リミット 8

緊迫感のある誘拐劇を書くつもりだったんですけどね。

なぜかこうなる・・・(/_;)

生命の危機を感じるお話を書くには駿君がもう少し大人になってからでもいいかと、トラウマを作ったらかわいそうだしと、強い心が持てなかった私がダメなんだよなぁ~。

*

「リーダーが釈放された」

部屋に大人の人がもう一人現れた。

「さすがに早いな」

部屋の中には男の人二名と女の人1名の計三名。

後から現れた男の人を公園で会ったサングラスとお髭のおじさん。

その腕には何か大きなものを抱えてる。

だらりと下がった手と足が見えた。

まだ違う子を連れてきたのかとドキッとなる。

僕のことを間違いだと気がついてタカシ君を連れてきたとか?

タカシ君なら一人よりうれしいけど・・・。

知らない子だったらどうしよう。

僕らは二人でここから逃げ出せるのだろうか。

ここで待ってればパパとママが絶対助けに来るはずだ。

だから怖くない!泣かない!負けない!

おじさんは女の人に押し付けるようにその子を渡す。

乱暴に扱わないでよね。痛くて泣いてるじゃないの」

女の人は子どもを大事に抱くように子供を抱き締めてる。

何をされても全く動かない子供。

青いジャケットに青い半ズボンに赤い蝶ネクタイ。

名探偵コ〇ンの人形だって気がついた。

なんだ人形か・・・。

ちょぴりタカシ君だったら良かったのにって思っていた部分でがっくりきてる。

「これで、間に合ったな」

「本当に、どうなるかと思ってけどね」

「明日の開催ができなったらこの半年の苦労は水の泡だしね」

「騒ぎを止めに入ったリーダーは捕まえること自体が警察のミスなのよ」

キャラクターの人形にテレビのアニメで主人公が来ている衣裳。

壁に貼られた明るい色のポスターに描かれたロボットの絵。

その部屋の真ん中で腕組みをした3人組が夢中で会話中。

大人が真面目に会話するのは良く見かける。

中央の椅子にデンと座ったパパ。

すごくカッコよくて、一人一人の話を聞きながら悩むこともなくすぐに指示を出す。

不安そうな表情の社員の人がうれしそう顔が明るなって頭を下げて部屋を飛び出すんだ。

僕と目が合うと頭を撫でてくれる人と、僕にも頭を丁寧に下げる男の人もいる。

時々僕も偉くなってる気がする。

それは三角?じゃなかった錯覚だってママは渋い顔をする。

僕が偉いんじゃなく父さんが偉いだけで、ママや僕に舞に翼が偉くなったわけじゃない。

つまりはパパのおかげだということらしい。

「ありがとう」の感謝の気持ちは忘れたらダメだってよく言われてる。

「とにかく、リーダーが帰ってくればこの計画は成功だな」

「で・・・この子はどうするんだ?」

3人が一斉に僕を見た。

「顔見られてるしな・・・」

「返したらばれるよな・・・」

「どうするの!まさか!殺す気!」

「バカ!そんなことしたら、俺達は死刑だぞ」

「リーダーを釈放するだけにそんな重罪が犯せるか!」

「あのさ・・・誘拐って刑が重いんじゃなかったけ?」

「誰だよ~こんな割に合わない計画思いついたの!」

「俺じゃないぞ!」

三人が三人とも首を振る。

「責任の押し付け合いは大人らしくない!」

時々ママが仕事の書類とにらめっこしながら愚痴ることを思い出した。

「これ・・・誘拐じゃなく遊んでたって事に出来ないかな・・・」

「でも、警視総監に電話したよな?」

「孫は預かってるって、リーダーの釈放を要求したしな・・・」

「どうする?どうしよう?」

「こうなったら逃げるか!」

「逃げたら明日のアニソン開催できなくなるじゃない」

「どうするんだよ!!」

髭のおじさんはサングラスを反射的に床に投げ捨てた。

二重瞼のぱっちりとし大きな瞳が僕を見つめる。

「僕、左門君じゃないよ」

なんとなくこの人たちが悪い人じゃないって思ってる。

僕が知らないことをいっぱい教えてくれて楽しかった。

家に帰ったら、舞や翼とクルクルと生地を丸めるたこ焼きの作り方を教えるんだ。

赤い小さな紅しょうがはいらないけど。

「でも、シュン君だろって聞いたらうんって言ったよな?」

「左門君とは同じ漢字の駿だけど、左門君はタカシって読むんだもん」

顎を外したような大口が開いたままのお髭のおじさん。

「だから、左門君を誘拐したことにはならないと思うよ」

「それじゃ・・・君は誰?」

「道明寺 駿」

「なんだ・・・道明寺か・・・」

「道明寺?」

「英徳で道明寺って言えば、まさかあの道明寺じゃないよな?」

「英徳で道明寺って言えばあの道明寺しかいないぞ!」

女の人と男の人が見つめあって男の人が震える目で僕を見つめる。

女の人は僕の顎に手を触れて左右に何度も動かす。

そんなに見つめられたら僕でも恥ずかしい。

「きゃーーーッ」

「なんで気がつかなかったんだろう、そっくりじゃない」

テンションの上がったキャピッとした高いお声が頭の上から飛びだしてるお姉さん。

「私、ファンだったのよ!」

グッと両手をお姉さんの手が包み込んでブルブルと上下に腕を揺さぶられた。

コ〇ンとパパはどっちがお姉さんは好きなのだろう。

アニメキャラと同等の扱いには父さんは渋い表情を見せそうだけどね。

パパはママ以外には興味がないからそこまで影響はないとも思う。

「おい・・・それって・・・警察よりヤバくないか・・・」

「あの道明寺司って事だろう?」

「俺、日本から逃げる!」

そのまま背中を向けて男の人は玄関に向う。

足と手が一緒に出ていてうまく歩けない足取り。

焦り過ぎッ!

そこまでパパ怖くないって僕は思う。

ガチャリと開いたドア。

目の前で男の人は石に変わったように動かなくなった。

拍手コメント返礼

おーじ 様

真っ先に飛び込んでくるのは誰でしょう~

1.つくし

2.つくしを止めながら司

3.つかつくを止めながらF3

4.意表をついて特別警備隊&警察

5.SP代表千葉君&相葉君

さぁ!どれが一番楽しいかなぁ~

かーちゃん 様

子供って意外な観察力ありますよね。

着眼点もそこなの?って思えるところとか?

意表がつけない平凡さは私が大人だからだろうなぁ・・・(^_^;)

怖いのは可愛そうでしょね♪

血を見るのも嫌だしなぁ。

司君が暴れたらどうなるか保証は出来ませんが、そっちの方が駿君怖かったりしてね。

あずきまめ 様

意表を突く誘拐劇に一票をいただき感謝♪

私が知ってるアニメキャラクターって少ないんですよね。(^_^;)

最近子供もアニメは見なくなってしまってますしね。

誘拐犯人の女性が司君を盛大なお迎えをしたりしてね。

アーティーチョーク 様

お馬鹿というより間抜けな犯人だと緊張感も全くなくて~

司君の仕返しの方が緊張感半端なくあると思います。

オオイタッコ様

私もどちらかというとコメディータッチの方が好きなんですよね。

目指せクドカン!! ←  大物すぎ~。

道明寺家での最大の苦労人はやはり西田さん?

つくしじゃないところがミソ~。