恋の駆け引きは密室で 18

誤解が解けてやっと安眠できそうなつくしちゃん。

ポケットに忍ばせてる小さなゴミは早めに処分をお願いします。

司君が見つけたらどうなるのか。

中身が入っていたら喜びそうですけどね。

中身は無くなってるからね~。

どんな誤解が飛びだすかわからないぞ~。

それも期待してる訪問者が意外と多かったりして・・・(^_^;)

*

「つくしを暗く落ち込ませた原因は取り除けたから」

「私たちがいない方がいいでしょう」

すれ違いざまに俺に滋がそう告げた。

「詳しくはまた、明日な」

あきらも総二郎も類もすべて理解した心強い表情を浮かべて部屋を出ていく。

静けさを取り戻した邸内。

ポツンと一人残された俺。

窓を打つ風の音が心なしか寂しく響く。

牧野は本当に心の重石を取り除くことが出来たのだろうか。

あいつの側に行きたい自分と躊躇する自分。

本来なら俺があいつの負の感情の部分をすべて背負いたいはずなのに、今回は踏み込めずに突き進めずに立ち止まった。

偶然会った滋に「牧野がいつもと違うんだ」不安を口にした。

「なにやってるのよ」直ぐに食いついてきた滋の緊迫感が俺を責める。

牧野に会わせる算段を付けろと迫った本気の滋に俺も任せる気になった。

あいつを大事に思ってるのは俺だけじゃない。

大切にしたい仲間がいるってすげぇことだって思う。

カチャ。

気がつけば、いつのまにかあいつの部屋の前。

カギのかかってない部屋は小さく音を発てて開いた。

安全だと言ってもカギはかけとけよ。

俺の進む道を照らす様に、長く細く廊下から差し込む光の道が真直ぐに一筋に伸びる。

自分勝手な解釈に苦笑。

ドアを閉めて暗くなった部屋に目が慣れるまでの数秒の時間に一つ大きく息を吐く。

足音を忍ばせながらゆっくりと部屋の中に足を踏み入れた。

客間の必要最低限の家具の配置はベッドの場所までなんら阻む物はない。

ベッドの上の丸いふくらみが寝返りを打つように動いて横たわる。

カーテンの隙間から零れてくる月の光に照らされて白く浮かび上がる牧野の横顔。

ベッドの端に腰を下ろす振動にも瞬き一つ動かない目もと。

深く寝入っている寝顔が苦痛を漏らす様に小さく口もとを歪めた。

嫌な夢見てんじゃねェよな?

眉にかかる前髪をそっと掻き上げる指先。

額から頬をそして唇を親指がそっとなでる。

指先に温かな牧野の吐息が触れる。

寝顔を見下ろすだけの気分は誘われるように牧野と俺との距離を詰める。

唇が触れあった僅かな時間が愛しくてたまらない。

そのまま牧野の横に滑り込ませる身体。

いいよな?

このまま、一緒にいても?

朝までずっと、お前を抱きしめたまま眠りたい気分。

腕を牧野の頭の下に滑り込ませて抱き寄せた。

夜が明けて白く部屋を照らす頃。

俺の腕の中でぐずる様に数度身体が小さく動くのを感じる。

眩しさを遮りながら開いた瞼。

「んっ・・・」

目の前で数度瞬きを繰り返す牧野と視線がぶつかった。

「えっ?どうみょうじ・・・えーーーッ」

寝ぼけていたいた顔が一気に目覚めた表情を作る。

逃げ出そうとしてる牧野の腕を掴んで引き寄せる。

「俺の腕の中でさっきまでグッスリ寝込んでたのに、逃げるな」

「逃げるなって、道明寺、なんで裸で寝てるの」

「私服を着たままじゃ寝難いから脱いだだけだ」

目にやり場に困ったようにキョロキョロと落ち着かない視線。

「初めて見るわけじゃねぇだろう」

「そうだけど・・・そうじゃなくて、道明寺がどうしてここで寝てるの!」

毛を逆立てて反抗してる猫。

やっと牧野らしくなった牧野。

安心はそのまま俺の我儘な性格を刺激する。

「俺も、ここしばらく寝不足だったんだ。お前の側だとぐっすり眠れる気がして、寝こみを襲うような事はしてねぇから心配するな」

「寝こみって・・・」

牧野は真赤に頬を染めてモジッと言葉に詰まる。

「もしかして、襲って欲しかったか?」

突き合わせた鼻先でますます染まる頬。

「んな、わけないでしょう!」

俺を責めるように胸元を牧野の拳が左右交互に打つ。

か弱い力で効力のない痛みが俺の肌をかすかにくすぐる。

「牧野がいつもの牧野に戻って安心した」

そのまま牧野の背中に腕をまわして強く抱きしめた。

拍手コメント返礼

Gods & Death 様

ゴミは早々に片付けないと~いらぬ誤解に発展しなければいいんですが・・・(^_^;)

仕込んだ私が何を言う♪