我儘な僕に我儘な君 30
楽しい恋バナで終らせるつもりだったのに・・・
そうは問屋がおろさない♪
今回は佑君サイドのお話になります。
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*「舞を怒らせた」
意外そうな表情を向けて翼がニンマリと笑う。
「佑が、舞を怒らせるってあるの?」
心配してる感情なんて持ち合わせてない興味津々に輝く瞳。
ふとした瞬間に舞と重なる。
目もとは舞とそっくりなラインを描く。
舞と双子だと思い出させる翼にドキッとさせられる。
翼を憎めないのも舞と重なるその笑顔が作れるからだと思う。
ずるいんだよな。
翼は絶対それを昔から分っていて、うまく使い分けていたと思う。
遊びを決める時も俺が選ぶことってなかったもんな。
いつも翼の言いなりで、翼がこっちで遊ぼうと差し出すミニカー。
期待を込めて見つめる瞳は舞そのもの。
俺は電車で遊ぶ方が好きだったんだぞ。
舞の真直ぐに裏腹なく素直に見せる感情。
率直すぎるくらいにクルクルと自分の感情のままに変わる表情。
俺に向ける微笑も、怒った顔も、愚痴る表情も、見てて飽きない。
黙って頷きながら、「そんなやつのこと気にするな」そう言えば舞は満足したはず。
どうして、そう言えなかったんだろ。
舞の視線が俺から離れて別な男子生徒を追った瞬間に何かがパチンと弾けた。
ムッとなった表情はそのまま俺のことを忘れて走り出す。
「おい、舞!」
舞が俺の事を無視するのは初めての経験。
何かあるたびに「佑、一緒について来て」と、舞に誘われるのが好きだった。
舞、君が俺や翼以外に興味を示すの初めてなんだぞ。
「ここで、佑にお説教されるって思わなかった」
舞から向けられた俺に対する不満。
今までならそれさえも笑って受け止められたのに心がザワツク。
「俺はそんな舞が好きだけどね。そしてほっとけない」
自分の気持ちを誤魔化す様に笑顔で何でもない素振りを取り繕った。
心の中は嵐が吹きまくり。
自分がこんなに嫉妬深いって思わなかった。
ただ、舞は何時もの正義感を振り回しただけだぞ。
気にするな。
言い聞かせて眠りについた夜。
起きてもすぐに昨日の自分に後悔してる。
「舞の事ばかり考えすぎて寝不足とか言うなよ」
能天気な顔が鼻先でそうつぶやいた。
翼のように単純なら楽だ。
「お前と一緒にするな」
その後愚痴るように「舞を怒らせた」と呟いてしまっていた。
怒らせた内容は詳しく言えるはずもない。
舞にムカついた。
そう言ったら翼に大笑いされるに決まってる。
舞に告白したときから自分に余裕が持てなくなってる
翼にも言えるわけがない。
「佑・・・」
舞の声じゃなきゃ、きっと俺の聴覚は捉えない細い声。
「おはよう」
何時もの態度で俺は表情を作れたろうか。
「昨日は、ごめん」
俯いた声はそのまま首をもたげたジッと俺を見つめる。
耳まで真っ赤になって何かに耐えてるって感じでかすかに震える唇。
謝らなきゃいけないのは俺の方。
舞の後に引きずらない性格の潔さが温かく俺を包み込む。
「何か、舞に謝れるようなことあった?」
「佑の言ったことの方が正しいと思うから」
「いや・・・俺も悪かったから」
意外そうに唇を小さく開いて真直ぐに舞が俺を見つめる。
「ちょっと、嫉妬した」
何言われてるの分らないって表情を作る舞が無性にかわいくて、俺は舞が好きだって思う。
「嫉妬って、なんで?」
「分んなくてもいいよ」
身体中からムズッとした感覚が浮かび上がって唇をくすぐる。
「俺も、意味が分からない」
翼がいたことをスッカリ忘れていた。
舞と同じ瞳で俺を見つめるなッ
拍手コメント返礼
アーティーチョーク 様
ちょっとした舞の違いにも佑は気付いちゃんでしょうね。
流石あきらの子!
翼君は少々浮かれすぎ♪
こっちにも何か爆弾を用意しようかな?(^_^;)
ゆう 様
ライバルがいるとハラハラドキドキ感がUP♪
お話はほのぼのと進めていきますので楽しんでくださいね。