恋の駆け引きは密室で 37

いよいよ最後の対決!

司がつくし奪還に燃える!

白熱する展開!

際どいアクション、爆薬使用はぎりぎりの限界の迫力ある演出!

司の蹴りが!拳が!唸りを上げてサイモンを襲う。

サイモン?イーサン?

なんて状況を表現する才能は私にはないんだな。(^_^;)

・・・と、そのまえにコーヒーブレーク。

類君サイドのお話をお届けします。

類君、君の苦労はわすれてないからぁ~。

 *

「つくし様、どうぞ」

カラカラと料理を乗せたテーブルが牧野の側に運ばれきた。

「これ全部は無理かな・・・食欲はそこまでないし・・・」

こんもり盛られた肉は一キロはある。

その量は牧野でもさすがに完食は無理だと思う。

「そう思ってスープを作ってみました」

蓋を開けた陶器の入れ物から柔らかな匂いとともに白い湯気を上げる。

「これなら食べれそう」

この屋敷のシェフはイタリア語それに答える牧野は日本語。

それぞれの言葉で会話が成り立ってる。

この屋敷に来てまだ2日目。

この家の使用人の心を掴んで魅了してる牧野。

和気あいあいと和んで10年来の気心の知れた仲間の様な信頼感を勝ち取ってしまってる。

牧野らしい。

人懐こい笑顔が俺に微笑んで名を呼ぶ。

「花沢類、食べようよ」

俺が近づくとお客をもてなす雰囲気に一線を引く使用人。

その対応には慣れてる俺。

牧野はその感じが馴れなくて、落ち着かなくなると困った表情を浮かべてた。

その数時間後には臆することなく日本語と知ってるイタリア語で話しかけてた。

Buon giorno(ブォン ジョールノ)

Piacere(ピアチェーレ

Grazie(グラーツィエ)

こんにちわ、はじめまして、ありがとう。

この三つの単語が少しずつ増えてる。

難しくなってくると俺に助けを求める視線を向ける。

その視線を向けられるのを待っている俺。

花沢類、助けて。

ちいさく俺を呼ぶように動く口元。

クスッと胸の奥をくすぐる感覚を楽しんでしまってた。

連れ去られて、動けない状況のに、もう少しこのままで過ごせたらって思ってしまう。

司は必死で俺達を探してるはずなのに。

司・・・ごめん。

その思いは心の奥に滞っているのに、今の時間を離したくなって思ってしまうんだ。

そんなこと気にするな。

あいつは笑って、そう、言ってくれるだろうか。

「花沢類も食べるでしょう」

料理を取り分けた牧野が俺の前に皿を差し出してくれた。

「あのさ、ここにいるのも限界だよね」

ポツンと呟いた牧野は使用人に向けた表情とは対称的な不安な表情を窓から見える景色に向ける。

「すごく居心地が良くて、無理やりに連れてこられたことも忘れそうだけど、私たちがいる場所じゃいよね」

手に持った皿の料理は一口で先に進んでない。

その目の先で追ってるのは司の姿なのだろう。

助けにくる司を待ってる憂いの浮かぶ表情。

「そろそろ来てもいい頃なのにッ!」

不満をあげた表情じゃ牧野の本心は隠しきれてないよ。

その言葉は自分の胸にしまいこんだ。

「この近くまで来てるかもね。あとはタイミングを狙ってるだけかもしれない」

光りの無い真っ暗な闇の向こうにチカチカと短く点滅を繰り返す小さな光。

それにまだ牧野は気がついてない。

この屋敷の周りに人工的な光を発する建物がない。

あるとすればそれは俺達を助けに来たあいつらのものか、イーサンが反抗してるサイモンのどちらか。

先にこの屋敷にたどり着くのはどちらなのだろう。

「牧野、食べないと必要な時に力が出ないよ」

牧野の前に一口大の肉をフォークに取って差し出した。

拍手コメント返礼

キャサリン

つくしを見つめる類を見ていたい。

きっとカッコいいだろうなぁ~

類~~~~

と慰めたくなるけど無視されるだろうなぁ。

ゆきこ 様

つくしが帰るときイーサン家の使用人に帰らないでと哀願されてそれを苦々しく思う司~。

まだ助けに来てないのにそんなことまで想像しちゃってます。

類君の片思イストはヤッパリ切ない~

まだまだ妄想広がりますね。

おくら 様

るいつく派の方にはここは類でとリクエストを頂きましたが類はどうしても片思イストになっちゃうんですよね。

切ない類がすきなの~

韓国のドラマ版では類派でしたけどね。

あそこで司をえらぶ理由が分からなかったなぁ・・・(^_^;)