ハッピーデイズ

今年も後2日。

締めくくりはやっぱりこの二人に任せるということで・・・(^_^;)

このお話続きは書けるかどうか微妙です。

今年もたくさんのご訪問ありがとうございました。

良いお年をお迎えください。

by ひー

*

「君、もう1時間ここで待ってるよね。フラれたんじゃない?」

恵比寿ガーデンプレイス時計台1時

約束の時間はとうに過ぎてしまっている。

携帯にかけてもつながらない。

なにやってるのよ!

「ほっといて下さい」

「ほっとけないから声をかけたんだけど」

ニコリとほほ笑んでいた男性の声が急に強張る。

背中から感じる寒々とした空気。

振り向けずに強張る身体。

「俺の彼女に何か用か?」

ひゃ~

腹の底から湧き上がる怒りに震える声。

そんなに脅さなくても・・・

言いたい声はごくりと喉を通って胃の中に落ちこんだ。

肩に回された腕はやけに重たい。

「かかかれし・・・がきた・・ならよかった・・・」

良かったなんて思ってない表情を浮かべてのしどろもどろの日本語。

2、3歩後退した体は急に私たちに背中を向けて逃げ去った。

「ナンパされてんじゃねェよ」

私の肩にわざと体重を載せたまま皮肉るように片口をフンと上げて呟く。

「誰かさんが遅れたからでしょう」

「これでもやっと作った時間だ」

ジロリと見下げてる視線に負けるか!

12月28日の私の誕生日は、道明寺は日本に居なくて、メールで届いたハッピーバースディ。

『帰って来たら遅れたぶんも祝ってやる』

そっけないメールでも道明寺の愛情は感じ取れて嬉しかった。

二日遅れた今日。

年末の慌ただしさの中やっと会えると思った1時間以上の遅刻。

ごめんとか。

悪かったとか。

謝るのが先でしょう。

来てやったんだから文句言うなと、ふてぶてしく言われるのがオチなんだよなぁ。

「ほら」

左の肩に置かれた腕から重さが消えて優しく労わる様に抱き寄せらた。

目の前に差し出された右手には15㎝程度の茶色い箱。

「本場のチョコを食べたいって言ってたろう?」

今回の出張先はヨーロッパで、フランスにベルギーのチョコを食べたいって何気なく言った気がする。

道明寺が覚えていてくれたのは思いもよらなくて感激。

かさかさと包装紙を乱暴に破いた道明寺の長い指が蓋を開ける。

これ、私へのお土産じゃなかったか?

しっとりとした色合いでチョコレート色に輝くチョコ。

親指と人差し指が一つ摘まんでほらって私の口の先に差し出せされた。

ここで食べるの?

キョロキョロとあたりを見渡して・・・

何事って注目されてる視線は一つ二つじゃない。

「早く食べろよ」

催促する瞳はキラキラとすごく優しく輝いて私を見つめる。

唇に押し付けられるチョコ。

唇の熱がわずかにチョコを溶かしてチョコの香りと甘い味が唇から流れ込む。

唇ががぶっと意を決して、チョコと道明寺の指先を咥えた。

「うまいか?」

味なんてわかんないよ。

私の口から離れた指先の腹を人差し指、次に親指とぺろりと道明寺の舌が舐めた。

何気ない仕草のはずなのに視線を引き寄せる。

包み込む空気の色は輝きを増す。

漂う男の色気は年を重ねるごとに増幅中。

魅せる艶があり過ぎるのは困る。

分ってないんだから、なおさらだ。

ドクン。

心臓の音が身体から飛びだして辺りに響きそう。

身体は密着したままで道明寺の熱がそのまま私を包み込む。

ますますチョコの味なんて分かんなくなった。