッ!
グサッとフォークを皿の上の肉に深く突き刺した。
拍手コメント返礼
Gods & Death 様
スマホ、調子が良くて良かったですね。
当たり外れがあるのかしら?
私の友達は遣いはじめて1か月で調子が悪くなってきたと嘆いてました。
材料がいいと、味は確かに良くなりますよね。
道明寺邸の肉じゃがは一番いいランクの牛肉を使ってそう。(^_^;)
ステーキで食べたいお肉が切り落としされてるぅ~。
うちの子の好物は肉じゃがですよ~。
私の方が食べないかなぁ(^_^;)
みんしゃん 様
こいつら、幸せだよな。
自分の子供の頃と比べて司君思ってますよね。
ジャガ肉で幸せをかみしめる道明寺総帥。
つくしより安上がり?
アーティーチョーク様
司の言い間違いにも慣れて誰も突っ込みを入れなくなってるとか?
この中に楓さんが入って来たら空気が一変するのかしら?
緊張しないのは司だけだったりして・・・。