恋の駆け引きは密室で 28

残された血痕は誰のもの?

司君の不安はマックスになってることと・・・(^_^;)

「だから誰の血痕か早く教えろ!」

司君に凄まれてもこればかりは話が進まないと教えられないんだなぁ。

 *

「あのまま、海に潜っていきそうな勢いだったよな」

「こいつに付きあったら本当に命が幾らあっても足りねェ」

聞き慣れたこいつらの声にしちゃ同情的な響き。

ッ・・・

ぼんやりと開いた瞼から差し込む光り。

眩しさを遮る様に目を細めた。

自分が寝かされたベッド。

そこから少し離れた場所のソファーに総二郎とあきらが座ってるのが見えた。

「気がついたか?」

気がついたじゃねよェ。

ヘリに無理やり引き上げられた俺。

あの爆発されたクルーザーに牧野がいないことが分っていても、手掛かりはあのクルーザーだけだと思うと心の中がぐちゃぐやで不安が体中を支配してるみたいで落着けなくて・・・

クルーザーの破片と一緒に海の底に吸い込まれる牧野が見えた気がした。

「道明寺!」

血まみれの腕を伸ばして俺に必死に助けを求める牧野の姿。

そんなはずはない幻。

分ってるはずなのに息を吸い込んでその影を追いかけようとした俺がいた。

「バカ!なにやってる!」

海に投げ込まれた浮き輪を俺の頭から通しながら二人に俺は支えられていた。

ヘリの中でも諦めきれない俺はいつの間にか眠りに誘われた。

「司、すまない」

あの声小は総二郎だったか、あきらだったか、それはどうでもいい。

が・・・

眠剤をヘリに積んでいた用意周到さはなんなんだ。

俺が自分を抑制できなくなるのを見通していた見たいじゃねぇか。

「冷静さを失うにもほどがある」

「牧野が絡んでるんだ、しかたないだろ」

総二郎の怒号と、俺を擁護するあきらの声。

夢の中で聞いているみたいにぼんやりと頭の中を通りすぎていた。

こいつ等が、俺に何か隠してると思うのは考えすぎだ。

「俺、どのくらい眠ってた?」

「半日」

窓の外に赤く染まる夕日が見える。

「牧野の発信機もあのクルーザーと一緒に海の中に沈んだみたいだ」

「それじゃ、全く後が追えなくなったってことか?」

今さら発信機がどうでもいい状況。

発信機で俺達が牧野の居場所を掴んでる事は敵には分っていてそれは逆に利用されたってことだ。

俺達がクルーザーに来るのも想定内、それも爆弾の土産まで用意してな。

何処かで俺達を見ていて嘲笑ってんじゃねェだろうな。

サイモン!

顔も思い出せねェのがムカつくおっさん。

「なあ、もしかしてクルーザーを爆発させたのって、あの残した血痕が誰のものか調べられなくするためじゃないのか?」

しぶめの表情で考え込んでいたあきら。

「司を動揺させて次の手を打つ算段」

真直ぐに俺撫まで伸びる視線は迷いがない。

いつも他人に見せる穏やかさとは違った鋭さを持つ眼光。

俺達4人の中で一番敵に回したくないのはあきらなんだとつくづく思う。

「次の手ってなんだよ」

言いたいんだったら聞いてやる。

あきらに負けたくねぇ感情は俺を横柄にする。

「牧野にしても類にしてもどちらかが怪我してると思わせてあいつらの要求を直ぐに司が呑むように仕向ける」

「実際に海に飛び込んだ司の行動は牧野の為なら何でもしそうに見えたものな」

それにしちゃ、今日まで何もあいつらからの要求がない。

その不気味さは今度のクルーザーの血痕で不気味さを増長してる。

マルクの国から手を引くだけの要求じゃない気がしてきた。

俺個人に対する恨み?

牧野に会うまでは何処でどう怨みをかったかわからない生活を送って来たからな。

外国人をり殴った記憶はねェんだよな。

コンコン。

部屋のドアをノックする音。

西田が俺の前に差し出す一通の白い封筒。

サイモン・ブラットリーからの招待状だった。

日付を3日後の夜。

3日もジッとしてられったかッ!!!

拍手コメント返礼

 ゆきこ 様

西田さんが出てこないわけないですよね。

ここで少しピシッと感が出て場が締る感じが~。

これ以上ピリッとした感じはいらないかな?(^_^;)

あずきまめ様

平和な対面は無理でしょうね。

司君爆発寸前。

何処かで息抜き必要でしょうが無理だろうなぁ。

頼りになるのは総ちゃんとあきら君です。

みえこ様

類つくしの再登場♪

気になりますよね。

登場したら誰の血痕か分っちゃいますしね。

それは次回で~す。