我儘な僕に我儘な君 35

ここから佑君巻き返しなるか!?

その前にまだまだ大内先輩と舞ちゃんの急接近しそうなシュチュはないんですけどね。(^_^;)

来年は急展開あるのでしょうか?

*

斜め後ろ45度に視線を傾ければ見える佑の姿。

気がつくと佑の唇に視線が止まる。

いきなりあんなことするから。

指先が自然と自分の唇に触れる。

はじめてのキスじゃないけど、突然のキスはドキッとするまもなくて、どう反応していいのか感情が戸惑う。

嬉しそうに微笑む佑の見せる余裕についていけない。

私の視線に気がついた佑の表情から逃げるように黒板の方に顔を向けた。

カチカチとペンシルの芯を出すように動く指先。

尖端から1センチほど伸びた芯で書けるわけがない。

「あっ・・・」

ノートに黒い芯の痕を残してポキッと折れた。

授業にも集中できないままに終わりを告げるベルの音。

バタバタと帰り支度を始める生徒で慌ただしくなる。

「舞」

「えっ?あっ?」

「ぼっとしてない?」

誰のせいよ!

微笑を浮かべる佑の柔らかな雰囲気は直ぐに私の心の奥に染み込んで、目が離せなくなる。

「まずかったかな?」

「なに?」

「キスしたの」

教室に残ってるのは私と佑だけ。

椅子に座ったまま私はどれほど佑とのキスに浸っていたのだろう。

そこにまたさっきの突然のキスのことを思い出させる佑の声。

どう答えていいのかわかんないままに頬が熱くなる事だけが自分でもわかる。

目の前に近づく佑の整った顔。

息の触れ合う距離で「帰ろう」と、佑が呟いて私のカバンをとって教室の出口に近づく。

唇に佑の甘い息の感触だけを残して・・・。

「あっ、迎えの車は帰したから」

直ぐに佑の後を追って肩を並べる。

校内に出るまでの校門までの道。

両脇に並ぶ銀杏の木は少し赤く色を変えて歩道をところどころ覆う。

秋の気配を感じさせる。

佑と2人で歩くことがそんなに多いわけじゃない。

ゆっくりと歩く私たちを落ち葉を高級車が舞い上げながら通り過ぎていく。

「そういえば、舞のお母さんは順調なの?」

「えっ?あっ・・・」

妊娠のことね。

「順調みたい。もうパパったらママをベッドに縛り付ける勢いで大事にしてる」

「16歳離れた弟か妹が出来るって思わなかったけどね」

「生れてくるの楽しみなんだろう?」

「まあね」

少し体のラインがふっくらしてきたママを優しく愛おしそうに眺めてるパパ。

私たちも生れるまであんな風にパパやママに見つめられて大事にされたんだって思うとグッとくるものがある。

最近ママの妊娠が実感できてきた私達。

年が明ければ出産に向けて我が家はあわただしくなってくると思う。

校門を出て人の流れに乗る様に同じ方向に歩く。

行きたい場所なんて思いつかない。

佑と一緒にいたいだけだってまマジに思う。

ビルの壁に映し出される広告。

化粧品のCMに合わせて流れて聞き慣れた音楽が艶やかさを増す。

「駿にい、相変わらずCMに出てるんだ?」

時々忘れたころに駿お兄ちゃんには仕事のオファーが来るらしい。

それを取り仕切ってるのは佑のパパなんだから。

佑が知らない訳はないって思う。

未だに道明寺財閥の御曹司だと世間にはばれてないのがすごいって思う。

画面いっぱいの駿お兄ちゃんを眺めながら「きゃー」とか「わぁ」とか立ち止まって上がる声。

人気があるのは相変らずで、妹としては自慢だけど、知らない人が頬を染めて見惚れているのはなんとなく気分が悪い。

「あの子かっこいい」

横から聞こえた声はテレビの中の駿お兄ちゃんじゃなくて私の横に立つ佑に向けられたもの。

カッコいいって褒められて気分が良くなるのはまだまだ私には無理みたいだって思った。

「行こう」

佑の腕を掴んで目の前のショッピングモールに足早に向かった。

人込みをよけながらお店の中に入るのは久しぶり。

ガランとした店の中で店員とSPに囲まれての買物は堅苦しくてしょうが無い。

陳列された商品を手に取りながら猫のストラップをかわいいって佑を振り返る。

こっちが恥ずかしくなりそうな優しい笑みを浮かべる佑がいた。

580円の値段を眺めながら買おうかどうか悩んじゃってる自分が楽しい。

財布の中身は1000札が一枚。

普段から現金を持ち歩く生活させてくれない。

買う物があれば無制限のブラックカードが1枚入ってるけど邪魔にしか思えない。

ママが時々渡してくれる1000円の方がどれだけ使い勝手がいいかパパにはわかんないんだよな。

「これ、欲しいの?」

佑の頬が触れそうな位置まで近づいて私の手元を覗き込む。

「かわいいって見てただけだから」

なんせ私の財布の中身は1000円ぽっきり。

ピンクゴールド色でコーティングされたハートのネックレス。

「ペアネックレスですよ」

満面の笑みは私の横の佑に向けられてる。

ハートのネックレスの横に並べて置かれたブラックロジウム色でコーティングされたサークルのネックレス。

百合がモチーフの丸カンや留め金が同じデザインとか、小さなダイヤモンドの同じ石が仕様。

ペアーだと直ぐには分からないデザイン。

「このデザインだとシンプルでもカジュアルでもどちらでも似合いますよ」

店員の接待に熱がいるのは英徳の制服を着てるせいだと気がついた。

お嬢様、お坊ちゃまのお金持ちの学校の印象は健在。

「もらいます」

佑が取り出したブラックカード

さすがの店員さんも佑とカードを交互に頑見。

「ただいまお包みします」

焦って声が震えてカードを持つ手も震えてる。

「佑!要らないから!」

一気に空気が普通の高校生からセレブの空気に色付いてる。

「あっ、そのままでいいです」

店員からそのまま受け取るネックレス。

「俺もつけるから舞にも付けてほしい」

ハートのネックレスの留め金を外して佑が腕を私の首の後ろに回す。

佑の息が髪の毛の毛先を揺らす様に近づいて離れた。

「はぁ~」

カードを返しに戻って来た店員がうっとりする表情で佑を見つめていた。

拍手コメント返礼

トマト 様

財布の中身が千円♪

いまどきの小学生の方がまだ持っている♪

舞ちゃんとかお金を使うこともそうないと思いますけどね。

佑君一歩リードしたのかな?

Gods & Death 様

お金持ちの対応憧れますよね。

高校生の頃どれだけおこずかいを上げてほしかっか・・・(^_^;)

年末は忙しいですよね。

今日は燃えるごみの日だったんですがいつもより一袋多くごみを出してきました。

それでもまだ掃除が終わらない。

りん 様

「無くしたらぶっ殺す」

なんてことは佑君は言わないだろうなぁ。

ちょっとつかつくとかぶらせてみました。

とうとう今日はクリスマスイブ♪

さぁどんなお話になることやら~

アーティーチョーク 様

舞ちゃんにも大事な宝物になりそうですよね。

つくしが司との別れを告げて土星のネックレスを川に投げ捨て様なことにならないといいんですけど・・・(^_^;)

いろいろ気になる脇役が多いお話になってきちゃってます。

つくしの妊娠に、まだ芸能かいと縁の切れていない駿。

翼とすずなのカップル。

こっちはどうなってるのか、書いてる私もどうするか悩んじゃってます。