恋の駆け引きは密室で 22
このピンチを切り抜けるのは!!!
海の上のつくしちゃんと類。
司君別な意味でハラハラしてたりして
「1秒でも早く探し出せ!!」
叫んでるだろうなぁ。
*頬が触れたサラリとした感触。
洗濯したての優しい香りが鼻先をくすぐる。
指先が触れたシーツの冷たさが私の脳を緩やかに目覚める刺激をもたらしてくる。
何度となく瞬きを繰り返しながら開いた瞳。
ぼやけていた姿がはっきりと花沢類だと気がつくのに、そう時間はかからなかった。
「ここ・・・どこ?」
あわててベッドから身体を起こしてあたりを見渡す。
一見ホテルの一室を思わせる生活感のない空間。
革張りのソファーにチョーク調の家具。
物を知らない私でも安物じゃない高質な感じは分かる。
「海の上って言ったら信じる?」
花沢類が身体をずらしてそこから見える窓。
光りを取り入れるだけの構造の窓から差し込む光が眩くその先の青色に反射してるのが見えた。
「うそッ・・・」
駆け寄った窓にはどこまでも広がる海。
反対側の窓からも同じような景色が広がってる。
「クルーザーに乗せられてるってこと?」
何処に連れて行かれるの?
景色は動かないまま変わらない景色。
エンジンの音は聞こえず、船体に当たっては弾ける波のかすかな音だけが耳元の届く。
「この先に島が見えるから浅瀬に停泊させられるみたいだよ」
ゆらっと時々揺れる足もとに本当にここが海の上だって実感できる。
「パタン」
花沢類と交わした視線が一瞬で音の方向に引き寄せられる。
自動的に開いたドア。
その先にはそこから全体を見渡せる島が広がる。
海の上にぽつりと浮かぶ小さな島に人工物がないところを考えるだとそれが無人島だって容易に想像できた。
「さっきはカギがかかってたんだけど」
ゆっくりと花沢類がドアに近づいて部屋の外に出て行った。
私達二人しか乗ってないことを確認してついたため息。
ホッとしたようなしないような気分。
花沢類が一緒に居るのは心強いはずなのになんとなく落ち着かない。
「運転席にキーはないみたいだ」
当たり前だろうけどねとクスッと小さく笑って落ち着いた表情を浮かべる花沢類に戸惑ってる。
その落着きはまさか!
いきなり黒塗りの車に囲まれて、その車に誘われるように追い込まれた路地。
そのままトラックにバイクごと乗せられて・・・
そこから気が遠くなって気がついたら船って!!
何処まで大掛かりなんだろう。
もしかして!
拉致したのが道明寺だって事はないよね?
花沢類の落ちついた態度もそれなら納得できる。
それなら悪ふざけ過ぎだって文句の一つでも言って殴って終れる。
ブルブル。
そんなことあるわけない。
顔をフルって楽天的な考えは排除した。
道明寺なら花沢類と私を一緒に閉じ込める真似なんてできないはずだし。
私の側に花沢類が近づくの本気で嫌がるんだから絶対私と花沢類を一緒にさらうはずないもの。
その考えに行きついて誘拐が道明寺の仕業じゃないって理解できてしまう私って、すくわれない。
「一週間の食料と飲料の備蓄はあるみたいだ」
私が目を覚ますまでに花沢類は現状を十分に把握してたみたいだ。
ということは・・・
このまま・・・
このクルーザーで花沢類と二人っきりで1週間は過ごすって事?
ベッドも一つしかないし・・・
ここで一緒に寝るわけ?
さすがに・・・それは・・・ちょっと・・・
ドクン!
ドキッ!
心臓が自分の感情とは別な所で動いてる気分。
無事に道明寺が見つけてくれても笑顔でにっこりとは抱きしめてくれない気がしてきた。
そんなこと心配してる場合かっ!!
危機感がないのはきっと花沢類が一緒に居てくれるから。
もし、一人だったら・・・
ユラユラと揺れる船体の動きは無性に孤独感を漂わせて私を追い込んでいたと思う。
海の上で心細くて、さびしくて、泣いてる気がするもの。
「花沢類が一緒で良かった」
不安と希望が入れ混じってる複雑な感情。
「しばらくは様子を見てみよう。司も必死になってると思うから」
花沢類の微笑に私は昔からそして今も救われている。
拍手コメント返礼
メルちゃんのママ 様
恋の駆け引きなんてやってる場合なくなっちゃってます。
いえいえ、最初はつくしと司との駆け引き~
そして司と類との駆け引きになっちゃう展開に発展させたいんですけどね。
その前に敵を倒さなくっちゃ話になりませんが・・・(^_^;)
Gods & Death様
危機感忘れてのんびりサバイバル~
わきあいあいと楽しそうな二人の前に司登場!!
見たいんです!
でもそう簡単にはいかないだろうなぁ~。
あずきまめ 様
一人ぼっちで海の上。
つくしちゃんの雑草魂でも生命の危機は半端なく感じますよね。
一人じゃないから乗り切れる♪
恋愛感情にた感覚生れちゃってりしないのかしら?
そんな状況にさせた私がそんな心理状況を考えちゃってます。
ゆきこ 様
ここでつくしが類に頼り切る弱い部分を出したら類はたまんないでしょうね。
つくしちゃんはそんな性格じゃないからなぁ~。
映画では無人島でケンカしちゃいましたが類となら楽しく最初から最後まで二人で過ごしていたりして・・・(^_^;)