我儘な僕に我儘な君 38
佑君早く舞ちゃん探さなきゃ~
なにやってるの!
ジッとできない展開になっても知らないから~
そうなったら・・・
私はどれだけの佑君ファンに恨まれるのでしょう・・・(^_^;)
枝にだらりとぶら下がった状況。
制服がスカートじゃなくって良かった。
つーか、初めから男子の制服を着る羽目にならなきゃ、こんな目に合うはずもなかったはずだ。
「翼君はガード堅いけど舞なら抱き着いてもいいよね」
悪戯な瞳を輝かせて最初に抱き着いてきた同級生。
その後は雪崩のように連なって襲いかかってきた。
逃げ出すつもりでクラスを飛び出したらべつなクラスの子が待ち構えていた。
女子に追われる羽目になるって誰が思う。
翼の人気を甘く見ていた。
すずなと付き合い出してほかの子からの告白も無視する翼。
すずな以外の女の子にツレなくなって近寄りがたくなったって評判。
人気が無くなるどころか以前よりUP。
だからって、男子の制服を着た私にがっつくな。
翼の奴!
あいつのせいなのに私を置いてさっさと逃げるんだから。
この状況どうしてくれるの!
一瞬目があった大内。
関係ないと突き放す態度を見せて、そのまま、すくっと背中を向けて歩き出す。
助けてもらいたいわけじゃないけど、普通見過ごさないでしょう。
女の子が困ってたら助けるでしょうがぁぁぁぁ。
こうなった助けたいって手を差し伸べられても振り切ってやるんだから。
自分で飛び降りる。
このくらいの高さなら大丈夫だ。
身体を前後に振って勢いをつける。
その反動で枝から葉っぱが数枚ユラユラと地上に落ちるのが見えた。
枝はユサッと私の体重でシナる。
その状況は折れるぞと私をせかす。
えいッ!
大内に蹴りを入れるつもりで飛び降りた。
「イタっ」
足首にかかる振動は思ったよりも強烈。
しりもちをつきそうな不安定さをグッと耐える。
目の前には歩くのをやめて立ち止まった革靴。
足元からズボンの裾、腰と上に伝って見上げる視線。
ジッと私を見下ろした瞳は大きく見開いて直ぐに目を細める。
「相変わらず無謀だな」
クスッと頬を緩めた表情は意外にも優しく映った。
今さら助けられてもッ。
私の前に差し出された腕を無視して立ち上がる。
痛っ。
ジンと痺れる足首の感覚。
「強情だな」
顔をゆがめる私の腕を掴んで強引に引き寄せられた。
「あの高さで飛び降りれば足首を痛める可能性もあると思うけど」
そう思ったら普通助けるでしょう。
意地悪なのか、冷たいのか、本当に嫌なやつ。
私を掴んだ腕を振りほどいて歩こうと右足に比重をかける。
足首は私の気持ちを無視。
鈍い痛みが動くのを阻んで言うことをきいてくれそうもない。
自分が思うより重症みたい。
え?
ふわっと浮き上がった身体。
おっ?
「保健室、連れて行ってやるよ」
「いい、歩けるから!」
抱き上げた腕は力強くて、その腕から逃れるように腕をばたつかせた。
「暴れんな、静かにしろ」
威圧的な雰囲気の声は低く響く。
いきなりのお姫様抱っこ。
「無理するな。さすがにけが人をそのままほおっておいたら俺でも目覚めが悪い」
それなら私が無茶をする前にどうにかしてくれたらよかったのにッ。
抱き上げられた身体は、歩く振動で上下に揺れて不安定。
落っこちそうな身体は、反射的に自然と安定を求めてる。
私のいた窓辺がゆっくりと遠ざかるとともにチラチラと見られてる視線を感じて、徐々に暴れるのをやめた。
大内って学園内でも人気があって目立つ存在だってことを思いだした。
人気がある男子が抱っこして中庭を歩く。
目立つなって方が無理。
私だってばれたらヤダ。
ここで暴れて下に降ろされたら歩けない私はべつな意味で注目の的になっちゃうよ。
この状況だと私だと分からない可能性も高い。
男子が男子に抱っこされるのも情けないけど私だとばれるよりはまし。
しょうがないから暴れるのをやめて顔を隠す様に襟首を掴んで顔を伏せた。
「ついたぞ」
椅子に座らせられてやっとホッと一息つけた。
「迷惑かけました」
一応素直に謝る。
嫌な奴だけど感謝する気持はあるんだから。
「ここは、ありがとうだろう」
目の前に膝をついた大内はそっと私の足首を確かめるようにズボンの裾をめくった。
「イタッ」
「骨は折れてないみたいだな」
「これに懲りて無理するなよ」
ひゃーっ。
ペタンと貼られた湿布薬。
慣れた手つきでクルクルと包帯に足首が包まれる。
繊細な手つきは手品師の器用さ。
見惚れてしまって何も言えなくなった。
「保健医がいないみたいだからこれで我慢しろ。歩けるか?」
言葉はぶっきらぼうで冷たくて意地悪で優しさのかけらもない。
私を覗き込んだ瞳は以外にも優しくて心配そうで・・・
そのギャップに戸惑ってしまってる自分に気がついた。
なんで、キュンとしてるんだろう・・・私・・・。
拍手コメント返礼
ゆきこ様
1番拍手ありがとうございました。
Up後すぐの拍手がいただけるとドキドキとうれしさでキュンキュンしちゃいます。
UPした後に文章をチエックで読み返して戻ってくると拍手いただいちゃってるんですよね。
一番の名乗り上げてもらえると今日は何方かが分かるので今日はいいことありそうだと勝手に思ってます。
佑君何やってるんでしょうね。
あれだけいつも舞ちゃんの近くにいるのになぁ~
御姫様抱っこされてる舞ちゃんを発見した佑君はどうなっちゃうんでしょう。
司なら大内君ただじゃすまないでしょうけどね。
ツックー 様
こんな設定現実的には難しいですよね。
思春期の男の子なら後でからかわれるの分かっちゃてるから尻込みするだろうし。
嫌いな男の子なら痛さ我慢してでも女の子は逃げちゃうだろうし。
てことは・・・
大内先輩も舞ちゃんを気にしてることになるのかしら?
どうする佑君!
ことり 様
ケンカをやめて~♪
私のために争わないで~♪
歌いそうになりました。(^_^;)
まだケンカにはなってませんが、熱い佑君が見たいですね~。
ミスコン♪
楓さんも椿さんもつくしも出場♪
確かに舞ちゃんも出てほしいですね。
かよぴよ様
キュンとしちゃダメだよ~
さてどれだけの方がそう思ったか。
好きって感情じゃなく綺麗なものをみてからのキュンかも~。
あっでも舞ちゃんイケメンの中で育ってるからちっとやそっとじゃドキッとならないだろうなぁ。
Gods &Death 様
16日は珍しく2話UPできちゃいました。
鉄は熱いうちに打て!!
新婚さん気分のお話が頭の隅っこにまだ残ってましたからね。
あの続き・・・書くには週末になっちゃいました。(/_;)
舞ちゃんが誰を選ぶか!
佑君派が多いですが、ここから大内君の人物像も明らかになりますからね。
大内君もいいかもなんて思ってもらえるお話に持って行ける能力が私にあればもっとお話は面白く出来るんだけどなんて
無謀な思いも持っちゃってます。
私の実力がそこまであるといいんですけどね。
うひゃ~「失恋~」
子供と一緒に夕方マジかのお昼の時間に見れるのかしら・・・(^_^;)
茂木様
コメントの内容からすると集中して読んでいただいたようでありがとうございます。
一気読みで読むとまた違った印象になることがあるんですよね。
連載中に読んでいただくより話の内容がスポッと集中して読んでもらえるので完結の方が読みやすいと思います。
面白い!最高と頂けてうれしいです。
恋はスムーズにいかない方が面白いですよね。
付き合えば付き合うほど何かとすれ違いに思い違いいっぱいありますからね。
そうやってみんな大人になるのさ~