恋の駆け引きは密室で 10

司君かっこよすぎ。

現段階であたふたしてる司君じゃありませんよ。

数話先を行ってる私の頭の中の司君にもう♪メロッとなってます。

うっ・・・早くそこまで更新したい!

今回は類君を活躍させるつもりじゃなかったんだっけなぁ・・・(^_^;)

*

「牧野、大丈夫って、顔じゃないよ?」

「俺をわざわざ牧野が気分が悪って呼びに来たのもタイミングが良すぎるでしょう」

確かに普通に考えたら学校関係者を呼ぶとか医務室に運ぶ方。

本当に気分が悪くても私が花沢類を呼びつける様な真似はしない。

それは花沢類も気がついてるはずだ。

ただ私に何かあるとすぐ花沢類が現れるのは何時ものこと。

ピンチの時の花沢類!

これは大学になっても変わらない。

話せるなら話して・・・

吸い込まれそうな瞳で見つめられたら嘘なんて言えなくなる。

なんでも喋って、頼ってしまいたくなる澄んだ瞳が私を真直ぐに捉える。

「家まで送るよ」

せかす様な態度を見せない花沢類。

そっと背中に回わした腕が優しく私を前に押す。

押されたのは背中だけじゃなく花沢類を頼ってしまいそうな自分の心。

今は道明寺には話せることじゃない。

きっと私以上に憤慨して自分が守れなかったって悔やむと思う。

まだ、はっきりと何があったかわかんないんだから悩むな!

花沢類に見つからない様にポケットにしまいこんだ小さな正方形のピンクのビニールの袋をクシャッと握りしめた。

車の後部席のシートにもたれて、すぐに携帯の着信音が響く。

相手は道明寺だと分かるダークベータ―のテーマ曲。

今はその低音の重圧なオーケストラの音量がやけに重く響く。

今明るく対応するなんて無理。

「牧野」

聞こえた声にキュンと心が悲鳴を上げそうになった。

道明寺の声にしがみ付いて泣きたい感情。

道明寺・・・どうしよう・・・

本人を目に前にしたら絶対言えない心細さが無言のままに胸の奥を締め付ける。

「俺達、しばらく距離をおこう」

ハッキリとゆっくりと聞こえた声。

「えっ?」

もしかして、もう、何か敵の動きがあったの?

私が眠らされたのも道明寺がらみ?

赤札を貼られた私を、いじめられた連中が道明寺と付き合うことになって、ころって手のひらを返したように、猫なで声で近づいて、親しさをアピールする学生の方が明らかに増えた現実。

そのタイプが多い中に、私と道明寺の交際を快く思ってない相手は未だにいると思う。

悠著に構えてはいられない。

返事もできずにただ、無言の時間が続く。

「俺とお前の結婚への温度差あり過ぎだろう。考える時間をやるよ」

結婚て・・・

道明寺が私と距離をおきたいと思ったのは、今すぐ結婚したいと迫る道明寺を拒否したから?

私はそれどころじゃないつーの。

いや・・・

今回のことでもし何かあったらそれこそ結婚なんて今すぐできなじゃないの。

そのまま切れた携帯画面から視点が外れない。

何も映し出してない暗くなった画面をただ、じっと見つめていた。

「司から?」

「うん、私としばらく会わないって・・・」

「そうか・・・」

花沢類は驚きもせず静かに呟く。

そっちはほっとけばいいよと言ってるみたいな態度。

そうだね。

今は何があったかを私は知る必要があるんだもん。

それがはっきりしなきゃ道明寺に会えそうもない。

道明寺の申し出はここはありがたく受け取ろう。

そして、ここは花沢類に協力してもらうのが一番安全だと思えた。

全部は話せないけど・・・。

覚悟を決めた家までの距離。

手前の公園で二人でベンチに腰かけた。

私の言葉を一つ一つ聞きいった花沢類の表情がわずかに曇る。

「それじゃ、相談があるって持ちかけられてあの部屋に入って、コーヒーを飲んだら眠らされたってこと?」

呆れた視線が向けられてそうで俯いたまま顔が上げられない。

「面識のない相手に牧野はついていたの?」

「だって、英徳の学生だと思うし、女の子だったから」

「英徳のセキリュティーは厳重だけど、だからって完璧じゃないよ」

「司が知れば俺たちの部屋に牧野は監禁されるだろうね」

F4に与えられてる部屋が大学内で一番厳重な場所だってことは知ってる。

警戒心が薄いのはしょうがない。

人を疑うのは簡単って道明寺は言うけど、私は信じるほうが楽なんだもの。

「司には言えないか・・・」

ホッと一息ついた花沢類の口もとに浮かぶ笑み。

それは安心してって私を慰めるには十分な魅力。

ベンチから離れた花沢類は自動販売機で何かを買ってすぐに戻って来た。

「まだ、何か心配事ある?」

差し出された缶の冷たさがヒンヤリと手のひらから伝わる。

「大丈夫・・・」

答えながら泣きそうになった。

一番私の心の中を占める不安はまだ言い出せそうもない。

花沢類の右手がゆっくりと動いて私の肩の上に置かれる。

「俺を呼びに来た女、顔は覚えてるからすぐに探し出すよ」

「大丈夫だから、俺に任せて」

私を慰めるように花沢類の手のひらが私の頭を撫でる。

「こんなとこ、道明寺に見られたら怒鳴り込んできそうだね」

「牧野、やっと笑ったね」

「これで家に帰っても、大丈夫かな」

私の狼狽えてる感情を見通して、落ち着くまで公園で過ごしてくれたんだと気がついた。

花沢類の気遣いにまた泣きそうになった。

「私って、そんなに可笑しかった?」

「牧野の異変にはどんな小さなことも俺は見落とさない自信があるよ」

花沢類に見つめられてそんなことを言われたら、女の子なら誰だって夢見心地の気分にさせられる。

道明寺が好きでもそれは変わらなくて、今の自分の置かれてる状況を一瞬で忘れそうになった。

花沢類にドキッとさせられるのは、もう条件反射になってる。

ごめん・・・・

道明寺。

拍手コメント返礼

ツックー様

そうですね。花沢類は癒しですね。

健気すぎて応援したくなる。

おーじ 様

泣けてきたって・・・(^_^;)

研修お疲れ様でした。

まとめて読むとそうなるのかな?

司のタイミングの悪さとつくしちゃんのタイミングの良さが繰り広げるバラエティにはならないようにしないといけないんですよね。

この雰囲気のまましばらくは御付き合いをお願いします。

Gods & Death 様

前文を気に留めながら事の成り行きを温かく見守ってください。

お願いします。(^^)

経験が少なくてもなんとなく分かる気もしますが・・・

つくしちゃんですからね。

あずきまめ様

つくしちゃんが惚れ直す司の表現!

これが目下の目標かな。← 大丈夫だろうか・・・

りん様

おはようございます。

そうやって応援いただけるとそれだけでうれしいですしエネルギーを頂いてます。

気分よく書けるのも応援してくれる方がいればこそです。

このお子ちゃまの司君がどう変わるのか?

おたのしみに♪