DNAに惑わされ 23
さて~と駿君どうなってるのかな~。
この二人は問題なさそうだったになぁ~
奈落の底に突き落とすなんてことにはなりませんからね。
たぶん(^_^;)
*
気になってしょうがない。
部屋にもどっても・・・
テレビを見ても・・・
食事も味気なくて・・・
周りの音も映像も頭の中には入ってこない。
落着けない感情のはけ口を探して、また闇に紛れ込んで落ちていく。
車の中に乗り込む鮎川の姿。
「鮎川」と叫んだ僕の声に振り向いた鮎川は僕の願望が見せた幻だったのか。
繰り返し思い返す映像の鮎川はの知らないやつに無邪気な笑みを浮かべて笑っていた。
何度となく取り出したスマホ。
スライドさせて開く画面。
一度タップするだけで鮎川とつながるはずなのに指先は強張ったまま動きを止める。
スマホをみつめながらついたため息。
決心がつかないままにベッドの上にスマホと身体を投げ出した。
そして・・・
鮎川からの着信がないかと枕元のスマホを見つめてる。
こんなに自分が女々しいとは思わなかった。
悩むより行動!
出来ないものだ。
あくる朝。
まだ人気のない教室。
眠れずに過ごした夜。
何時もより30分は早めに学校に来てしまった。
ぽつりと窓辺に佇んで校舎に入ってくる人影をみつめてる。
落ちつかない夜は一日で十分。
遠慮せずに鮎川に聞けばいい。
昨日はどこに行ったのかと。
一人ゆっくりと校門をくぐるすらりとした姿。
その雰囲気は独特で、人目を惹きつける魅力は多分女優の母親譲り。
僕に気がついたように鮎川が上を向いて軽く手を上げて合図した。
窓辺に両肘をついて腰を屈めてそれを眺める。
少し足早になった鮎川が教室を目指して駆け出すのが見えた。
何時もと変わりない反応を見せる鮎川にホッとしてる。
「おはよう」
机にカバンを置いた直ぐに鮎川が僕の横に身体を並べる。
「いつもより早くない?」
真直ぐに僕を見つめる瞳の中に見えるいくつもの星。
吸い込まれそうな魅力の黒曜色の瞳。
平常を保つ為に抗う感情。
強気の攻めを見失いそうになる。
「眠れなくてさ」
小さく絞り出した声は自分で思っていたより飄々としていた。
「何かあったの?」
心配そうに覗き込んだ鮎川と僕との距離は拳一個分の近さ。
少し身体をズラすだけで触れ合える距離。
「不眠の原因は君なんだけどな」
胸の奥でドキッと高鳴る心音に鮎川が気がついてないことを願いながら囁いた。
「昨日の放課後に鮎川が乗った車の男は誰?」
「最近よそよそしいっていうか、僕のこと避けてない?」
話すスピードは速くなって声も大きくなってきてしまってる。
「ごめん」
感情を隠す様に呟いた鮎川。
鮎川の口からききたいのは謝罪の言葉じゃなくて真実。
「僕には話せない相手?」
「ハッキリしたら言うつもりだったから・・・」
鮎川にしては歯切れの悪い態度。
俯いたまま続く沈黙。
ゆっくりと僕を見あげた鮎川の決心した真剣な表情が僕を見つめる。
「ママが一緒に暮らさないかって言ってきてるの」
鮎川の唇がゆっくりと開いてそうつぶやいた。
あの男性は鮎川の母親のマネージャーでよく知ってる相手。
鮎川の両親は仕事の関係でほぼ別居状態。
鮎川は都内のマンションにお姉さんと二人ですんでいたが、今お姉さんは留学中で今は殆ど一人暮らし状態。
時々様子を見に来るのが父親の監督。
そんな話を鮎川から聞いたことはある。
「一緒に暮らせるんなら悩むことないんじゃないの?」
「それ、本気で言ってる?」
鮎川にしては珍しく感情をあらわにして不機嫌に僕を睨んだ。
君が機嫌を損ねること、なにか言ったか?
「もういい」
ツンと顔をそらして自分の席に鮎川は戻る。
「怒ってる?」
「別に駿君には関係ないから」
機嫌が悪くなった鮎川よりあいつが鮎川となんでもないってことのほうが僕には重要。
その時は鮎川の不機嫌な理由を思いやる余裕もなかった。
その事であとで後悔することになるとは、この時の僕には想像できずにいた。
拍手コメント返礼
ゆきこ様
読み落としじゃないですよ~。
鮎川さんの両親に関しては家族構成程度しかまだ書いちゃってないですから~。
別居してるって書いたのも今回がお初です♪
徐々にこれからあきらかになる予定。
自分の両親の関係を見ていた駿君鮎川さんの悩みは分らないかもですよね。
いの 様
わけのわからない男の登場で悩んでいた駿君にとった悩みが解消しただけで舞い上がっちゃいますよね。
高校生の男の子って子供だから~。
りん様
今日もしっかりUPしてますよ。
さすがに連続で二話UPは出来ませんでしたけど・・・(^_^;)
鮎川さんの悩みはなんなのか!
一緒に駿君も悩んでやって欲しいような気もします。
アーティーチョーク 様
事情が分かっても鮎川さんの不機嫌な理由が分らない駿君。
これが解決できないと前に進めません。
駿君のマンションに家出するってパターンも面白そうな気がします。
さわね 様
いえいえ、とんでもないですよ。
単なる趣味で暇な時間を持て余して二次をかいてるだけです。
趣味の領域から抜け出せない素人でして・・・(^_^;)
駿君の恋バナもスムーズにはいきませんね。
キャサリン 様
会話が進む言葉を投げなきゃ~ダメですよね。
何時も助け船を出してくれる蒼君がいないとつまんない気もするんだな。
悶々とする悩みを抱えながら大人になっていく~。
悩まなきゃ人間ダメだぞ思う私もけっこうなおばさんです。(笑)