生れる前から不眠症 18
佑君登場まで穏やかにいきたいものです。
ここからはゆるゆるのお話でいきたいかなぁ~。
まずはその前に寄り道♪
*
「帰ったんだな」
上着を脱いでタイを緩めながらつくしだけが部屋にいることを確認する。
「すぐに迎えに来ちゃって美作も意外にだらしないよね」
タイミングを外すと帰れなくなるって焦った声で電話してきたのはお前だろうがぁ
満足な微笑は良かったって心底思ってる感情が丸見え。
「モテすぎるのも問題だよね」
目を細めて真直ぐに俺に突き刺さる視線。
「俺はあきらみたいな心配はないからな」
過去も今も未来も俺の腕の中を知ってるのはつくしだけで、つくし以外の女にはまったく興味ねェし。
「疑ってるのか?」
「ただえさえ誘惑が多いのに妊娠中は浮気の確率上がるって言うし」
「俺がいつ誘惑されたよ」
「熱い視線を送られてるのは一人や二人じゃないでしょう」
「俺の責任じゃねェよ」
こいつに嫉妬されると無性にうれしくなる。
ムッとした声色を出すのに苦労する。
気をぬくと緩みそうになる頬に力を入れた。
「プッ!」
吹き出した顔が近付いて下から俺を眺める。
「目が笑ってるんですけど」
お前の方こそすげ~うれしそうに目が笑ってる。
つくしの顔を肩に押し付けるように抱きしめた。
少し前に突き出したお腹の脹らみ。
ここに今宿る二つの新しい生命。
あと数か月で増えるはずの家族の重みと幸せ。
「ちょっと出てきたな?」
「わかるんだ」
てれくさそうに頬が赤らむ。
つくしの身体の変化ならつくし自身より詳しいかもしれない。
「駿の時より育ちがいいのよね。2人分だからね」
ソファーに腰かけたつくしが愛おしそうにお腹を撫でる。
和らいだ表情は温かさに満ちて輝く。
「あきらのとこと同級か」
あいつも、今頃、妊娠中の妻を慈しみながら幸せを感じてるのだろか?
まだ、葵に責められてる方が面白れぇけどな。
「ねぇ、私が家出したら、すぐに迎えに来てくれる?」
「家出する必要なんてだろう」
俺は浮気しないし、外に子どもがいる心配もない。
「司の横暴さには、時々むしゃくしゃすることあるからね」
俺は妊娠中のつくしに最大限のいたわりを見せてるぞ。
なるべく早く帰るし、駿の遊びの相手は俺が買って出る。
「お母さんがいい」
俺の腕からつくしの飛びつく駿の興味を俺にとどめとくのにどれだけ変顔してると思ってんだッ。
部下には見せられねェ子煩悩ぶり。
「国家機関を総動員して探し出すから覚悟するんだな」
「どこにも逃げられそうもないじゃない」
首に巻きつく両腕が俺を抱きしめる。
「ヤッパリお腹が邪魔だね」
首筋に触れるつくしの唇がくすぐったくクスクスと動く。
あきらの騒動の件からようやく俺たちも解放された。
拍手コメント返礼
あずきまめ 様
まだまだラブラブ度衰えてないですよね。
この先子供達が成人しても続くのでしょうけど。(*^_^*)
「若いっていいね」
思う気持ちわかります。
そう思われていた日は化石になったなぁ。
やなぎ 様
立ち込めていた暗雲もすっかり晴れて~
思い返すと今回の騒動はつくしじゃなく珍しく総ちゃんが引き起こしたんですよね。
その割に総ちゃんの出番は少なかったなぁ。