BITTER SWEETS (駿 編)
今日は建国記念日。
午前中は子どもの部活で奉祝市民マラソンに参加するということで、その応援してきてUpが遅くなっちゃいました。
短距離は早くても流石に長距離の選手には負けますね。(^_^;)
でも3キロ軽く走ってくるんだもんなぁ。
応援から頭を切り替えて~
今回はつかつく長男坊のお話です。
『DNA で苦悩する』のそのあと後お話の設定になるのか?
高校1年冬のお話~
*なんだ?
後ろから突き刺さる食い入るような視線。
靴箱を開ける手を止めて振り返る。
「なんだ、蒼か・・・」
僕を通りすぎて半開きの靴箱の中をみつめながら、ヤッパリなと蒼はつぶやく。
何がやっぱりだよ。
靴箱の中を見ても変わったものが入ってるわけない。
ぬっと僕の肩越しに伸びてきた腕は僕の手を掴んで靴箱をガバッと開いた。
ドサッ!
パラッ!
雪崩のように足元に散らばる色とりどりの箱。
その上に落ちた手紙が数通。
僕の名前が見て取れる。
「見ろ!俺のは下ばきしか入ってない」
開きなおった表情の蒼が自慢げに靴箱の中を僕に示す。
なんなんだ?
今までも時々手紙とかプレゼントが入ってたことはあるが今日の量は靴箱に無理やり押し込まていたみたいだ。
「駿、まさか気がついてないのか?今日はバレンタインだぞ」
蒼は眉間に険しく皺を寄せた。
「そのくらい知ってるよ」
毎年母さんや妹の舞も僕にチョコをくれる。
もらうたびに父さんが自分がもらったチョコと僕のチョコを比べるようになったのはここ数年のことだ。
僕より一回りは大きめのチョコを父さんはもらってるからそこで平和が保たれてる。
英徳にいた頃もバレンタインは食べきれないほどもらっていた。
有名店の高級なチョコ。
「イケないな。鮎川がいるのにチョコもらっちゃ」
もらったというよりは勝手にお靴箱の中に入れられただけ。
「返せばいいだろ」
蒼が拾い上げたチョコレートの箱を乱暴に奪う。
「駿~、バレンタインのお返しはホワイトディーだろうが」
「駿が食べるわけにはいかないから俺が食べてやる。お返しはちゃんとしろよ」
予想して準備してたと言う様にカバンの中から取り出した紙袋にチョコレートを詰め込んだ蒼。
「おはよう」
聞こえた声に振り返ることが出来ずに蒼の紙袋にチョコを詰め込むのを高速で手伝う。
「やあ、鮎川」
額に汗をかいていそう。
冷や汗ものだ。
バタバタと慌ただしく蒼が紙袋を背中に隠した。
隠すな!
その態度が鮎川の疑惑を生む!つーの。
「それ・・・駿君にだよね?」
蒼が隠した紙袋を鮎川の視線が追う。
違うと叫びたい。
嘘をつくのは苦手だ。
特に鮎川の前では。
「駿はさ、好きな子のチョコしか興味ないみたいだから俺が預かってしっかり対処してやるんだよな」
「なっ!!!」
俺に念を押す蒼の手のひらがポンポンと肩を叩く。
好きな子のチョコって・・・
それって完全なる鮎川への催促みたいだ。
「そうなんだ・・・」
静かに納得したような鮎川の声。
鮎川のチョコを待ってるて本音は確かにあるが・・・鮎川がそこに納得してくれたかは微妙。
冷静に見える大人びた表情は感情が読めない。
「それじゃ、駿のことは鮎川に任せる」
任せるな!!
僕に言わせる間もなく蒼は教室に向って走っていく。
授業が始まるベルが鳴るまではまだ間がある。
黙ったまま靴箱から下ばきを取り出すために鮎川に背を向けた。
「そのまま目をつぶって」
僕を心地よくさせる柔らかな絹の肌触りの声。
呪文にかかったように僕は素直に目を閉じる。
「ほかの子からもらったら二度と作らないから」
指先に振れた紙の感触。
そのまま僕の右手に握らせる様に箱を押しこまれた。
鮎川の甘える様な息遣いを肌に感じながら、照れくさのなかで「ごめん」と僕はつぶやいていた。
拍手コメント返礼
ゆきこ 様
やきもちでくぎを刺す~。
駿君もう尻に敷かれてる?
他の女の子に目移りすることもないのはきっと一途な司パパの遺伝子の影響なのでしょうか?
そうそう。
まだ昼休みも放課後もあるんですよね。
優柔不断に断れずにチョコを受け取ったところを鮎川さんに見られるとか?
あ~意地悪なお話を考えてる私・・・(^_^;)
外の応援寒かったですよ。
昼ごろが天気が良くてぽかぽかでしたので助かりました。
何とか体調を崩さずにこの冬も過ごせそうです。
カ** 様
いえいえ私こそリクエストのお話を考えるのを楽しませていただきました。
学級閉鎖になっちゃったんだ。
休み伸びちゃったのかあ~
うちの中学2年はクラスで12人の欠席があったのに休みにならなくてがっくりきてましたよ。
また何かリクエストがあったら聞かせてくださいね。
あずきまめ 様
頑張ってる姿を見ると応援にも熱が入りますね。
同じ陸上部でもさすがに長距離の子は真剣に走ってました。
うちの子はマラソンというよりは余力を残したランニング。
スタートから友達とおしゃべりしながら走ってましたもの。
あと一キロあたりから遅すぎだと思って一緒に走っていた友達を置き去りにラストスパートかけて8人抜きしてました。
もっと早くスパートかけろと思っちゃいましたけどね。
応援する方は寒くて大変ですね。
愛情はチョコの大きさじゃ計れないよ司君♪
そんなところで優越感が味合える司の性格好きなんですけどね。
佑君のチョコはきっとハートだぞ~。