BITTER SWEETS  はぴまり編

つかつくを差し置いて一番目で最速でリクをいただいちゃったのは千和と北斗でした。

それもおーじ様とかーちゃん様と偶然にも連続でいただきました。

それでは早速御贈りします。

まだ千和が北斗の会社に勤めてる頃の設定です。

 *

「もうすぐバレンタインだね」

「チョコ買った?」

「まあね」

「でもさ、最近本命チョコより義理の方が多いんだよね」

最近よく耳にする噂はバレンタインの話題。

何日も同じ話題で盛り上がるのは学生時代と変わらない。

14日当日落ち着かないのは男子も一緒。

既婚者のはずの上司も何時もより愛想がいいもの。

北斗に準備したビターチョコレート。

今朝渡すタイミングがなくて、バックに忍ばせている。

会社で渡せるはずはないのに。

千和は準備した?」

「えっ?」

突然話題を振られて言葉が詰まる。

この会社の社長!

間宮 北斗に脅された形で結婚してるのは内緒の話で、職場の同僚にも内緒の話。

千和に聞いても無駄だって彼氏いない歴が年令なんだから」

彼氏いない歴イコール年齢は消滅してるから!

これを言ったらパニックだよね。

「それより、今年も社長、チョコレートを一杯もらうんだろうなぁ」

「去年、秘書室大忙しだったよね」

「そんなにすごいの?」

思わず顔を寄せておしゃべりしてた一人の肩を押しやって輪の中に顔を突っ込んでしまっていた。

去年は社長の北斗には全く興味がなくて、女子社員の興奮度も理解できなくて。

別世界の相手だった北斗。

今は一番気になって大好きでしょうがない。

1年経つというのにキスだけの関係ってなんとなく不満。

呼び出しはいつも突然で、メールの着信を知らせる音がプルンと聞こえる。

『直ぐに来い』

5文字の文字だけの顔文字もイラストもないメール。

文字の後ろに不機嫌な北斗の顔が見えるのは気のせいだろうか?

私・・・

北斗の気に障るようなことまだやってないって思うんだけど・・・

直行する社長室。

部屋にいる前に当たりに誰もいないことを確認するように辺りを見渡してトントンとノック。

ドアを開けてくれたのは社長秘書の相馬さん。

にっこりほほ笑んで私を社長室に迎えてくれた。

「あのッ。北斗機嫌悪くないですか?」

私の切羽詰まった声に相葉さんは意外そうな微笑を浮かべて私を勇気づける。

大丈夫ですよと言われて背中を押された。

「遅い」

腕時計に0.1秒の視線を向けて威圧的に響く声。

これで不機嫌じゃなきゃ、なんなのッ!

北斗の前のデスクは仕事が何も残ってないと言いたげにきっちりと整理されてる。

椅子から立ち上がった北斗は私の目の前でデスクのヘリに軽く腰を落として腕を組んだ。

オーダースーツに包まれた身体のラインがしなやかに浮かび上がる。

不機嫌に見える表情も整った顔立ちを引き立たせる魅力にしかならないのが癪にさわる。

バレンタインにしては質素な社長室。

去年の社長室はチョコレートの箱が山積みだったって話は眉唾だったのか?

想像の中で私は社長室の中を所狭しと動き回りカーテンの裏まで探し回ってしまってる。

「なに、固まってるんだ」

ようやく開いた北斗の口元。

優しさの欠片もない声が響く。

「バレンタインなのに、意外だなって・・・」

言わなくていいこと言っちゃったと後悔して口をつぐむ。

目の前の北斗は直ぐに意地悪い笑みを私に向けてきた。

「今年からは本命の女にしかチョコは受け取らないって断ってるんだ。俺がモテないとかお前に思われるのは心外だ」

デスクから身体を離してコツコツと私に近づく皮靴の音はピタリと私の足先の前で止まった。

「ここ数日、家に帰ると甘ったるい匂いを部屋中に充満させたの誰だ?」

確かにここ数日うまくいかなくて何度も作り直したチョコレート。

北斗が帰ってくる前にはしっかり片づけて換気もしっかりしてたはずなんだけど。

わざわざ、私を社長室まで呼び出してチョコの催促?

まさかねぇ。

そんな態度じゃないもの。

それに・・・

渡すんなら会社じゃなくて、自宅に帰ってからゆっくりとした時間のなかで渡すつもりだったチョコレート。

まあ、一応チョコは出社する時一緒に持ってきてはいるけど・・・。

「俺、甘いもの苦手なんだよ」

「チョコの匂いの充満した部屋でチョコを食うなんて考えたくない」

そんなの知らないよ~。

言ってくれなきゃわからないことはまだまだ多くて・・・

北斗のこと全て知りたいのになかなかつかめない性格。

教えてよ。

私の知らない北斗のこと。

あのチョコどうするの?

渡せない?

必死に作った私の生まれて初めての手作り本命チョコなんだよ。

「行くぞ」

不満な気持と寂しさが渦巻く私をそのまま連れ去る様に会社を後にした。

「ここって・・・」

北斗につられれてやってきたのは予約が半年先まで取れないっていうフランス料理店。

何度か北斗が予約してくれたけど、私が熱を出したりして食事できなかった記憶があるお店。

きっとバレンタインのこの日も予約がいっぱいなはず。

リザーブされた席は窓側の落ち着いた特等席。

「日本じゃチョコで騒ぎすぎなんだよ」

「本来の意味は愛の誓いの日だからな」

「チョコも男も女も関係ない」

北斗が温かく私を見つめる。

不機嫌に私を脅しといてこの展開って。、うれしくないわけない。

最初から食事だと誘ってくれたらいいのに。

「食事が終わった後、一つだけならチョコ食べてやってもいいぞ」

最期まで恩着せがましい表情の北斗も今日は優しく許せる気がした。

絶対、チョコ、食べてもらうからね。

拍手コメント返礼

ゆきこ様

原作を読んでないのに私の二次を読んでもらってるのは嬉しいですね。

ありがとうございます。

うんうん、経験がある分北斗の方が大人な俺様で~

原作のPVが3弾まででてるので原作のイメージは楽しめると思いますよ。

ぜひドラマで見たい漫画です。

主役は松潤と真央ちゃんでお願いしたいんだけどなぁ。

リクもありがとうございます。

まめぽん様

千和と北斗の二人もベストカップルですよね。

かよぴよ 様

チョコを渡した後の甘~いお話。

ウッ・・・

短編じゃ終わりませんがいいですか?(笑)