SP物語(一秒ごとのLove for You スピンオフ)
一秒ごとのLove for You では西田さんのお話と同じくらいに葉っぱコンビのお話の要望があるんです。
えーーーーっ本編進めたいのにリクをされると想像しちゃうんですよね。
なぜか甲斐君はなかったなぁ。(笑)
西田さんのお話はもう少し先に進まないと面白味が半減しそうなのでまずはSPコンビでお届けします。
この物語は『一秒ごとのLove for You 4』の番外編となります。
店内に流れるのはピアノの優雅な調べ。
その柔らかい音がプツリと頭の中で途切れた。
途切れたと表現するにはまだ甘い、鋭利な刃物で切断された。
こう表現した方が的確だと思える。
目の前で歩みを止った代表。
その前に予想外の動きで相葉先輩が背中を90度いきなり身体を回転させて背中で壁を作る動きを見せた。
代表が何かに気がついたのは多分相葉先輩のこの動き。
警護の庇う動きと正反対の何かを隠す壁は代表の視線を遮ろうと必死さを増す。
相葉先輩の身体の隙間から見えたのは道明寺夫人とその同僚。
ここまでならまだましそこに座る見知らぬ男二人の男女合わせて計6人のグループ。
このメンバーで食事かいって言えばだれでも想定できる合コン。
先輩―――ッ。
代表気がついてますよ~。
背中に背負うどす黒い背景。
自分から見えないはずの冷ややかな表情は直ぐに脳裏に浮かぶ。
気軽に明るく俺達とも接して見せる笑顔。
それさえも時として代表の嫉妬の対象。
もしかしてクビか?
何度となく感じる危機。
気安く、気軽に明るく笑顔で接すれば接するほど俺たちの危機感は募る。
だからってあの太陽の様な表情を浮かべるつくし様にそっけない態度がとれるものじゃない。
コツコツと冷たく足音を響かせて合コンのテーブルに向かっていく代表を止める体勢。
止められるかは微妙。
飛びついて取り押さえるのは道明寺総帥のイメージを傷つける。
ここはどうしましょう西田秘書。
指示を仰ぐ思いで視線を投げた。
え?
え?う?
落ちつきはらういつもの表情。
元から表情が変わらないのは分ってるが、俺達の動揺は無視ですか?
店内の気温が数度下がって部屋の明かりが一度消えかけたように思える緊張感。
これを感じてないってことありますか?
甘ったるい周りの視線が代表の周囲にまとわりつく。
それは一瞬で凍って床に叩きつけられる。
冷ややかな冷気だけを残して案内されるままに代表がその場を通りすぎた。
こっちの方が怖すぎじゃね?
代表は不機嫌な感情は俺達をビビらせるには十分。
「いつもと違うな?」
取り引き先との食事の個室に入室した代表を確認してパタンと閉めるドア。
その前で相葉先輩が息を殺しながらつぶやく。
「ですよね。今までなら仕事を放り投げてつくし様の奪還ですよね?」
二人で振り向いて見つめる個室のドア。
俺達はまだその外で良かった気がする。
部屋の中より気になるのはつくし様のグループ。
相葉先輩に顎で促されて姿を隠しながら壁際から目だけで覗く。
ぎこちない笑み。
隣りの男から一線を引こうとする態度。
食欲もあまりないように見えた。
一時間が過ぎる頃、席を立つ彼女が見える。
視線の先を一つ曲がった先が化粧室の造りの店内。
その前で視線が俺と重なった。
眼球が微動して切羽詰まった表情を作る。
それは代表の様子が気になると言いたげの不安な表情。
メチャ機嫌悪いすよ。
声をかけられればたぶん速攻でそう答える。
じっと俺たちを通り過ぎて見つめる視線の先のドアはまだ静かにしまったまま。
ここで代表が出てきてくれ方がましなじゃないのか?
「なにやってんだ」
絞殺しそうな勢いでつくし様の身体が壁に貼り付けられる。
想像してそれはそれで俺達には対処できない気がした。
つくし様が俯いて大きく付いたため息が側にあった観葉植物の緑の葉を大きく揺らすのが見えた。
俺はまだため息をつく気力もない。
会合は無事に終わって何事もなく静かに店を出る。
相手先を見送るまでの緊張感。
銃口は何時でも火を噴く狙いを付けて光ってるように思える。
気を発してるのは代表に対してとまだ店の中から出てこない代表夫人。
この後いつ「店に戻る」と代表が言い出すのかそれに心臓がドクドクと胸を打つ。
静かな攻防。
「なにか問題あるか?」
威圧的な声。
何も問題ありません!!!
心の中では即答してた。
「ご苦労様です」
これはこれでまた抑揚のない声が響く。
代表と西田秘書の俺達では計り知れない駆け引き。
一歩引いてる位置で俺と相葉先輩は見守ってる。
「今日は一体どうなってるんだ・・・」
「俺に聞かれても分るわけありませんよ」
その時店の中から出てきた数人の人影。
「それじゃ、私たちはこれで」
その声に続いて「それじゃ」と聞こえてきたのはつくし様の声。
ここで帰る状況ならこのまま直ぐに俺達は喜んでつくし様を代表の隣りにお連れ出来る。
そして俺たちの役目は終了となるはず。
「えっ?まだ早いよ」
「明日も仕事なので」
「俺達もだよ」
店先では俺達の存在を気がついてない様に明るい会話が繰り広げられる。
「牧野**〇×◆~^~~」
俺達が聞き取れたのは牧野の言葉だけ。
その声にビクンと反応を見せた代表。
落ちついたかに見えた代表の暗雲が黙々と頭上を覆う。
土砂降り!
雷雨!
嵐か!
代表の背中がくるりと向きを変える。
俺達が行ってお連れします!!
「お前らはここに居ろ」
その態度で走る体勢をとろうとしたときに聞こえた声。
相葉先輩の肩が代表に鷲掴みされて一瞬湾曲したように見えた。
何があっても俺達にはもう止められそうもない。
拍手コメント返礼
ゆうん 様
命がけなのが暴漢より司への対応だということでSPも大変だと思います。
でもつくしちゃんがいるから大丈夫だぞ~。
かよぴよ 様
気の毒がられる二人って♪
司とつくしどちらに付く方がつかれるのかしら・・・(^_^;)
キャサリン 様
こちらは違った意味で緊張しますがなぜか笑える状況で~。
西田さん視点では緊迫感はないだろうな。
この後の二人のラブラブ度はどこまで上昇するのかなぁ♪
ゆきこ 様
この二人は帰宅したらベッドに倒れ込みそうですよね。
もうぐったり。
そうそう甲斐さん。
つくしちゃんの同僚としては一番痛い役どころなんですよね。
クールな司でぎろっとひと睨みで相手を黙らせてつくしちゃんをさらっていく♪
想像すると楽しいなぁ。
続きが少しづつ形になる瞬間は楽しみでもあります。
みえこ様
西田さんには何か目論みありそうな気がしますよね。
SPまで巻き込んじゃかわいそう~。
西田さんお手柔らかに♪
元気の源だなんて言っていただけてうれしいです。
今日もこれから張り切ってUPします。
今日はどれにしよう・・・(^_^;)