生れる前から不眠症 21

早く佑君生まれて~

と思いながらやっとここまで。

そんなに早く二人の妊娠ライフを終らせるのももったいないような気もします。

生れたら育児ライフのお話を書かなきゃいけないようなきもしますが・・・

あきらのママと双子が絡んできたら楽しくなりそうな・・・楽しいというより騒動になる?

赤ちゃんの佑君を女の子みたいに着飾らせてお人形状態になっていたりして・・・(^_^;)

*

穏やかな日常は穏やかに過ぎて葵のお腹を膨らます。

少しがに股ぎみに歩く姿は「歩くな、座ってろ」と俺をソファーから立ち上がらせる。

お腹の子供が男の子だと分かった時からいくつもの名前を浮かべては消えていく。

なかなか決められないものなんだな。

葵と二人で白い紙の上に書き出してみてはああだ、こうだといいあう時間。

カップから立ちのぼる白い湯気が消えて飲み物が冷えてもポカポカとした気分は俺達を包み込んだままだ。

「この漢字は難しいかな。あきらのようにひらながって言うのもありだよね」

「俺は葵の様な一文字の感じも好きだけどな」

俺の言葉に耳まで真っ赤にして照れくさそうな表情が、動かしていたペン先をピタリととめて動かなくなった。

「葵が、好きだって言ってるわけじゃないけどなぁ」

ククッとした笑みは葵といると簡単に零してしまう。

「それは、分ってる、分ってるけど・・・」

「バカだな、好きと言うより愛してるって俺は何時も言うだろう」

バタバタと落ち付きを無くした葵はテーブルの上に書き散らかした子供の名前を書いた紙を重ね合わせる。

もうすぐ子供も生まれるっていうのにッ

照れるなよ。

腰に回した腕で抱き寄せながら葵の頬に寄せる頬。

身体に回せなくなった腕。

俺の手の平は丁度張り出したお腹の真ん中あたりに落ちつく。

手の平に感じる胎動。

予定日が近づくたびにその動きは活発に俺にその存在を知らしめる。

「ねぇ、この名前良くない?」

「佑でユウ、悠、優、裕 勇 雄 漢字もいっぱいあるけど、

赤ちゃんは勇敢さより優しいイメージが強いの。あきらの子供だし」

姓名判断の漢字の意味に記されて意味。

佑・・・自らの強化が自らを守ることになり、 その力はさらに周囲を守る力へと成長する。

人を助けるという意味。

「あきらの性格にぴったりだね」

やけに嬉しそうな顔は屈託なく俺に笑いかける。

やたら楽しそう。

「ユウよりタスクの呼び名がいいと思うけど」

「葵と同じ漢字一文字と呼名は三文字。俺達から名前をとってつけた気がしないか?」

俺から視線を移した葵はそっと自分のお腹に振れて愛しそうに手を時計回りに動かす。

「お~い、名前決まったよ。タスクだって」

「早く出ておいで~」

おい、まだ困るぞ。予定日は1か月以上も先。

それに俺は明日から海外出張の予定がいってる。

「俺がいるときにしろよ~」

お腹に向ってかける声。

「なぁ、明日からしばらく一人で大丈夫か?」

「えっ?大丈夫だけど、あきらが留守にするのは初めてじゃないしね」

「心細いとかないのか?」

「なに?私に心細いって言って欲しいの?」

「何か会ったらって心配してるだけだろう。俺の実家に行くとか?」

眉を下げて俺を見つめていた葵の表情。

だんだんと眉が吊り上って険しい表情に変わる。

「それ、本気で言ってる?」

あの母親と妹たちに囲まれていたら休まる気も休めなくなるか・・・。

妊娠した葵を俺以上に喜んでくれた母親は当たり前の反応。

俺と葵の邪魔をしていた妹たちも手のひらを返したように大喜びだった。

連れて行った葵はソファーに座らせれままなにもさせられなつーか、トレイまでついて世話をするような勢い。

数時間の実家訪問で葵はげっそりと疲れはてていた。

つわりで体調が悪いとは言っていたけどあれは母親と妹たちの世話の焼き過ぎのせいだと俺は思っている。

「生れたら、大騒ぎだよね・・・」

赤ん坊が生れる前から眠れなくなりそうな気がしてきた。

拍手コメント返礼

あずきまめ 様

悪気がない、自覚がない。

これが一番厄介ですよね。

葵ちゃんじゃなくてもあのママと双子ちゃんにはたいへんだと思うなぁ~。