逆襲のファンタジー 6
駿君、司パパに甘えてるかな~。
意外と甘えるの苦手だったりして・・・(^_^;)
こちらも気になるところですがもうしばらくお待ちください。
「キャッー」
小さく途切れた声は身体をよろけさせて俺の左の腕を掴む。
「すいません」
ドンとぶつかった人影はそのまま何もなかったように遠く人影に紛れていった。
「佑より危なっかしい」
「私が悪いわけじゃないと思うけど・・・」
クスッと笑いを零す俺に不満そうに口を尖らせた。
「ボッとしてただろう?」
膨れてムキになる葵が面白くて、ついからかいたくなる。
何時もより遊んでみたい感情が大きくなるのは遊園地の雰囲気に気分が解放されてるせいなのだろうか。
「ずっと葵の視線を感じてたのは俺の勘違い?」
「佑と翼君が兄弟みたいだなって思ってみてただけだから」
わざと話題を変えるように葵が俺の腕から佑を抱き取る。
「そうだな、そろそろ佑に兄弟がいてもいい頃だしな」
葵の思い通りに話題を変えさせたくない俺。
「別にそんな意味で言った訳じゃないから」
焦った表情はしどろもどろの口調で必死で言葉を探してる。
「それより折角来たんだからいろいろ見て回ろうよ」
俺の興味を逸らすのに必死な葵。
夫婦の会話としちゃいたって普通だと思うけど。
「付き合ってるときも遊園地でデートなんてなかったんだから」
「デートした記憶もあまりないしね」
照れてた葵が俺を責める態度に変わる。
クルッと身体をまわして佑ごと俺に背中を向けた。
葵、今、心の中で思い切り舌出して顔を顰めてるだろう。
葵の歩く速度に合わせながらその背中をゆっくりと追う。
俺達のチケットは特別なチケット。
普段なんら1時間も3時間も待つアトラクションも待てずに乗れる。
そういう人気のアトラクションには佑の年齢が制限されるから乗れない難点。
「このジェットコースター乗りたかったんだけどな」
ゴーツッーと頭の上を通りすぎる騒音と高い声の叫び声を見送って、葵が俺を振り返る。
いきなり見合い相手だと葵に詰め寄って、一緒に住んで、俺の秘書となって、見送ったジェットコースター並みの急展開で俺達の関係は親密になった。
まともにデートをしたこと確かに少なかったかもな。
そんな必要もないくらい一緒に過ごす時間はあったはずだ。
それに、俺がデートに誘っても遊園地に行く選択はないと思う。
「なによ」
数歩前を歩いてた葵が立ち止まって向きを変えて俺の目の前まで引き返してきた。
「ん?」
背中向けていたのに俺が笑ってるの気がついてたんだ。
それが俺の胸の奥をクスッとくすぐる。
「さっきから一人で楽しそうなんですけど」
「飽きないから」
「なにが?」
葵がきょとんと俺を眺める。
「感情丸わかりのお前が好きなんだって再認識してるとこ」
葵のなにか言いかけた唇は半開きのままで、どう動かすか迷ってしまってる。
「佑に聞こえちゃうよ」
小さく消え入りそうな声。
佑は俺達には全く興味がないようにアニメの中から飛び出したキャラクターの家をみつめてる。
原色の明るい色合いは子供の興味を必要以上に惹いている。
「俺達の会話より佑は別なものに夢中だから大乗だと思うけど」
俺の言葉に答えるように佑が「あっちにいこう」と催促する姿を見せる。
「佑、どうかしたか?」
俺に顔を向けた佑がじーと不思議そうに俺をみつめた。
「パパ、翼は?」
翼・・・
えっ?
俺は翼とはぐれない様に手を握っていたはずで・・・
視線を落とした先の俺の手のひらはぽかんと空洞。
右手に小さな手を握っていた感触がない。
どこ行った!
あわてて身体を360度回して辺りに視線を向ける。
いねェぞ!
葵に気を取られ過ぎてしまっていた。
「ここで佑と待ってろ」
そう言い残して俺は辺りを探し始めた。
拍手コメント返礼
ヨーキー 様
やんちゃな翼君は台風の目。
折角駿君がパパを独り占めしてるんだから~
個々はおとなしく!
話の展開上無理なんです。
駿君ごめんねぇ。
楓さんも登場?
そこは考えてませんでした。
SPを大量に引き連れて場違いなリクルートスーツ姿で登場するとか?
インパクトあるだろうなぁ。
なにかのショーと間違えられたりして見物人が寄ってくる♪
駿君たちと遊ぶどころじゃないかも~。