道明寺家の子供の日

おはようございます。

春休みが終わったと思ったらゴールデンウィークがやってきますね。

休みの予定は皆様計画されてるでしょうか?

わが家は何もなしです。

子供の日も近いということでふにゃろぱ様からリクエストをいただきました。

ふにゃろぱ様の妄想をアレンジしてお話にしてみました。

喜んでもらえるかな・・・(^_^;)

*

「いつ来ても緊張するな」

「ホント、広すぎるのも限度があるわよね」

居間のソファーでくつろぐことを忘れて背筋をピンと伸ばすパパとママ。

私もいまだにお母様が帰ってくると背筋がピンと伸びてしまうので二人を笑えない。

子供達が生まれて孫の顔を見るために二人が道明寺邸にやってくる機会も増えた。

「あっ今日は、面白いもの持ってきたの」

テーブルの上には色あせた一枚の写真。

赤ん坊の進を膝の上に抱っこした私。

進の頭の上には新聞紙で作った兜が乗っかってる。

「あの頃は貧乏でねぇ・・・」

貧乏だったのは私が分不相応の英徳に行ってから拍車がかかった。

あのころが私が知ってる限り一番貧乏だったよね。

パパはリストラにあっちゃうし、道明寺のお母様の攻撃は容赦なしだったもの。

「この赤ちゃん誰なの?」

横から写真を覗き込んできたのは駿。

「駿~大きくなったな」

一週間前に会ってるじゃない。

さすがに目に見えて成長が分るはずはない。

左右からジジババに頬づりされて戸惑いと迷惑な表情が必死に笑顔を作ってる。

「駿のママと進叔父さんだぞ」

片目はつぶったままで開いた瞳の中には嬉しそうな感情が見える。

どちらが甘えてるのか、その仕草に私も和む。

「これなに?」

「これなに?」

駿の両脇から顔を出いた翼と舞。

私の小さい頃より進の頭に乗っかってる新聞紙のかぶとの方が興味が有るらしい。

「よし、おじいちゃんが立派なの作ってやる」

ドンと胸を叩いてみても元は新聞紙だから。

「駿、新聞紙を持ってきてくれ」

「うん」

元気よく返事をしたちびっこ3人。

競う様に新聞紙を取りに行った。

「ハイ」

テンション高めに返ってきた3人の手にそれぞれに握られた新聞紙。

いくつ作るつもりだ?

3枚で足りるんだから。

「それじゃ作るぞ」

大工仕事をするみたいに腕まくりのパパ。

新聞を折るのにどれだけ力を入れるつもなのか可笑しくなっちゃう。

パパの指先をじっと見つめるつぶらな瞳。

舞はテーブルの上に上半身を乗っけて足は床を蹴って飛び跳ねてる。

知らない事や初めて目にするものを興味を持って目を輝かせるのは子どもの特権だよね。

子供達の表情につられてパパのテンションまで上がっちゃってる。

「出来たぞ」

こんな時にもらう順番は暗黙の了解みたいでトラブルがない。

舞に翼に駿の順番で3つのかぶとはそれぞれ子供達の頭に乗っかった。

「つくし・・・やっぱりつくしの小さい頃とは違うな」

新聞のかぶとを頭に乗せて喜ぶ姿は私の小さい頃と変わらないと思うけど・・・

「新聞の文字が英語だとおしゃれだな」

何を感心して見てるのかと思ったらそこ?

知らない文字がデザイン的にカッコよく見えるのは外国人もいっしょだと思う。

意味が分らない漢字のTシャツにドキッとしたことあるもの。

忍者ならまだいい。

痴漢とか・・・

変態とか・・・

画数の多い漢字がデザイン的に人気があるみたいなんだよね。

漢字の意味を教えていいのか悪いのか迷うぞ。

それより・・・

英字新聞?

まさか!

わーーーーッもしかしてそれ今日の新聞じゃないのか!

「駿!貸して!」

がさがさと折ったところを開く。

「ママ、壊さないで」

「見たら元に戻せるから大丈夫」

かさかさと開いた新聞の端に印字されたMay文字

あっ・・・やっぱり5日の日付だ・・・。

司が帰って来てから見るんだよね。

「返してよ」

待ちきれずに駿が私の手から兜を取って頭にかぶる。

「似合うぞ」

「かっこいいね」

孫と祖父は満足そうに笑いあってる。

ショウガナイか。

新聞で司もグダグダ言わないと思うしね。

パパ達も帰って子供も寝ちゃった頃に我が家の主は帰宅。

「子供の日にどこも連れていけなくて悪かったな。あいつら拗ねてねぇか?」

「パパ達が来てくれていっぱい遊んでもらったから満足して寝ちゃったよ」

「そうなのか?」

なんだか少し落ち込んだ顔で司がタイを緩める。

「何だ、あれ?」

テーブルの上にはいろんな色と大きさの紙のかぶとが並ぶ。

あの後、駿は兜の折り方を覚えて舞や翼にせがまれるままにおり続けて兜は増え続けちゃってテーブルの上を占領してる

「あぁ、折り紙の一種でね。兜だよ」

「俺、折り紙は嫌いなんだよな」

嫌いというより不器用で折れなかっただけでしょう。

鶴を折るのに悪戦苦闘したのは結婚前の話。

あれからトラウマなんだっけ?

「チマチマするのは男のすることじゃねェよ」

「駿は上手に楽しそうに折ってたけどね」

「なぁこれ新聞だよな?それもこれ今日の日付だぞ」

「ごめん、気がついたのが遅くて」

文句を言われる前に司の目の前で両手を合わせた。

「あのな、そのくらいで怒ると思ってんのか」

「良かった」

「ほっとし過ぎだろ」

苦笑気味に司がつぶやく。

「パパが帰って来たら自分が作った兜をパパに上げるって駿が張り切っていたわよ」

子供の大きさの兜の横に大人がかぶれる大きさのかぶとがテーブルの真中をしめてる。

「この俺が新聞紙をかぶるのか?」

情けない顔がジッと手に取って新聞紙のかぶとを見つめる。

「新聞紙じゃなくて兜だから」

出会ったころの司ならその瞬間に兜がグシャッと手の中で紙くずになっていたはず。

「あいつらが起きる前に出勤してやる」

「あっ、僕らが起きる前にパパがお仕事に行ったら写真を撮っておいてだってさ」

笑いをこらえることが出来ずに声が口元から漏れる。

「へんなもん、教えるんじゃねェよ」

困惑気味に呟く声はあきらめの色あいが強い。

朝起きたら直ぐに子供達が飛んできて5人で兜をかぶって写真を撮らなきゃいけないから覚悟してよね。

私なんて牧野家で写真撮って、タマさんを筆頭に屋敷中の使用人さんと兜をかぶったまま並んだんだからね。

出入りの業者を捕まえて被った兜を「僕が折ったんだ」と駿は自慢しちゃってたし。

最低でもタマさんと司に並んでもらおうじゃないの。

「なに、笑ってんだよ」

「ううん、別に・・・クスッ」

ダメだ~

新聞紙の兜をかぶった司を想像すると、もう無理だ~

可笑しさがこみあげて我慢できそうもない。

息が漏れるぅ~。

「今、鼻で笑ったろう」

司が拗ねた。

拍手コメント返礼

絵梨 様

家族編はホッコリタイムになっちゃってます。

平和だなぁ~。

被り物って子供は好きですよね。

節分の鬼のお面でも喜びますもの~。

司ならリアルに鬼を作らせたりしてるかもしれないなぁ。

F4全員で被るのもたのしそうですね。

見たい!

Gods & Death 様

わが家は女の子なので雛祭りですが、年々お雛様を飾る期間が短くなり、、今年はお雛様を飾るのも止めちゃいました。

みなさんどうなんでしょうね?

ゆきこ様

この穏やかな空気はつくしちゃんがもたらしてくれたものですよね。

司よかったね~。

TOPの重圧感から解放される瞬間の司の雰囲気がたまらなく良いだろうなぁと思っちゃってます。

Jの零れる笑顔を想像する私です。