一秒ごとのLove for You 4

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「なにか問題あるか?」

相手先を乗せた車のタイヤがゆっくりと動き出すのをもどかしそうに見送って振り返った瞳が怪しく光る。

神経質な表情に生まれついた専制的な威圧感。

私の後ろに立つSPでさえ、ピクッとびくついた緊張感を背中に走らせる。

吐き出した言葉は確認ではなく強制力を周囲にあてがう響き。

Noの言葉を拒否する存在感。

「ご苦労様です」

そうつぶやいて頭を下げる。

私の頭の上から「チッ」と舌打ちする音が聞こえた。

少しばかり西田さんサイドのワンシーンをお届けしました。

続きからは司君サイドのお話となります。

この物語の スピンオフ SP物語 Upしてます。

 

「何か問題あるか?」

俺の問いかけに何食わぬ表情でご苦労様ですと西田がつぶやく。

気にくわねぇつーか、西田じゃなきゃ6メートル上からたたき落とす。

何時もの取り引きに使う店じゃなく今日の店を選んだのもわざとだろう。

「今日は玲子さんと食事して帰ってもいいかな?」

あいつから俺に連絡が入ったのは午後の仕事に取り掛かろうとして直ぐの時間。

「べつに、いいぞ」

最近仕事が忙しくてあいつをほっといてる自負。

今日も遅くなりそうなスケジュールにイラッとした感情は押し殺して許可した。

まあ、あいつなら俺がダメだっていっても言うこと聞かねェだろうけどな。

つくしの行動を西田が把握してねェはずはないんだ。

しかし、普通やるか?

あいつがいく店に俺を送り込む。

それもどこが、女性だけだ。

甲斐だけじゃなく知らない男を交えた男女各3人の6人。

どう見ても世間で言う合コンだと俺でもわかる。

「同僚の方が一緒なら目立ってSPつける必要はないでしょう」

つくしも慣れてるSPの千葉と相葉を付けるのを渋ったのは俺が無茶する状況を見越しての対応の気がしてきた。

その手にはのらねェよ。

あと二日で仕事を済ませれば、今週末からまとまった休みが取れる段取りを取り付けてる。

そのためにつくしと過ごす時間を削ってまで仕事してんだ。

西田と交わした賭け。

最終コーナーでコースを外れるわけにはいかねェだろう。

握りしめたままの手のひら。

テーブルを囲んで手を開いた時にジンとした軽い痛みを感じた。

手の平に残る爪痕。

椅子に腰かけた後も微弱に両脚が振るえてた。

その振るえを抑えるようにグッと太ももを掴む。

他人に見える表情に作る笑み。

穏やかになんて笑えるはずがない。

出来るなら生身の身体はこっちに残して意識だけはあいつの側に飛ばしたい。

このままじゃ西田の思うつぼだ。

松山と甲斐がいるからまだましか。

甲斐には思いっきり殺意を混めた視線を送ってきた。

あいつならほかの男がつくしに近づいたらどうなるか分ってるだろう。

今はこのディナーに集中。

少しでも早く終わる様に会話を進める。

たぶん今まで一番短い会食。

穏やかに話し合いが進めば食事をする時間は長引くものだ。

それを許さない気迫。

西田が横で表情を強張らせようが話し合いがまとまれば俺の勝ちだ。

「お忙しいようですね」

察知したようににこやかに微笑んで食事の速度を速める女性に珍しく俺の好感度は上がる。

「今日はありがとうございました」

「こちらこそ」

食事が終わった後は機嫌よく握手を交わして見送ることが出来た。

握手を交わしながら視線の端がつくしの姿をとらえてる。

真直ぐに見つめる表情はマジマジと俺を見つめてる。

一瞬不安げで寂しそうに見せた感情は直ぐに強気に俺を睨んだ。

睨まれるのは俺じゃなくお前の方だろうが。

あいつを相手にするのはまだ早い。

それでも我慢の限界はひたひたと足音を忍ばせて俺に近づいてる事は分る。

数秒も無駄にできない感情を抑制できる許容時間。

足早にあいつの視線を感じながら店を出た。

「西田、これで今日の仕事は終わりだよな」

「はい」

勝った!

お前の思い通りにならねぇぞ。

久し振りに西田を負かした気分に高揚してる俺。

ムカついた気分も少しマシな気がする。

この後はべつに俺があいつが店を出てくるのを待ってなんの問題もないわけだ。

「それじゃ、私たちはこれで」

聞こえてきたのは松山玲子の声

それに「それじゃ」とつくしの声が混じる。

俺を見つけたらきっと足早に側に駆けてくるはず。

まだ俺の機嫌は直ってねェからな。

「えっ?まだ早いよ」

「明日も仕事なので」

「俺達もだよ」

俺達が店を出た数分後店の入り口でまじりあう男女の声。

帰りたがってんだから諦めろ。

イラッとした感情を隠すのはソロソロ限界に近い。

「牧野さん、連絡先教えて」

その声だけが拡張するように俺の耳に届いた。

ほかに牧野っているのか?

「それは無理です」

次に飛び込んできたつくしの声。

牧野って・・・お前は道明寺だろうがぁ!

納まりかけてたムカつきが蜷局をまくヘビのようにくびをもたげる。

速攻で振り返った俺の横で焦った表情の千葉と相葉が目で合図を送り合い飛び出す体勢をとるのが見えた。

「お前らはここに居ろ」

延ばした腕で掴んだ相葉の肩を引き寄せて後ろに流して俺は一歩前に足を踏み出した。

拍手コメント返礼

メルちゃんのママ 様

つくしちゃんもですがもっとドキドキなのはSPコンビと甲斐君じゃないのかな。

「俺は知らないですよ!!合コンにつくしちゃん誘ってないですから!!」

必死で否定したいでしょうね。

理子 様

つくしじゃなくてここは玲子さんにちょっかい出されてたら・・・

面白くないか・・・。

みえこ 様

どうして牧野って言っちゃうかな~。

そこが一番許せないと思う司君♪

攻めるなら合コンよ!

叫んでる私です。(笑)

いの様

つくしちゃん男に無理ですってしっかり拒否示してるところ評価してもしいですよね。

司には無理かぁ・・・(^_^;)

嫉妬全開で突き進む司は好きなんですけど、実際は嫌だな。

司だからゆるせるのよね。

あずきまめ 様

勝負と思ってるのは司君だけだったりして~

西田さんしっかりと計画的に事を運んでる気がしますもの~。

もみじ様

司はこうじゃなくちゃ~♪

と、思う私達って・・・(^_^;)

キャサリン

昨日もコメント送ってもらってたんですね。

見れなかった・・・(^_^;)

今日はしっかり読ませてもらってます。

大人の態度も限度がある♪

ヤッパリ蜷局を撒く司が好きなんですよね。

それで次に締め上げられるのは誰かなぁ~。

Gods & Death 様

ここで司が帰っちゃったら面白くないので・・・(^_^;)

ヤッパリ投入してしまいました。

おと様

早くつくしの正体を司にばらしてほしい。

そんな期待感を感じちゃうのは間違いでしょうか?

結局司君我慢できなかった状況になっちゃいました。(^_^;)

アーティーチョーク 様

西田さん思考が司に読み取れるとは思えないのですが・・・

勝負だと思ってるのは司だけ~。

この後の勝負はつくしVS司?

そこに葉っぱコンビと弁護士コンビが絡まって~♪

どうなるのだろう・・・

かよぴよ 様

あのまま司が姿を消して帰らなかったら・・・

悶々としたのはつくしのほうだったのになぁ^。

司君それも一つの手よ~。

そうちゃんかあきら君なら教えてくれるのにね。

ゆきこ 様

勝負にならない勝負だと思いますけどね。

勝のはもちろん西田さん♪

嫉妬に狂うのか、ここはビシッとクールに決めるのか!

どっちの司が見たいかなぁ。

ドレにしようかな♪

ゆきこさんの言うとおり♪

なんていかがでしょう?