恋の駆け引きは密室で 26

ここからお話は少しづつ全貌を表していくはずなんですが・・・

私の文才力で大丈夫かと日々不安にかられています。

ここからがこの物語の勝負どころに突入予定にはなってます。

あっ!

まだ司君は突入しないですよ~。

自分の神経がこんなに図太いものだと初めて知った気がする。

良く寝たって気分でベッドの上で背伸びをする。

まるで誘拐されてる状況を忘れてたみたいに。

目覚めた瞳が捉えたのはソファーで寝息をたてている花沢類の姿。

育ちがいいと寝てる姿も上品なんだな。

わたしなら寝返りの度に落っこちそうだ。

片足がずり落ちていても気がつかずに寝てそうだし。

右手は開いたままの本を持ったままでその本が胸元で花沢類の呼吸に合わせて上下に動く、静かな動き。

カーテンから差し込む朝の光が小さな線を作って花沢類の頬を照らす。

道明寺にしても花沢類にしても目を閉じていても分かる整った顔立ち。

サラサラの前髪は朝日と色素の薄い髪の色が交わって金色に見える。

本当に私の神経図太すぎかも。

側に道明寺じゃない男性が一緒にして、それも私を大事にしてくれる花沢類で・・・

いくら安心だからって安心しすぎて良い状況じゃない。

これって・・・

シッカリな大人のお泊りだって思われる状況。

大学で眠らされて写真を撮られたときよりヤバくないか。

この状況をうまく使えれば道明寺を裏切って花沢類とって関係を作り上げるには十分な証拠となりえる。

だから一緒に誘拐?

・・・って、手がこみ過ぎてる。

初めてこの誘拐の目的を私なりに真剣に考えてみた。

道明寺を脅迫するためなら私だけでも良かったわけだし・・・

こんな海の上に連れてこなくても特定できない場所はどこでも用意できたはずで・・・

道明寺と一緒に居ると私の思考の領域はすぐに超える。

お金持ちの考えが分かるはずがない。

今度の相手も桁外れなお金持ちだって気がするもの。

考えることがいっぱいありすぎて考えがまとまらない。

ここが陸の上だったら逃げることに集中して考えることが出来たのに、自分の力で逃げ出せそうもない現実。

道明寺!早く見つけてよ。

必死に探してくれてるとは思うけど時間が経てば経つほど苦しくなるんだからね。

一人でいると負の方に考えが動いてしまう。

気分を変えよう。

一人を持て余した時間、広くもない船室を探索。

まだ花沢類が寝てるからゆっくり音を発てない様にと・・・

探索するほどのものがあるわけじゃない。

サイドボードの上に置かれた小さな小動物に目が留まった。

昨日あったっけ?

折り紙?

色紙で折られたペンギンに、犬、猫、これはタヌキかな?

こんなとこに場違い。

でも心が和む。

小さい頃よく遊んだ記憶。

色紙が買えなくて広告用紙とかだったけど。

ふと何かを思い出した。

たぶん私が小さい頃、小学生の頃の記憶・・・。

近所の公園で仲良くなった男の子。

金色に輝く髪と碧い瞳が印象的な外国の男の子だった。

いつの間にか仲良くなって、折り紙で遊んだ記憶。

また会う約束をしたのにそれから会えなくて、さびしくて、破られた約束に3日は泣いた。

名前も憶えてなくて、今まで思い出すこともなかった。

今思いだすことも不思議な気がした。

花沢類の髪が光に透けて金色に見えたせいかな?

あの男の子も成長して大人になってるはずで、きっとカッコ良くなってるだろって想像できる。

目鼻立ちをはっきり想像できるほど覚えてないほどつたなくて薄れてる記憶。

つくしがなかなか言えなくて「つーし」って呼ばれてて、最後にあった日にようやくつくしって呼んでくれた。

おっ。

だんだん思い出したぞ。

こんな日常の出会いで思い出しても意味ないかぁ。

ここから助かるためにはなんにもならない記憶。

私の経験した殆どのことがこの現状に有効に活用できるとは思えないもの。

今の状況はほぼ映画かドラマかの別世界。

平凡な私には遠すぎる。

折り紙での記憶がどうすればこの事態につながる。

緊張感なさすぎ。

壁に手をついて思わず項垂れた。

花沢類を起こさない様にベッドから抜けだして、船室を出た。

海の香りが少し強く吹く風に混じる。

青く広がる空は雲一つなく広がる。

なに?

なにか聞こえない?

船体に打ち寄せる波の音に混じって遠くから聞こえる音に耳を澄ませた。

音が大きくなるにつれて遠くの空にきらりと反射する光。

ヘリ?

気がついた時には大きくその姿が目の前に迫ってきてた。

あわてて船内へとも戻る私。

「花沢類!」

身体を揺り動かされて花沢類がゆるゆると目を開く。

「もう、朝・・・?」

ソファーに座る様に起き上がった花沢類があくびをする口元を手の平で覆いながらつぶやく。

呑気にあくびなんてしてる場合じゃない!

もし悪者だったらあくびなんてすぐに飲み込んじゃうよ。

「ヘリが近づいてきてるの!」

船内の壁に姿を隠しながらそっと窓から外の様子をうかがう様に花沢類が位置を変えた。

大きく聞こえるヘリのプロペラの音はこのクルーザーの頭上から響いてる。

窓の外に茶色いひも状のものが下りてきて、その紐を伝う様に黒ずくめの男が降りてきた。

どう見ても私の知り合いとは思えない。

花沢類の側に駆け寄って、花沢類に隠れるようにしながら窓の外を眺める。

3人の黒ずくめの侵入。

手に持ってるのって・・・拳銃!?

思わず声を上げそうになった唇を花沢類の手のひらに覆われた。

ゆっくりと開く船室のドア。

私達どうなるの!

誘拐されて初めて生命の危機を感じた。

拍手コメント返礼

ゆきこ

サイモン=つくしちゃんが初恋♪

これが意外とつくしちゃんも忘れていたけど初恋だったら・・・

いえいえ類がいますからね。(笑)

自分に振り向かせるためにつくしを誘拐。

なんだ、企業は関係ないのね。

いや~それなら類をさらうことはないでしょうって展開になっちゃいますよ~。

つくし一人を直ぐに自分の元に運んじゃうでしょうし。

じゃあなに?

それは続きのおたのしみということで~

あんまりネタバレしちゃうとたのしみ無くなっちゃうのでこの辺でお許しを~

くろづくめ、確かに司ならロープ使わずに飛び降りちゃいそう。

あずきまめ様

つくしが思い出した男の子♪

いや~食いつきが良くて大漁です♪

ただの思い出だけじゃ面白くないですもんね。

Gods & Death 様

ハリウッド映画なみのアクションで司がバッチリとつくしを救出までは、まだまだ時間がかかりそうです。

みえこ 様

ヘリから降りてきたのは敵か味方か!

類は必死につくしを守るでしょうけどね。

類はどちらかと言えばこころに寄り添ってつくしを慰める感じが強いんですよね。

ココア 様

直ぐに映像が浮かぶと言ってもらえて嬉しいです。

文章を造りながら自分で想像して身体を動かしながら書いてるんですけど・・・

誰かに見られたら変な病気の人と思わらそうです。(^_^;)

起きてなくてもいいから、傍で寝顔を見ていたい。

起きてる類君見るより寝顔を見る方が難しいですよね。

二人の空気感がいい!

確かに司が聞いたら怖いことになりそうですね。