我儘な僕に我儘な君 41

「佑・・・失敗したな」

「舞の場合、恋愛に関しては奥手だし、お子ちゃまだし、高校生にしちゃ疎い

自分が男にどう見られてるか全然わかってないと思うしな」

「まあ、舞は牧野の子供だからそんなものかも」

「それより司にバレタラややばくないか?」

「佑しばらく海外に逃げろ!!留学だ!留学!」

「俺も大事な息子を親友に殺させたくはない」

本気で心配してると言うよりは楽しんでる3人。

冗談みたいな会話はどこまでも続くのであった。

もしも佑君があきらと総ちゃん類に相談したら・・・

こんな会話だったりして・・・(^_^;)

「見たかったな、道明寺の女装」

すずに見られたくないから直ぐに着がえたんだろうが。

絶対にこいつには見せない。

舞と追いかけられた隙を見てあいつの側から離れた。

どうせなら佑に助けられた方が舞も喜ぶって気遣い。

俺なら、たとえ弟でも彼女を助けるのは自分じゃなきゃ許せないって思う。

「すずってさ、弟いたっけ?」

「道明寺が私の家族を気にするのって初めてじゃない?」

そうだっけ?

「すず以外興味なかったから」

なにげに呟いた俺の言葉に目の前で見る間にすずなの顔が熟した。

そこまで照れること言ってないはずだけど・・・

すずなに女装を見られても俺はそこまで赤くならないと思う。

「父母各一人。お兄ちゃん一人に妹一人の5人家族だよ」

じっと見つめる俺の視線から逃げるようにすずの顔が横を向いた。

「こっち見て」

「今は無理」

俺を気にする視線はチラチラと俺に向かう。

0.1秒俺に向けて、俺の視線が自分に向いてると分かったらすぐに視点がかわる。

「遠慮するなよ」

両方の手の平ですずの顔を挟むように頬に触れる。

無理やりに俺の方を向かせた。

すずの瞳に映し出される自分を見るのは嬉しくてしょうがない。

今も、どうしようもなく楽しそうな自分が見える。

「手、冷たい」

ビクンと頬がわずかに手の平から引くように動く。

「暖めて」

直ぐに逃げられない様にその頬を追いかけて捕まえた。

熱が上がるのは体温だけじゃなくて、すずなを独り占めにしたいって思う感情も熱をもつ。

優しく触れているには限界があるってことに気がついた。

ムギュ。

どうしようもなく抱き締めたくなる感情を押しこめて、すずの頬を両手で押さえた。

「へんな顔」

「道明寺がしたんで  ふっ・・」

口が曲がって、尖って、うまく発音できない声が息をかわった方向に漏らす。

目の前でちょっぴりと怒った感情を写すようにすずの眉が眉間に寄った。

「美作君?」

驚いた表情に変わったすずがつぶやくように佑の名を呼んだ。

「佑、遅かったな」

後ろに振り返った俺。

佑一人で舞の姿がない。

「あれ、舞は?見つからなかった?」

おい嘘だろう。

俺のお膳立て、意味ねェじゃん。

佑、お前はそんな不器用なやつじゃないだろう。

なんでもそつなくこなす優等生で失敗は少なくて信頼できる奴。

舞が見つからないって諦めて帰ってくるなんてことする奴じゃないはずで、見つかるまできっと必死に探してる。

子供の頃の鬼ごっこ。

子供が隠れるには絶好の部屋数の多さの道明寺邸。

諦めずにいつまでも舞を探してたのはお前だろ。

俺は途中でいつもズルしてた。

使用人を仲間に引き入れての大捜査。

「何かあったのか?」

生気を無くした顔色、心痛な面持ちがますます佑の生気を奪ってるようだ。

こんな顔色の悪い佑を初めて見た。

「舞は、保健室にいるから迎えに行ってくれないか?」

保健室が必要なのは佑、お前の気がする。

「私、保健室に行ってみる」

すずながすぐさま教室を飛びだした。

「舞と何かったのか?」

さっきまでからかうつもりでいた俺にもただ事じゃなって思える佑の変貌。

「何かあったってもんじゃない、俺、舞に嫌われたかも」

窓に背中を押しつけて佑が天井を眺めながら長いため息を漏らした。

「なにやってんだろ、俺」

後悔に押しつぶれそうな表情はますます佑を暗くする。

そんなキャラ、お前には似合わない。

相手を思いやって、傷つけないように配慮してみせる気遣いはピカイチ。

何時も穏やかで、温かな笑みを浮かべてるやつで、周りにいる奴を自然と引き込む魅力を備えてる。

佑。

お前はそこまで落ち込むって理由がわからない。

それでも舞が原因だってことは想像がつく。

佑が助ける前に誰かが舞を助けた?

俺でもムカつくとは思うけど落ち込む理由にはならないよな?

佑なら「お世話にかけました」と頭を下げて舞を連れて戻るんじゃねぇの?

それが出来なかった理由ってなに?

「我慢できなくて・・・。俺以外の奴に舞が・・・」

「俺以外のやつって誰だよ!何があった!」

とぎれとぎれの佑の言葉をつなぎ合わせて事を理解するには膨大な時間がかかりそうだ。

「全部、隠さずに話せよ」

佑の横に並んで佑と同じように身体を窓にもたれた。

全部、何もかも聞いてやるよ。

拍手コメント返礼

ゆきこ様

おはようございます。

昨日は名前の記入漏れだったんですね。

時々名前のない書き込みあるんですけど、予測がつく方は匿名で返信書いてるんです。

連絡もらえて良かったです。

あはは、

久し振りの翼君のお話より最初のF3相談室の方が気になっちゃたんですね。

実は私ももっと書きたかったんです。

話が本編とずれちゃうのでちょっとで止めちゃったんですけどね。

見たい!

要望あれば別館でUPしますよ~♪

佑君、落ち込んだまま帰宅したら、あきらくんはすぐ気がついちゃいそうな気がするんですけど。

本当に佑君相談室が出来上がったりして…(^_^;)

あずきまめ 様

あの・・・受けました?

F3相談室?

きゃーーーっ。これは窓口開設しなきゃいけないかしら?

本編よりこっちが気になったってコメントほかにももらいましたよ。

さて、ここからは翼君に頑張ってもらわなきゃ。

りん 様

ここはみんなでフォロー。

司だけはのけ者になりそうですけどね。

駿君が出てきたら上手く解決してくれると思うのは翼君には失礼かな?

でもそう思えちゃうんですよね。

かよぴよ 様

佑でもそんな失敗するんだ。

その原因は舞♪

理由を聞いたら翼君笑ってくれそうですけどね。

シッカリ慰めてほしいかな。