新年の始まりは?
あけましておめとうございます。
昨年中はたくさんのご訪問、コメント、拍手ありがとうございました。
今年もどうぞよろしくお願いします。
お正月の一コマショート
結婚してお初の正月の設定で書かせていただきました。
*「もう、お父さんたらしょうがないな」
牧野家のアパートの一室。
道明寺から正月の挨拶だって誘われて元旦の午後に実家に訪れる。
まだ結婚して1年も過ぎてないのに懐かしく思えるのは、ストーブとコタツでいっぱいの狭いわが家のリビングの窮屈さがホッコリとさせるからかもしれない。
コタツの中に肩を丸めてコタツ布団すっぽりと長身の身体を丸めてる道明寺が珍しくてクスッとした笑いが零れる。
道明寺邸の過ごしやすい温度に設定された空調じゃ、寒さに耐えることはまずないからね。
道明寺が持ってきた日本酒の一升瓶を抱え込んだままコタツの中で上機嫌で寝息をたてるパパ。
誰もお酒は取らないって!
突っ込みどころ満載の酔っぱらいの赤い顔で寝息をたてる。
「もう飲めない」
それは、分ってるから。
「風邪ひくよ」
コタツからはみ出してる身体に毛布を持ってきてかけてやった。
「よっぽどつくし達が来てくれたのがうれしかったんだと思うよ」
パパの寝顔を覗き込んだママも嬉しそうな笑顔を浮かべてる。
私の実家に挨拶に行っこうと誘ってくれた道明寺の私に見せてくれた心遣いへのうれしさと感謝の気持ちがあふれる。
年末も急がしくて、今日の正月も朝から年始のあいさつで、列をなす道明寺邸。
「抜け出すぞ」
一息ついたところでコソと人の目を避けて屋敷を抜け出した。
タクシーに二人で飛び乗って走り出したタクシーの後部席で道明寺がニンマリといたづらっ子の笑みを浮かべた。
連絡もなしに現れた私達二人を出迎えてくれたのは進。
何時の間に準備したのか道明寺が差し出すお年玉を受け取ったら、ちゃっかり家を出て行った。
「いくらいれたのよ」
「大した額じゃねェよ」
道明寺の基準で言われたら何桁違うの!
お年玉の袋が丸く膨れてなかったか?
千円札と1万円札じゃ額は違うけど、道明寺が千円札を入れるわけないし・・・
進からもらったお年玉を取り上げるわけにはいかないだろうしな。
3万?5万?
自分で確認するように空の落としだま袋にお金を入れて見た。
全然膨らまない・・・
「なにやってんだ」
「あっ・・・もういい」
さっきの感謝の気持ちが窄みそうなので考えるのはやめた。
「無事に新年を迎えられて、本当に道明寺さんには感謝します」
カーペットに頭を押し付けるようにママが頭を下げる。
「あのね、うまくやれてるのは道明寺だけの力じゃないからね」
「司法修習での別居生活にも快く送りだしてやったの忘れるんじゃねェよ」
私の横でボソッと小声を道明寺が漏らす。
「快く送りだしてくれたっけ?」
週末帰らないと文句言うし。
道明寺と結婚したことは内緒にして牧野って名字で修習を受けていたのに、それも全部ばらしたの誰よ!
「どれだけ、俺が我慢してたって思ってんだ」
「なによ」
向かい合あった道明寺の顔が近づくたびに鼻息は荒くなっているようなぁ・・・
ハラハラしててるママに気がついて近付いた身体を後ろに引いた。
「言いたいこと言えずに我慢してるわけじゃなさそうだから、ママは安心した」
私に耳打ちしたママは「こんな、娘ですいません」と道明寺に軽くまた頭を下げる。
安心してくれたんならいいけど・・・
道明寺との口げんかで安心されるって喜べない。
コタツのに並んで触れ合う肩。
交互に小突くように小さく揺れる。
剥れてもっう感触は繰り返すうちにくすぐったい感触に変わる。
道明寺の手のひらがギュッと私の手のひらを握るコタツ中。
見られずはずのもないのにドキッとなって思わずママの姿を探す。
台所で洗い物をしてるママが機嫌よく刻む鼻歌に軽く肩を揺らす。
ばれちゃってるんじゃないの?
握りしめられた手のひらを道明寺から引きぬこうと動かす。
直ぐに反応した道明寺にもう一度手のひらを握りしめられた。
どうした?
そんな表情で私を道明寺が覗き込む。
優しくて、ご機嫌な瞳。
手を離して・・・
なんて・・・
言えなくなった。