恋の駆け引きは密室で 32

場面は司からつくしに変わってのお話です。

いよいよ敵の正体が明らかに!!!

なるかどうかは続きからのおたのしみ♪

 *

「不自由はないですか?」

人懐こい微笑。

大人びた表情から変わった雰囲気は私とそんなに年頃は感じないって思えた。

V字の薄手のシルクのセーターに足の長さを引き立たせるジーンズ。

プロポーションの見事さをこれ以上にない印象を植え付けるには十分。

自分と比べる気も起こらなかった。

「変な言い草だな」

非難めいた冷たい表情を浮かべる花沢類。

そんなに悪い人じゃないって思う。

思いかけた私の気持ちを黙って消失させる冷たさ。

自分の必要としない物はすべて寄せ付けない道明寺また違った冷ややかな空気を花沢類がまとった。

それは多分私を守るために作った壁。

スッと私を守る様に背中に隠した花沢類の背中が私の視界を抑制する。

確かに海の上よりは断然快適。

料理もプロが作る料理が前の前に運ばれてくる。

捕らわれの身としては最高なおもてなしを受けてるって思える。

寝室も花沢類とは別になって落ちついてベッドに潜り込めるようになった。

狭い船室で長椅子に横たわってベッドを譲ってくれた花沢類。

かすかに耳に届く小さな寝息。

寝返りの動作の度にかすれるシーツの衣擦れの音。

聞こえるたびにドキッとなった。

眠りが浅いのは花沢類も私も同じだったんだと思う。

花沢類と一緒の部屋で過ごすことの罪悪感。

自分じゃどうしようもない状況。

だけどふと考え込んでいた。

その罪悪感は道明寺に?

それとも花沢類に?

たぶん両方。

道明寺以外の相手と過ごす夜。

花沢類だから安心してる。

安心してるけど、だけど・・・

私のことを好きだって言ってくれた花沢類の真剣な思いが突然に頭の中に思い浮かんで離れなくなった。

今でも私のことを大事に思ってくれて不安なときはいつも包み込む優しい笑顔を向けくれる。

道明寺の愚痴も花沢類の前でどれだけ私は毒付いたんだろう。

道明寺と私のことを応援してくれてるのを肌で感じるから、私は花沢類に安心しすぎて、甘えすぎて・・・。

花沢類のこれ以上頼っちゃダメな気がしてきた。

ここで騙されちゃだめだ。

犯人の目的は私じゃなくたぶん道明寺。

私を人質に何を要求しているのか探るくらいやらなくっちゃ。

「警戒されるのは仕方ないですが、ここではくつろいで楽しみませんか?」

それって・・・

誘拐した相手が言うセリフか?

銃口を向けられるよりはましだけど意味が分らない。

そう思ってるのは多分花沢類も一緒だと思う。

「屋敷の中を案内しましょう」

ステイジ―・ハンター

そう、名乗った彼女は同性でも一撃で介入されそうな微笑を浮かべて手を私の前に差し伸べた。

「あっ、牧野つくしです」

クスクスと笑った口元を彼女の指先が隠す。

今さら名乗る必要なんて確かに馬鹿げてる。

彼女の笑い声は不愉快さじゃなくて穏やかな空気に私たちを包み込んだ。

彼女の微笑が忘れかけた何かを刺激する。

遠く薄れかけた記憶の中から必死に引き出そうと考え込んだ。

もう少しで思い出しそうなのにッ!

何かが足らない。

ステイジ―・ハンター

ステイジ―・ハンター

ステイジ―・ハンター

頭の中で繰り返す名前。

日本名より記憶してる名前はそんなに多くない。

その殆どは道明寺とのつながりで知り合った外国人だ。

道明寺の今度の敵って・・・

確か、サイモン・ブラットリー だよね?

名前には記憶がないのにその雰囲気に懐かしい感覚が呼び起こされてしまってる。

私たちはどこかで会ってるのだろうか?

「ステイジ―でいいわよ」

目の前で楽しそうに笑顔を見せるステイジ―

気がつかないままに私は彼女の名前を何度も口にしていたみたいだ。

「あの・・・私達ってどこかで会ったことあります?」

彼女の笑顔に誘われるように、率直に疑問を投げかけてしまってた。

Gods & Death 様

今日も天気良いですよ。

小春日和の様な感じで温かです。

このまま寒さが遠のくといいんですけどね。

確かにお話が広がり過ぎて~

それでも私はこれからの展開がワクワクなんです♪

道明寺の本社の密室からワールドにワイルドに密室は広がっちゃいましたけどね。

最期がまとまるかどうかやや不安です。(^_^;)

あずきまめ 様

ステイジ―とつくしの関係。

憶えてないのはつくしだけ~

ここで一つのヒント!

昔公園で遊んだ記憶のある男の子は布石ですよ♪

みえこ様

誘拐されて名前を名乗るターゲットはいないだろうなぁ。

>『誰かわかって誘拐してるんだから名乗る必要ないよ』

類、言いそうですね。

そしてクスと笑いながら、つくしのそんな天然が好きだなぁと思ってそう。

ひーまー 様

ご訪問ありがとうございます。

PWは届きましたでしょうか?

お楽しみいただければ幸いです。

さわね 様

ここで警戒心が薄れちゃうのはつくしだけでしょうね。

そんなつくし性格を見通しての対応なら相手の準備周到さはすごすぎな気がします。

徐々に相手の正体と誘拐の目的が明らかに!!

キャサリン

私もひとのなまえは覚えてない方で~

自分で付けたはずの登場人物の名前も忘れてうっかり間違ってることありますからヤバイ。(^_^;)

進めたい話があり過ぎていつもどれにするか迷っちゃいます。

今日はどれにするかなぁ・・・

ゆきこ 様

西洋の方って大人っぽい人多いですよね。

つくしちゃんなら小学生に間違えられたりして。

道明寺財閥の子供だと思って誘拐したら婚約者だったってオチはないですけどね。(笑)

つくしちゃんはつくしちゃんなりいろいろ考えちゃってるだなぁと成長を喜びつつ、ここで気を許せるのがつくしらしさで~

類クンだけが気を緩められない状況に変わりはないということでお話を進めます♪

理子様

すいません・・・(^_^;)

明日には何とかしたいと思ってます。

しばらくジュニアたちのお話はカメになりそうなんですよね。