DNAに惑わされ 24

昨日はルーヴルでお行儀良かった駿君。

走り回ってるはずの翼君は見つかったでしょうか?

そんな捜査劇の続きも見たいような気がします。

ダメだ!

この話なんて3月はまだ書いてないことに気がつきました。

*

「鮎川はしばらく休みだ」

担任が空いた席をみつめながら教室の生徒に告げた。

もういいと強い口調の鮎川の瞳に翳ったのは僕への不満だけじゃなかったのだろ。

もっと強く僕に何か言いたいことがあったんだろうと今さらながら気がついた。

あの時追いかけてもっと深く追求するべきじゃなかったのだろうか。

あれから鮎川とは連絡がとれてないんだ。

放課後になっても見つめていた鮎川の席。

休みの理由はなんなの?

母親と暮らすと言ったのと関係あるよな?

「なにか聞いてるか?」

主語なしで蒼が僕の肩をポンとたたく。

言わなくても僕に確かめてるのは休んでる鮎川の理由。

「詳しくは聞いてない」

そうつぶやいていないはずの鮎川の姿を空白の席に描いてただ見つめてる。

「今日のお前は抜け殻だな」

僕より深いため息を蒼が見せた。

「行くんだろう?」

「鮎川に会いに・・・」

本当なら担任から鮎川の休みを聞いた時に飛びだしていきたかった。

頭の中でいろいろ考えすぎて衝動的に行動できない性格。

理論が頭の中に渦巻いて最善の結果を導き出す過程を模索してる。

マンションに鮎川がいるとは限らない訳で・・・

母親の家を僕は知らないし・・・

鮎川の携帯の電源は切られたままだ。

さっさとしろ

蒼にせかされて学校を出た。

まずは鮎川に会わなきゃ始まらない。

居なかったらいなかったで探す手段はあるのだから。

「別に駿君には関係ないから」

僕を突き放す様に言った鮎川の最後の言葉。

関係なくないだろう。

黙って連絡を絶ってる鮎川にだんだんとムカついてきた。

鮎川のマンションが近くなるたびに不安より鮎川に理由を聞きだす気持ちが大きくなってる。

二度と僕には関係ないなんて寂しい言葉は言わせないから、早く鮎川に会いたい。

会って、抱きしめて、分らなくてごめんって謝るんだ。

マンションの入り口で部屋番号を押してベルを鳴らしても全くの無反応。

携帯を取り出して着信の呼び出し音は直ぐにありふれた留守電へと切り替わる。

「出ないのか?」

「鮎川と連絡が取れないって初めてだよな?」

僕についてきた蒼まで不安な表情を見せる。

「監督!監督なら知ってるかも」

握ったままの携帯の画面をタップ。

櫻井翔五郎 日本でも5本の指には入る名監督。

CMに僕が出演したのが縁。

鮎川の父親だと知った時は驚いた。

「君から連絡が来るとは珍しいな。

撮らせる気になったか?」

携帯の向こうから聞こえるザワツキ。

撮影中の現場なんだとわかる。

穏やかな声はいたって撮影が順調に進んでるんだと分かる。

撮影中の監督の怒鳴り声は今も記憶に残る。

父さんとどっこいどっこいの他人を排除させるには十分すぎる迫力。

「もう二度とカメラの前には立ちませんよ。それより鮎川が学校を休んでる理由を教えてもらえませんか」

「君は聞いてるんじゃないのか?」

数秒の沈黙の後の意外そうな監督の声。

「詳しくは聞いてなかったので」

そうかと聞こえた声は心なしか嬉しそうに聞こえた。

「菜花は君には言ってなかったのか?」

監督に僕と鮎川の関係はそんなものかと言われてる気がした。

「母親と一緒に住む事と関係あるんですか?」

ムッとする不愉快な感情を押し殺してつぶやく。

監督の沈黙でがっくりきてる感が携帯の向こうから伝わってきた。

鮎川の居場所が分らなくて不安なのに監督に少しでも反抗できたと不愉快さは薄れてる。

監督とやり合ってどうするんだッ。

「今日から母親のところに行ってるはずだよ」

「住所どこですか?」

「アメリカ、ロス」

「アメリカ?ロス・・・って・・・」

監督の言葉を口の中で繰り返す。

「ロスって、あのロサンゼルスか!」

僕の横で蒼が素っ頓狂に声を上げた。

拍手コメント返礼

アーティーチョーク 様

分っているのは直ぐに駿君追いかけなきゃということですよね。

君ならプライベートジェットで先回りも出来るかも!

司同様道明寺の力をフルに使って進みましょう!

つくしママから待ったがかかるかしら?

それとも後押しされるでしょうか?