恋の駆け引きは密室で 2

この何処が仮眠室よ!

シャンデリアが照らす室内。

壁際にはミニバー。

カウンターにはカクテルが作れるお酒もいくつか並んでる。

奥のドアを開ければジャグジーバス。

シャンパンでも飲みながら泡プクプクで入浴を楽しめそう。

ホテルの豪華な一室を再現。

ビジネスホテルのシングル一室でも仮眠室には贅沢だって思える。

これじゃ家に帰らなくても十分楽しめちゃうじゃない。

道明寺からしたらこれが普通なんだよな。

この部屋を仮眠室なんて言うなッ。

ボスッと腰を下ろしたベットのマットも硬さも柔らかさもちょうどいい。

ピンと張られたシーツの清潔な白がカメラからたかれたフラッシュのように眩い。

道明寺が寝ていた形跡は跡形もなく整えられてるベット。

ベットにうつぶせで寝ていた道明寺が、隣に身体を滑らせてる私の髪に指を絡ませて寝ぼけたままの虚ろな瞳を私に向ける。

初めて二人で迎えた朝の一時。

道明寺の裸体が白く彫刻のようにきれいで、朝日に輝く産毛まで愛しくて、抱き寄せられるままに道明寺の腕の中に引き戻されてしまっていた。

キングサイズのベットを見るとダメだッ。

ベットを見ただけで艶めかしさが身体を熱くする。

その後・・・

仕事に追われて何の連絡もせずに今日までっていったい何を考えてるのか。

あのバカ!

釣った魚に餌はいらないとか思ってないよな?

まだ、婚約だけだからね。

結婚を考え直すぞ!

ホントに本気!

ガチャッ

ドアを開く音。

「牧野・・・」

道明寺の唇がゆっくり動いて私の名前を呼ぶ。

何度も抱きしめられて甘く感じた道明寺の声。

名前を呼んだ唇が唇から首筋を通って体中にキスの雨を降らせた。

俺のものだと付けられた赤く肌に残った痕。

どんな贈り物より嬉しくて、愛しくて・・・。

痕が薄れるたびに強く道明寺を思い出していた。

道明寺の唇から目が離せない自分に照れてしまってる自分を持て余してる。

このままここにいたらやばい。

視線を下げた先に飛び込む白いシーツ。

なんでベットに腰かけちゃったのよッ!

私の側にだんだんと近づいてくる道明寺の靴音と心臓の鼓動が重なって耳に響いてきた。

「あっ」

呟いたまま唇がそのまま固まった。

心なしか牧野の顔が赤い。

ベッドに腰かけてる牧野が俺を誘う様に舌先が赤い唇を舐める。

ゴクリと唾を飲み込む音が大音響で聞こえそう。

「贅沢な仮眠室だね」

俺から視線を外してクルリと部屋を牧野が見回す。

「気に入ったか?」

ボスッとベットのスプリングが牧野の隣りに腰を下ろした俺の勢いのままに跳ねた。

心臓の高鳴りとどっちが高かく、跳ねたのだろう。

「気に入るとか、気に入らないとかの話じゃないでしょう」

ベットから立ち上がる様に靴底を床に付けた牧野の腕をとって引き戻す。

「西田さんとの話は終ったの」

ここで思い出したくもないやつの名前を出すなよな。

しらける。

まさか、わざとか?

「連絡を取らなかった理由は聞かねェの?」

西田のことには触れないままに執務室にさっき現れた牧野の不機嫌さを思い出している。

お前の声を聞いただけで俺は仕事なんてどうでもいいって思ってしまう。

牧野の中で感じた温もりと高揚感をもっと味合い尽くしたい。

牧野と結ばれた初めて知った満足感はもう手放せない媚薬だ。

一時も離れられないって言ったらこいつはどんな表情で俺を見つめるのだろう。

「ちょっと、痛い」

握りしめた牧野の手首が俺の指の形の痕を赤くクッキリと残す。

「わりっ」

牧野を離せずに力を緩めるだけの指先。

「会えば、抱きたくなる」

逃れるように身体を後ろに引いた牧野を両手が抱え込んだ。

「お前は、俺と一緒にいたくないか?」

「一緒に居るけど・・・?」

動く唇から零れる息遣いが俺の胸元をくすぐる。

ほら見ろ。

それだけで心臓がドクンと高鳴る。

「そう言う意味じゃなくて、一緒に生活するってことだよ」

結婚してないってだけで軽くあしらわれて商談が進まなかった。

この俺様がだぞ!

既婚も未婚も関係ない。

賞賛される満足な実績もいくつか成功させてる。

あんな奴を誰が相手にするか!

無視できないのは今後の取り引きには欠かせない大企業が相手だから。

「短気は出さないでください」

西田に言われなくても分ってる。

上手く商談が持ち込めるように模索して仕事に没頭した。

牧野に会ったらすぐに結婚を迫りそうな自分を抑えて。

「同棲するって事?」

結婚の文字も浮かんでないつれない婚約者。

牧野らしい反応だと納得してる自分が笑える。

「俺様と結婚しろ」

ガバッと速に頭をもたげた牧野の視線とぶつかった。

「同じ言葉でプロポーズされても感動しないから」

牧野の腕が俺の胸を押しやって身体を離す。

「こっちは真面目に言ってんだぞ」

「私をさんざんほっといて、いきなり結婚しろって誰が本気だって思うのよ」

不機嫌な表情が俺を睨む。

牧野の瞳の中に映る俺。

瞬きもせずに見つめあったまま時間だけが過ぎる。

「本気なの・・・?」

微妙な表情の牧野の神妙な声が唇から零れた。

拍手コメント返礼

おーじ 様

朝からちょっと~♪

私もそう思いないが書いてました。

朝っぱらから何を想像して書いてるのかねぇ~(^_^;)

Gods & Death 様

朝っぱらから失礼しました(笑)

この二人に駆け引きは出来るのか!

無理だろうなぁ・・・(^_^;)

c4様

素直じゃなくても俺様司につくしちゃんとり込まれているんですよね。

最期に言いなりになるのはヤッパリつくし?

チャージ満タン良かったです♪

かーちゃん 様

大人な恋愛よりこっちの方がつかつくには似合う気がします。

ドキドキキュンキュン。

時々ハラハラで最後はハッピー。

お話の流れは定番ですけどね。(*^_^*)

りん 様

ありがとうございます。

ハッピーエンドじゃなきゃ花男じゃない!

そしてこのドタバタ感が好きなんですよね。

ありふれた日常ってこの二人には似合わない!(笑)

アーティーチョーク様

きっとこの部屋を掃除する清掃員も仮眠室だとは思ってないでしょうね。

つくし不足は逆効果だと気がついてるのは秘書課のみなさん。

ただ今ホッと胸をなでおろしてる事だと思います。

かよぴよ様

この二人に恋の駆け引き。

出来ないでしょうね。

猪突猛型~♪